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チュートリアル
18 冒険者ギルドの依頼
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冒険者ギルドに入って、まずは依頼ボードでもみようかなあ……と思ったら、モヒカン先輩冒険者が話しかけて来た。
「よお、新入り。おめえ、最近調子良いみてえじゃねえか?」
「あ、どうもです先輩。そうですね、頑張ってます!」
「ちょっと相談なんだがな、俺の兄弟に荷物を届けてくれねえか? 俺はこのギルドのエースだから、何かと忙しいんだよ」
「おつかいですか? 今ちょうど暇だからいいですけど。どこに行けばいいんですか?」
私が答えると先輩は少し困った顔をした。あれ、もしかしてやばいところなのかな……? そう思って身構えていると、先輩が口を開いた。
「俺の兄弟たちはよお、世界各地の冒険者ギルドにいるんだ。誰でもいいからその内の一人にこれを渡してもらいてえ。飛空艇代は出すからよ。頼まれてくれっか?」
そういってモヒカン先輩は小さな箱を差し出してきた。
【ストーリークエスト とある冒険者の頼み】
冒険者から受け取った荷物を届けよう。
渡す相手はローレン支部、ケノーラ支部、バルティカ支部、バールバラ支部にいる冒険者のいずれか一人。
このクエストを受けますか? Y/N
えええっ、ちょっと待って! 飛空艇代は出すって事は他の国に行けって事? まだここに来たばっかりで満足に観光もしてないのに。
これはお断りした方がいいかな。みんなと離れる事になるかもしれないし……。ひとまず『N』で。
「すみません。これはすぐには受けられないです。みんなと相談しないと……」
「ああ、そうだな。すまねえな急にこんなこと言っちまって。まあ、急ぐもんでもねえから気が向いたら引き受けてくれや。じゃあな」
そう言ってモヒカン先輩は去っていった。
とりあえず誰かに言った方がいいよね? みさとは配信で、るなちゃんはトークショーに言ってるから、はるちゃんに個人チャットしてみよう。
『ジャスパー:はるちゃん、ちょっといい? 今、冒険者ギルドでイベントみたいなの発生したんだけど……』
しばらくすると、はるちゃんから返信が来る。
『ルサルカ:イベント? どんな内容の?』
『ジャスパー:なんかね、他の国の冒険者ギルドに行って荷物届けて来いって言われたんだけど』
『ルサルカ:ああ、それは移籍イベントね。レベル10になると飛空艇チケットが貰えて他の国の冒険者ギルドに移籍できるんだって』
『ジャスパー:咄嗟に断っちゃったけど、受けた方がよかったかな?』
『ルサルカ:たしか、断っても後から受けられるはずよ。みんなと相談して決めましょう。まだここで出来ることもあるだろうし、急いで他に行く必要ないと思うわ』
『ジャスパー:そうだね。そうだよね。わかった! ありがとう!』
『ルサルカ:それより、暇なら一緒にギルドの依頼やらない? 雑用ばっかりだけど……』
『ジャスパー:やるやる! ちょうど今からやろうとしてたんだ!』
『ルサルカ:じゃあ、今からそっちに行くわ』
『ジャスパー:わかった。待ってる。』
冒険者ギルド前でしばらく待っていると、はるちゃんがやって来た。
さっそくパーティー申請をしてくる。私はそれを承諾した。
「お待たせ。さっそく始めましょう」
「おー!」
はるちゃんと二人で冒険者ギルドに入る。
「ここって他の人がいないから私専用の空間だとおもってたけど、そういう訳でもないんだね」
「ああ、インスタンスダンジョン……、いえ、この場合はインスタンスエリアかな? パーティーを組めば一緒に入れるのよ」
「そうなんだ。じゃあ、全員で入ることも出来るんだね」
「パーティーならね。それ以上だとわからないけど」
はるちゃんはMMO経験者なので、こういうのには詳しい。私は全然だからからねー……。
まあ、わからないものを手探りでやるのもゲームの醍醐味だと思うので、積極的に調べようとはしていないけど。
それより依頼ボードを見よう。5万ギルドポイント貯めて、革細工ギルド直営店で売っていたショートブーツを買うのだ!
今受けられる依頼はこんな感じだった。
『迷子猫探し』
『チラシ配り』
『家の掃除』
『荷物運び』
『犬の散歩』
うーん、どれもぱっとしないなあ……。はるちゃんが雑用と言ったのがよくわかる。
でも、冒険者ギルドに入ったばかりの新人がやる仕事って言われると、こんなものなのかもしれない。
なんにも経験が無いからね。仕方ないよねえ……。
「一人だと一つづつしか依頼受けられないけど、パーティーなら人数分受けられるのよ。分担してやりましょう」
「おおー! いいね、それ! 私、犬か猫のどちらかやりたい!」
「そうね。やりたいなら両方やってもいいわよ。私はチラシ配りでもしようかしら」
「ありがとう! はるちゃん大好き!」
どっちから先にやろうかなあ……。やっぱり可愛い動物はいいよねえ……。
よし、決めた! 最初は犬をやるぞ!
犬の散歩の依頼書を取ってクエストカウンターに持って行く。カウンターには大人っぽい雰囲気のお姉さんがいた。
「すみません、この依頼を受けたいのですけど……」
「はい、分かりました。それではこちらをどうぞ。クエストの詳細です」
お姉さんに依頼書を手渡すと、代わりに紙を手渡される。そこには『宿屋で犬を受け取り指定の場所を散歩する』と書かれていた。
これだけ? 口頭でいいんじゃない?
「宿屋は時計台広場から門へ行く途中にあります。頑張ってください」
「はーい!」
返事をして意気揚々と冒険者ギルドを出ていくのだった。
「よお、新入り。おめえ、最近調子良いみてえじゃねえか?」
「あ、どうもです先輩。そうですね、頑張ってます!」
「ちょっと相談なんだがな、俺の兄弟に荷物を届けてくれねえか? 俺はこのギルドのエースだから、何かと忙しいんだよ」
「おつかいですか? 今ちょうど暇だからいいですけど。どこに行けばいいんですか?」
私が答えると先輩は少し困った顔をした。あれ、もしかしてやばいところなのかな……? そう思って身構えていると、先輩が口を開いた。
「俺の兄弟たちはよお、世界各地の冒険者ギルドにいるんだ。誰でもいいからその内の一人にこれを渡してもらいてえ。飛空艇代は出すからよ。頼まれてくれっか?」
そういってモヒカン先輩は小さな箱を差し出してきた。
【ストーリークエスト とある冒険者の頼み】
冒険者から受け取った荷物を届けよう。
渡す相手はローレン支部、ケノーラ支部、バルティカ支部、バールバラ支部にいる冒険者のいずれか一人。
このクエストを受けますか? Y/N
えええっ、ちょっと待って! 飛空艇代は出すって事は他の国に行けって事? まだここに来たばっかりで満足に観光もしてないのに。
これはお断りした方がいいかな。みんなと離れる事になるかもしれないし……。ひとまず『N』で。
「すみません。これはすぐには受けられないです。みんなと相談しないと……」
「ああ、そうだな。すまねえな急にこんなこと言っちまって。まあ、急ぐもんでもねえから気が向いたら引き受けてくれや。じゃあな」
そう言ってモヒカン先輩は去っていった。
とりあえず誰かに言った方がいいよね? みさとは配信で、るなちゃんはトークショーに言ってるから、はるちゃんに個人チャットしてみよう。
『ジャスパー:はるちゃん、ちょっといい? 今、冒険者ギルドでイベントみたいなの発生したんだけど……』
しばらくすると、はるちゃんから返信が来る。
『ルサルカ:イベント? どんな内容の?』
『ジャスパー:なんかね、他の国の冒険者ギルドに行って荷物届けて来いって言われたんだけど』
『ルサルカ:ああ、それは移籍イベントね。レベル10になると飛空艇チケットが貰えて他の国の冒険者ギルドに移籍できるんだって』
『ジャスパー:咄嗟に断っちゃったけど、受けた方がよかったかな?』
『ルサルカ:たしか、断っても後から受けられるはずよ。みんなと相談して決めましょう。まだここで出来ることもあるだろうし、急いで他に行く必要ないと思うわ』
『ジャスパー:そうだね。そうだよね。わかった! ありがとう!』
『ルサルカ:それより、暇なら一緒にギルドの依頼やらない? 雑用ばっかりだけど……』
『ジャスパー:やるやる! ちょうど今からやろうとしてたんだ!』
『ルサルカ:じゃあ、今からそっちに行くわ』
『ジャスパー:わかった。待ってる。』
冒険者ギルド前でしばらく待っていると、はるちゃんがやって来た。
さっそくパーティー申請をしてくる。私はそれを承諾した。
「お待たせ。さっそく始めましょう」
「おー!」
はるちゃんと二人で冒険者ギルドに入る。
「ここって他の人がいないから私専用の空間だとおもってたけど、そういう訳でもないんだね」
「ああ、インスタンスダンジョン……、いえ、この場合はインスタンスエリアかな? パーティーを組めば一緒に入れるのよ」
「そうなんだ。じゃあ、全員で入ることも出来るんだね」
「パーティーならね。それ以上だとわからないけど」
はるちゃんはMMO経験者なので、こういうのには詳しい。私は全然だからからねー……。
まあ、わからないものを手探りでやるのもゲームの醍醐味だと思うので、積極的に調べようとはしていないけど。
それより依頼ボードを見よう。5万ギルドポイント貯めて、革細工ギルド直営店で売っていたショートブーツを買うのだ!
今受けられる依頼はこんな感じだった。
『迷子猫探し』
『チラシ配り』
『家の掃除』
『荷物運び』
『犬の散歩』
うーん、どれもぱっとしないなあ……。はるちゃんが雑用と言ったのがよくわかる。
でも、冒険者ギルドに入ったばかりの新人がやる仕事って言われると、こんなものなのかもしれない。
なんにも経験が無いからね。仕方ないよねえ……。
「一人だと一つづつしか依頼受けられないけど、パーティーなら人数分受けられるのよ。分担してやりましょう」
「おおー! いいね、それ! 私、犬か猫のどちらかやりたい!」
「そうね。やりたいなら両方やってもいいわよ。私はチラシ配りでもしようかしら」
「ありがとう! はるちゃん大好き!」
どっちから先にやろうかなあ……。やっぱり可愛い動物はいいよねえ……。
よし、決めた! 最初は犬をやるぞ!
犬の散歩の依頼書を取ってクエストカウンターに持って行く。カウンターには大人っぽい雰囲気のお姉さんがいた。
「すみません、この依頼を受けたいのですけど……」
「はい、分かりました。それではこちらをどうぞ。クエストの詳細です」
お姉さんに依頼書を手渡すと、代わりに紙を手渡される。そこには『宿屋で犬を受け取り指定の場所を散歩する』と書かれていた。
これだけ? 口頭でいいんじゃない?
「宿屋は時計台広場から門へ行く途中にあります。頑張ってください」
「はーい!」
返事をして意気揚々と冒険者ギルドを出ていくのだった。
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