~~婚約破棄から始まる天才少女と占星王女の天聖革命~~ 最強無敵の冷徹令嬢は最愛の王女様を救うため、世界をやり直すようです

静内燕

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2章

一度のチャンス

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「出来るの?」

 苦笑いをするミシェウの息が、軽く上がっている。
 強がってるけど、もう後がない感じ。もう今までのように何でも試すなんてできないだろう。

「1回──つまりラストチャンスってことね」

 ミシェウは、コクリとうなづく。次はもうない。だから──さっきの水の弱点に掛けるしかない。他にヴァシリーにダメージを与える手立てはない。

 でも──ミシェウとならいける気がする。自然と、不安な感情はなかった。
 ミシェウの手にちょんと触れる。柔らかくて、暖かい。自然と不安な感情が消えていく。

「行きましょう──」

「はい」

 ミシェウの言葉に、ゆっくりとコクリとうなづいた。
 そして、手を握りゆっくりと立ち上がる。



 そして、ヴァシリーと再び対面。


「フン、仲良くお出ましか」

「はい──私たちは2人で1つですから」

 そして、私が数歩前へ。ミシェウはゆっくりと後ずさりした。大きく深呼吸をして覚悟を決める。やるしかない。

「相当消耗しているようだな。次の一撃で消し飛ばしてやるよ」

「やれるなら、やってみてください」

 私が前衛として立ち、言い放つ。

 その瞬間、背後から感じる大きな力。ミシェウがようやく力を出し始めるんだ。

「聖なる命の源。今交わりて永久の希望となる・天候は雨──・レイニー・エターナル」

 ミシェウが言った瞬間、その肉体が強く水色に光始めた。そして青色の魔力がミシェウの中でだんだんと強くなっていき、ミシェウが杖を天に向かってあげると、真っ暗だった空が薄く水色に光始める。

「見せてあげるんだから、あなたを打ち破る天の恵みを」

「また水鉄砲か? 馬鹿の一つ覚えめ。それならよけてしまえばいいだけの事」

「それなら、よけられなくしちゃえばいいのよ!」

「ハッタリを!」

 どれだけヴァシリーが反論しても、ミシェウの表情は崩れない。当然だ、ただ水鉄砲を投げてもこいつはよけてくる。おまけに私も被弾しないように戦わなければならない。

 どうミシェウは考えているのだろうか。

 そして、肩にぽつぽつとした感触。何かなって思って視線を向けると、それは水だった。
 ぽつぽつとした水。ああ……雨を作る術式なんだ。

「どう、ハッタリなんかじゃないでしょ?」

 そしてぽつぽつとした水の数は少しずつ数を増やしていく。
 なるほど、これならよけようがない。流石といったところ。

 雨はだんだん強くなっていき、大降りになった。
 これは雨を作る術式。私の魔力も水に変換。している。出来るだけ、あいつに多くの水をぶっかけたいから。

 これならよけようがないものね。そして、今までと違って攻撃が通る。
 そんな風に考えていると、周囲から物音──がさがさと音がしてから、人々が次々と外に出てくる。

「なんかあったの?」

 驚くミシェウ。それに答えたのはマリーだった。

「みんな、ツボとか持ってきてるんだと思います。ここ最近、雨降ってなかったですから」

「そう」

「文字通り、恵みの雨ってやつね」



 久しぶりの雨だったのね、周囲にいる人たちが歓喜の声を上げている。
 本当はヴァシリーに勝つためにやったのだけど、こうしてみんなが喜んでくれると嬉しい。もし勝ったら、もうちょっとサービスしてあげようかな。

「やるじゃない!」

「まあ、ギリギリの力なんだけどね。あまり余裕はないから、さっさと決めちゃって」

「わかったわ」


 確かに、消耗しきった体でこれだけの大技を出せばあっという間にガス欠になってしまう。
 早めに勝負を決めないと。そう考えて、剣の先をヴァシリーに向けた。

「これであなたは物理攻撃を受け流せない」

「だからどうした?」

「ハッタリは効きませんよ」


「別にお前が強くなったわけじゃない──攻撃を受け流さなくとも、俺の方が強いことを教え込んでやる!」

「それはどうかしら」

 私達を警戒しているのか、近くまで住人たちは来ていないけど、周囲に危害が加わらないように気を付けないと。
 そして、私は一気に攻勢に出た。

 なんども、剣を薙ぎ払い──振りかざし。時折反撃を受けるけど、やはりさっきまでと比べて攻めに転じてこない。
 攻撃を受け流せなくなって、攻められなくなっているみたい。

「さあ、今度はこっちが攻める番です」

 それからも、攻撃を続けるがヴァシリーの守りをなかなか崩せない。
 ふと視線がミシェウに行くと、息が上がってきてるのがわかる。ミシェウの魔力に余裕がなくなってきたんだ。早めに勝負を決めないと。

 少しずつ前に出て一歩一歩、でも油断せずに連続攻撃を放っていく。

 ヴァシリーが退く場面が増えている。明らかに怖がっているというのがわかる。

「所詮あなたも人の子ですね。体を変化させられないと勝負に出られませんか?」

「そんなわけがあるか。俺が、どれだけの修羅場を潜り抜けたと思っている。どれだけの戦場を潜り抜けたと思っている。何度も戦い抜いた。お前のように安全なところで安穏としていた身分とは違う!」

「あなたが恵まれない環境で必死に戦ってきたのは伝わってきます。
 でも、私たっで必死に戦ってきたんです。あなたに負けないような経験をして、時には涙を流すことだってありました。それでも──私は最後まで戦った。これからも、私は大切なものを守るために全力で戦います」

 雨に濡れる中、全力で戦っていく。髪も服もずぶぬれだけど全く気にならない。

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