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第49話 イタリアンのお店
しおりを挟む「いいのじゃ。美味しそうなのじゃ」
ちなみにこれも妹からのアドバイス。雰囲気的にもイタリアンにしなさいと言われた。
という事で、目星をつけていたおしゃれそうなイタリアン系の店へ向かう。名前は「カターニャ」。ビルの5階にあるガラス張りの店、窓から望む都会の風景がいいみたいなので場所をスクショしていた。
3階建ての小さな雑居ビル。ここ──なんだけど。店がない。あれ? ちょっと気持ちがせってしまいビルに視線を向けるが、全く違うファッション系のお店しかない。
自然と気持ちが焦ってきょろきょろと視線が泳いでしまう。そんな時に、ネフィリムが話しかけてきた。
「澄人、この奥じゃないか?」
ネフィリムがビルの端っこにいて、その奥を指さす。指さした先には、狭くて薄暗い道。
一見すると、店があるように見えず上の人が住んでる場所への入り口に見える。
「看板は、こっちを差してるぞ」
「そ、そうだね」
とりあえず、他に当てもないし行ってみようか。一見するとアパートの入り口のように狭い道を進んで、狭いエレベーターへ。エレベーターには、探していた店の名前があった。2階でいいみたいだ。
「これは迷うぞい」
「そ、そうだね」
まさか、こんな目立たない場所にあるとは。ちょっとカッコ悪いところ見せちゃったな。 でも隠れ家的な店でいいかも。
チンと音が鳴って、扉が開く。そこには、お店の入り口があった。イタリアンレストラン「カターニャ」。
入り口に入って、奥からウェイターの人が出てきた。
「2名様でよろしいですか?」
「はい。窓側の席お願いできますか?」
「あ、大丈夫ですよ。ご案内しますね」
それはよかった、運がいい。すぐに窓側の席に案内される。
窓からは、渋谷のおしゃれな街並みや建物とあふれんばかりの人が見下ろせる。
そして、店の中はそこまで人が多くなくてまばら。きっと、目立たない場所だから人が少ないのだろう。隠れ家的なお店、とても楽しみだ。
ウェイターの人がお冷を持ってくると、俺たちはiPadを手に取る。
「ここでタッチして、注文するみたい。好きなメニュー選んでね」
「おおっ、パスタにピザにワイン──どれも美味しそうなのじゃ。iPadとやらは本当にすごいのう」
ネフィリムからの評判も上等。人手不足からか、こういう注文の店が増えてきたよううな気がする。どれも、値段は高めだけどその分美味しそうな外見をしているな。
色々とiPadを動かしてメニューに視線を移す。ピサにパスタ、カルパッチョに肉料理。ワインもあるまだ飲めないけど。どれも美味しそうだけど、ネットのおすすめだと生パスタがいいってあったな。それにするか。
「パスタにしようか。生パスタ、美味しいって聞くし」
「生パスタ? 初めて聞く名前じゃ。気になるぞい」
ネフィリムも興味津々な様子。という事でメインはパスタにして、それ以外にいくつかサイドメニューを選ぶという事になりネフィリムが気になったものを頼むこととなった。俺はチーズたっぷりのトマトパスタ。ネフィリムはクリームたっぷりのカルボナーラ。それから、2人でオニオンリングとシーフードサラダ。
それを──タッチパネルで注文。出されたお冷を1口飲んで話始める。
「結構歩いて疲れちゃったね」
「そうなのじゃ。でも、澄人殿と一緒だと疲れも吹き飛ぶのじゃ。とっても元気なのじゃ」
でも、ネフィリムのそんな表情は見られない。喜んでいるのがわかる。
そこまで喜んでくれて、本当に良かった。こっちまでやりがいを感じる。
「それに、雰囲気も良いのう。高級そうで、静かで」
「ありがとう。こっちも探したかいがあったよ」
「いいセンスなのじゃ。あの、逆さ吊になっているワイングラスとか見たこともない文字のチーズやトマトソースの缶や袋とか、雰囲気がとっても素敵なのじゃ」
「わかる。あれ、向こうの世界の下町とかにもあったよね。こういう空気大好きなんだ。いかにも美味しそうな雰囲気というか」
「わかるのじゃ。よきお店を探したな。すごいのじゃ」
個人的に逆さ吊りのワイングラスはかなり雰囲気出てる。それから、イタリア語っぽい言葉とトマトの絵が描いてある缶。そして、見たことがない調味料の袋。
こういう感じは俺も好きだ。
そして、ほどなくしてサラダがやってきた。大きなボウルに、イカや刺身などのシーフードとレタスや玉ねぎなどの野菜がドレッシングと一緒に入っている。
トングで俺とネフィリムの分のサラダをそれぞれとる。
「おおっ、このドレッシング美味しいのじゃ。野菜も向こうの世界より柔らかくい。魚も臭みが少ない。素晴らしいのじゃ」
「確かに、美味しいよねこれ」
色々と、サラダでも美味しい味になるよう工夫されていていい味がされている。本格的なお店のサラダという感じだ。
そして、メインのパスタとオニオンリングがやってくる。いよいよだ。
「オニオンリング、実物を見たのは初めてなのじゃ。どんな味がするのか気になるぞい」
「ああ、向こうの世界では無かったからな。美味しいから食べてみようよ」
そして、同じタイミングでオニオンリングにケチャップをつけて食べてみる。
「うん、美味しい」
「とても美味なのじゃ!!」
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