~~婚約破棄から始まる天才少女と占星王女の天聖革命~~ 最強無敵の冷徹令嬢は最愛の王女様を救うため、世界をやり直すようです

静内燕

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3章

守り抜いた、この地

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「まあ、こういった雰囲気の場所は初めてなので」


「初めてというか、唯一無二といってもいい場所ですからね。大広間に着いたら説明します」

 唯一無二。確かに──いろいろな神殿や宗教的な施設に査察に行ったり見学したりしたことはあるけど、ここの雰囲気は今まで見てきた所のどことも違う。もちろん、アルルがいた場所だって独特な物があったが、それとも全く違うものだ。

 アルルも驚いているのがわかる。

 そして、私たちは中に入っていった。
 中も、先までと同じ。私達が足を踏み入れると、それに反応するように壁がさっきみたいに青白く光り始める。

 壁は──壁画になっていて、そこには様々な風景や、人々が描かれていた。
 本当に素敵な姿で、思わず見入っちゃう。綺麗──。

 1枚は、見渡す限りの広大な草原。雲一つない青空の絵。もう1枚、神秘的な白亜の城。それを取り囲むように、白いワンピースのような服をいて、白い羽を生やしている天使たちの姿。その地上では、人々が天に向かって祈っている。そんな姿の絵画。

 様々な絵があるけど、どれも幾何学模様だったり、絶景とも思えるような景色をしていたり、神秘的で──この場所の神々しさを醸し出していた。

「懐かしいわ……」

 アルルは、絵画を見ながら目を大きく開いて見入っていた。こんな景色を、見たことがあるのかしら。いつも無表情なアルルにしては、ちょっと珍しい光景。そこまで興味をそそる物なのかな? ちょっと話しかけてみよう。

「アルルは、こんな場所に行ったことあるの?」

「いえ。大昔見たことがある。けど、それは──」

「どんな場所だったんですか?」

「天界」

 ぼそっと呟いて、驚いて言葉を失った。確か──そこは人間が通常人間が立ち入ることは許されない聖域のようなもの。入るには、天使という身分がある者から信をうけ

 その言葉に、オハラさんが反応してこっちを向いた。

「天界──知っているようね」

「はい。何度か行ったことがります」

「アルルさんでしたっけ。貴方の放っていた魔力から薄々感じてはいましたが、ただの人間ではありませんね」

「勘づいてくれるなら話は早いわ」

 そして、アルルが自らのことを話始める。自ら学んだ占星術のおかげで、何百年という命を生きていること。そして、人間では感知できないような魔力を察知できるという事。

「すばらしいです。貴方からは──他の人間とは違うものを感じていました。そうだったですのね」

「ありがとうございます。私でよければ、ぜひ力になるわ。一緒にこの世界を守りましょう」

 アルルの表情が、どこか穏やかになる。アルルならでばのこと、絶対に何かありそう。私も、それが見つかるように協力したい。
 それから、再び全体を見回す。中にいると、その膨大で、神秘的な魔力を感じる。全身を包むような──暖かさすら感じる力。

 そして、天使の絵画にそっと手を触れながら言う。

「ここ、聖地とも呼ばれる場所なのね。けど、そんな伝承全く残ってないわ。王国の中ですら、噂すら立ってないし」

「当然です、情報が漏れないように秘密にしていましたから」

「でしょうね。よく守り抜いてきたじゃない。こういうのって、利益目的に情報を売るやつが出てくるし」


 本当に知らなかった。ここまで神秘的で、強大な魔力がある地。世界でもそうそうない。知れ渡ったら、世界中が注目するだろう。

 それを、誰にも漏らすことなく守り抜いたのは、尊敬に値する。素晴らしいの一言だわ。

「私達この地を守ってきた神官は、代々ハートリー家の者側近として暮らしながら、力を合わせ出来るだけこのことを知られぬように暮らしてきました。この地を守るためには、必要だったんです。この遺跡の事が知られたら、周辺国や領主が黙っていないですし。」

「確かに、現に──北ローランドが狙っているもの」


 途方もない力が眠っているという。資源と同じで、それは必ずしもいいこととは限らない。有効なものは、誰だって手に入れたい。それを手に入れるためには、汚い手を使うような集団だって北ローランドのようにいるのだから。

「でも、世間一般には知られていないわよね。私たちだって、ここに案内されるまでは全く知らなかったし」

「そうよ。ここまで一部を除いて秘密を守り抜いてきたとは、それ相応の術式があるはず。でなかったら世界中の国がこの地を取り合っていたはずよ」

 アルルの言葉に、オハラの表情がほんのりと暗くなり、視線を落とす。何か、後ろめたいことでもあるのだろうか。


「はい──この山には、魔力が漏れ出ないような結界が敷かれています。知っているのは、宮殿にいる本当に一部の人だけです。力自体も、天使の力を持つ一部の人しかこの力を感知できないはずなのですが──」

「その一部の人が、あっち側にいるんじゃないかしら。もしくは──情報が洩れているとか」

 アルルの言うとおり、どっちかの可能性が高い。私は、中に入るまで個々の力を感知できなかったけど、アルルは山に近づいたあたりからそれを察知できた。魔王軍側にも、アルルみたいな力を持った人がいる可能性は十分ある。

「ですね──誰が犯人か、探らないと」

「それもそうですし、このことが漏れないようにしないと。本当に世間に知られてしまったら、どうなってしまうか」

 この場所全体から途方もない魔力がこもっているというのがわかる。私たちも、うっかり秘密を洩らさないように気をつけないと。


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