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6話 これからは、三人で
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大きな雄たけび声をあげるドラゴン。さっきの攻撃で倒しきれていない。それどころか、肉体からさっきまでとは比べ物にならないくらいの魔力を肉体に灯している。
「何これ、突っ込んでたら返り討ちだったじゃん」
「これが、最終形態みたいなやつだと思う。ピンチになると、こうして強化されるタイプがあるんだよ」
ダンジョンの──特に最下層にいる主みたいな奴にありがちだ。いざ倒そうとして、ピンチになると今までの倍以上のパワーでこっちを圧倒してくるタイプが。
「そうなんですね。戦うしかなさそうです」
「倒したと思ったんだけどなー。そんなに甘くないかー」
強気な視線でドラゴンに杖を向けるエルムと、苦笑いで剣を構えなおしたアンネ。
そして、ドラゴンがこっちへと向かってきた。さっきとは比べ物にならない速度。しかし、こっちに向かってきたという事はチャンスでもある。
「マスター、援護を!」
「分かった。こっちにこい!!」
ドラゴンに向かって叫ぶと、それに答えるかのように突っ込んできた。桁違いの強さだけど、俺は一人で戦ってるんじゃない。
「私を見落としてませんか?」
エルムは側面から攻撃を放つ。
「逆巻く輝きよ。今希望の光になりて我が胸に宿れ! 雷の化身、ここに降臨! ボルテックス・ストリーム!!」
俺の魔力で強化された一撃、大爆発を起こしドラゴンが地面に落下。
そして、無防備になったドラゴンの背中をアンネが突っ込んでいく。
アンネが叫び、ドラゴンに向かって突進した。ここなら、有効打になりそう。こういう使い方もできるのか。
エルムに指示を飛ばす。
「エルム! 左の翼の付け根を狙って、攻撃を撃ち込んで!」
「分かりました」
エルムが頷き、大きな雷を放つ。ドラゴンが咆哮を上げ、動きが一瞬止まった隙に、アンネの剣がその首を貫いた。
絶対に負けるわけにはいかない。
「落ち着け……俺ならできる!」
目を閉じ、意識を極限まで集中させた。ネプラディスクに力を籠めると、ドラゴンの魔力構造が頭の中で形を成していく。
こいつには、対象の構造を理解する力があるようだ。魔力消費がすごいから連続使用は出来ないが要所要所で使えばかなり有効だ。
胸の奥に、黒い水晶が輝いているのが見えた。
「見えた! 胸に黒水晶がある! エルム、そこに雷撃を!」
「はい!」
エルムが頷き、雷撃を放った。雷撃はドラゴンの胸に直撃し、水晶に亀裂を走らせた。ドラゴンが咆哮を上げ、動きが一瞬止まる。
「アンネ、今だ!」
「これで勝負を決める!」
アンネが剣を振り上げ、渾身の一撃で水晶を砕いた。ドラゴンが悲鳴を上げ、黒曜石の鱗が砕け散り、巨大な身体が崩れ落ちた。
首を切断され、魔力の気配がドラゴンから消えていく。
轟音と共にドラゴンが倒れ、ダンジョンは静寂に包まれた。
部屋に静寂が戻り、三人は息を切らしながら床に座り込む。魔力消費がすご過ぎて、休憩しないと立ち上がれなそう。
ようやくの退治に一息ついていると、エルムがこっちに来て抱きついてきた。スタイルがいいせいか、柔らかいものが俺の背中に当たってる。
「すっごーい、ドラゴン倒しちゃった。シュウ君のおかげ!!」
「そんなことないよ。前線で戦ってくれた二人のおかげだよ」
「そんなことありませんよ」
エルムは、フラフラながらこっちに近づいてきて隣に座り込む。エルムだって、大技の連続使用でかなり消耗しているというのに。
「マスター、すごいです! これがあなたの真の力なんですね! 私たちの事を考えてくれたからこその」
エルムも目を輝かせた。正直、俺も驚いてる。まさか、こんな力を使えるとは。
「そうだよ。今まで加護を受けたことはあるけど、ここまですごいのは初めてだよ。シュウ君と一緒にダンジョン潜れて、本当に良かった!!」
二人に絶賛される中で、思い出してしまった。追放されたあの日の記憶が脳裏をよぎる。グラムの冷たい言葉、「最弱」「疫病神」。
だが、今二人たちが俺を信じてくれている。
これほどうれしいことはない。
「あ、ありがとう。その言葉、受け取っておく」
「やった……本当にやったんだ!」アンネが息を切らしながら笑った。
そして──ドラゴンがいた場所には大きな壁画。それから、また宝箱。
ゆっくりと歩いて近づいて、中身を確認。
今度は、しっかりとした宝石だ。それでも、魔力を込めると何かに変質するのだろうか。もう魔力が無くなりそうだから今はできないが。
売ったらどれくらいで売れるのか。
売らないけど。そう言えば、分け前とかどうするんだろうか。やっぱり、前線で戦ってきた二人の方が、多いんだろうな。
何割かクエストをクリアした分け前をもらったら、また一人になるのか。今度は、誰と組むのだろうか。一人では限界があるだろうし。そんなことを考えていると、エルムとアンネが笑みを浮かべてこっちを向いた。
「これから、私たちと一緒に行動しませんか?」
「え」
予想もしない言葉に思わずキョトンとなる。今回限りの関係だと思ったのだが。
「そうだよ。仲間探してたんでしょ? 私たちも、シュウ君が仲間になってくれたらとても嬉しいな」
「はい。どうですか?」
俺のことを、喜んで誘ってくれているのか。その気持ちは嬉しい。他に行き場所はないし、俺の返事は決まった。
「分かった。しばらく一緒に行動してみるよ」
「よろしくお願いします」
「やったー!」
喜んで飛び上がるアンネ。
こうして、俺は二人と一緒に行動することとなった。
今度こそは、自分の力を生かして二人のために頑張っていきたい。こんな俺を、拾ってくれたのだから。
「何これ、突っ込んでたら返り討ちだったじゃん」
「これが、最終形態みたいなやつだと思う。ピンチになると、こうして強化されるタイプがあるんだよ」
ダンジョンの──特に最下層にいる主みたいな奴にありがちだ。いざ倒そうとして、ピンチになると今までの倍以上のパワーでこっちを圧倒してくるタイプが。
「そうなんですね。戦うしかなさそうです」
「倒したと思ったんだけどなー。そんなに甘くないかー」
強気な視線でドラゴンに杖を向けるエルムと、苦笑いで剣を構えなおしたアンネ。
そして、ドラゴンがこっちへと向かってきた。さっきとは比べ物にならない速度。しかし、こっちに向かってきたという事はチャンスでもある。
「マスター、援護を!」
「分かった。こっちにこい!!」
ドラゴンに向かって叫ぶと、それに答えるかのように突っ込んできた。桁違いの強さだけど、俺は一人で戦ってるんじゃない。
「私を見落としてませんか?」
エルムは側面から攻撃を放つ。
「逆巻く輝きよ。今希望の光になりて我が胸に宿れ! 雷の化身、ここに降臨! ボルテックス・ストリーム!!」
俺の魔力で強化された一撃、大爆発を起こしドラゴンが地面に落下。
そして、無防備になったドラゴンの背中をアンネが突っ込んでいく。
アンネが叫び、ドラゴンに向かって突進した。ここなら、有効打になりそう。こういう使い方もできるのか。
エルムに指示を飛ばす。
「エルム! 左の翼の付け根を狙って、攻撃を撃ち込んで!」
「分かりました」
エルムが頷き、大きな雷を放つ。ドラゴンが咆哮を上げ、動きが一瞬止まった隙に、アンネの剣がその首を貫いた。
絶対に負けるわけにはいかない。
「落ち着け……俺ならできる!」
目を閉じ、意識を極限まで集中させた。ネプラディスクに力を籠めると、ドラゴンの魔力構造が頭の中で形を成していく。
こいつには、対象の構造を理解する力があるようだ。魔力消費がすごいから連続使用は出来ないが要所要所で使えばかなり有効だ。
胸の奥に、黒い水晶が輝いているのが見えた。
「見えた! 胸に黒水晶がある! エルム、そこに雷撃を!」
「はい!」
エルムが頷き、雷撃を放った。雷撃はドラゴンの胸に直撃し、水晶に亀裂を走らせた。ドラゴンが咆哮を上げ、動きが一瞬止まる。
「アンネ、今だ!」
「これで勝負を決める!」
アンネが剣を振り上げ、渾身の一撃で水晶を砕いた。ドラゴンが悲鳴を上げ、黒曜石の鱗が砕け散り、巨大な身体が崩れ落ちた。
首を切断され、魔力の気配がドラゴンから消えていく。
轟音と共にドラゴンが倒れ、ダンジョンは静寂に包まれた。
部屋に静寂が戻り、三人は息を切らしながら床に座り込む。魔力消費がすご過ぎて、休憩しないと立ち上がれなそう。
ようやくの退治に一息ついていると、エルムがこっちに来て抱きついてきた。スタイルがいいせいか、柔らかいものが俺の背中に当たってる。
「すっごーい、ドラゴン倒しちゃった。シュウ君のおかげ!!」
「そんなことないよ。前線で戦ってくれた二人のおかげだよ」
「そんなことありませんよ」
エルムは、フラフラながらこっちに近づいてきて隣に座り込む。エルムだって、大技の連続使用でかなり消耗しているというのに。
「マスター、すごいです! これがあなたの真の力なんですね! 私たちの事を考えてくれたからこその」
エルムも目を輝かせた。正直、俺も驚いてる。まさか、こんな力を使えるとは。
「そうだよ。今まで加護を受けたことはあるけど、ここまですごいのは初めてだよ。シュウ君と一緒にダンジョン潜れて、本当に良かった!!」
二人に絶賛される中で、思い出してしまった。追放されたあの日の記憶が脳裏をよぎる。グラムの冷たい言葉、「最弱」「疫病神」。
だが、今二人たちが俺を信じてくれている。
これほどうれしいことはない。
「あ、ありがとう。その言葉、受け取っておく」
「やった……本当にやったんだ!」アンネが息を切らしながら笑った。
そして──ドラゴンがいた場所には大きな壁画。それから、また宝箱。
ゆっくりと歩いて近づいて、中身を確認。
今度は、しっかりとした宝石だ。それでも、魔力を込めると何かに変質するのだろうか。もう魔力が無くなりそうだから今はできないが。
売ったらどれくらいで売れるのか。
売らないけど。そう言えば、分け前とかどうするんだろうか。やっぱり、前線で戦ってきた二人の方が、多いんだろうな。
何割かクエストをクリアした分け前をもらったら、また一人になるのか。今度は、誰と組むのだろうか。一人では限界があるだろうし。そんなことを考えていると、エルムとアンネが笑みを浮かべてこっちを向いた。
「これから、私たちと一緒に行動しませんか?」
「え」
予想もしない言葉に思わずキョトンとなる。今回限りの関係だと思ったのだが。
「そうだよ。仲間探してたんでしょ? 私たちも、シュウ君が仲間になってくれたらとても嬉しいな」
「はい。どうですか?」
俺のことを、喜んで誘ってくれているのか。その気持ちは嬉しい。他に行き場所はないし、俺の返事は決まった。
「分かった。しばらく一緒に行動してみるよ」
「よろしくお願いします」
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