3 / 27
初等部一年
3
しおりを挟む
ふぅ……入学式、緊張したーっ!
学園から帰るなり、自分の部屋に直行。
帰りがけにもらった鞄をベッドに放り投げ、そのまま私もベッドにダイブ!
鞄から適当に教科書を一冊引っ張り出す。
寝転がりながら、手に取った教科書の表紙を眺めると――『魔法学』と書いてあった。
魔法かー。最初はワクワクしてたんだけどなあ。
私のいた世界とは違って、この世界には“魔法”っていうファンタジー要素が存在する。
それを知ったときの私のテンションといったら、もう!
「きた! 魔法チート! 日本人の強力な妄想力がついに本領発揮するとき!!」
――って、思ったのも束の間。
調べてみたら、全然そんなのじゃなかった。ガックシ。
魔法の発動には、正しい知識と道具、それに法則に基づいた“魔力回路”を刻む必要があるらしい。
なにそれ? 全然チートじゃないじゃん。
しかも発動には複数人必要って……めんどくさっ!
そんなわけで、私の魔法チートの夢は早々に散りました。
だってさ、実際には知識だけで滅多に使われない技術なんだよ? ロマンはあるけど日常じゃ役に立たないヤツ。古文かよ。こんなの覚える必要なくね?
……あ、でも一つだけ例外がある。回復魔法。
これだけは特殊で、個人が思っただけで使えるという超便利スキル。
小さい傷ならその場で治るし、何より道具も知識もいらない。……まあ、大きなケガには病院行けって感じだけど。
こういうのでいいんだよ! ……まあ、私は使えないけどね!
もし使えてたら、貴族も平民も関係なく入れるっていう「聖セレスティア女学院」に行くって道もあったんだけどなー。
長年庶民やってた私としては、そっちのほうが気楽だったのに。
「はぁ~……」
ぶつぶつ文句を言いながらベッドの上でばたばたしていたら、部屋の扉から控えめなノック音が響いた。
「お嬢様、夕食の準備が整いました」
「……はい。今、向かいます」
瞬時に切り替え、姿勢を正して返事をする。
そう。今の私は、名門公爵家の令嬢――つまり“超お嬢様”。
たとえ相手が屋敷の使用人でも、庶民っぽい姿は見せられない。
* * *
翌日の学園。クラスの人と初顔合わせだ。
私は、不安と期待と不安と微妙な眠気を胸に、教室の扉を開けた。
「ごきげんよう」
軽く一礼しながらそう言ってみたけれど──
……あれ? 誰も返事しない。いや、聞こえてなかっただけかも。まあいいか。
とりあえず開いている後ろの方の席に向かいながら軽く周囲を見渡す。
みんな荷物をチェックしてたりして視線が合わない。
初日だし、人見知り発動してんのかなあ?
そう思ってたら、いきなり声を掛けられた。
「リシェリア様っ! ごきげんようっ!」
振り返ると、ふわっとした金髪を結った少女が目の前に立っていた。
続けざまに、もう一人の落ち着いた雰囲気の黒髪の少女も一礼する。
「ごきげんよう、リシェリア様。入学式のとき、凛としていらして本当に素敵でしたわ」
「本当に。立ち居振る舞いの一つ一つが洗練されていて、さすがですわ。ご実家のご教育の賜物でしょうか?」
(えっ……誰? ってか何?)
フリーズしかかっていた脳をなんとか動かして二人に問いかける。
「ええと、おふたりは──」
「あっ、申し遅れましたわ! わたくし、リディア・カーターと申します!」
「わたくしはカレン・メリディスです」
「ご、ごきげんよう、リディアさん、カレンさん。リシェリア・アルディアです。よろしくお願いしますね」
にこっと笑って返したけど──
──正直、まだクラスの名簿すら見てなかったから、誰が誰だかさっぱりだ。
(あー、昨日チェックしておけばよかったなあ……)
なんて考えてたら、ふたりのテンションは止まらない。
「リシェリア様、もしよろしければ、今日のお昼ご一緒していただけませんこと?」
「わたくしたち、お手伝いできることがあれば何でもいたしますわ」
(えっ、えっ、なにこれ!? てか、なんでそんなに懐かれてるの私!?)
学園から帰るなり、自分の部屋に直行。
帰りがけにもらった鞄をベッドに放り投げ、そのまま私もベッドにダイブ!
鞄から適当に教科書を一冊引っ張り出す。
寝転がりながら、手に取った教科書の表紙を眺めると――『魔法学』と書いてあった。
魔法かー。最初はワクワクしてたんだけどなあ。
私のいた世界とは違って、この世界には“魔法”っていうファンタジー要素が存在する。
それを知ったときの私のテンションといったら、もう!
「きた! 魔法チート! 日本人の強力な妄想力がついに本領発揮するとき!!」
――って、思ったのも束の間。
調べてみたら、全然そんなのじゃなかった。ガックシ。
魔法の発動には、正しい知識と道具、それに法則に基づいた“魔力回路”を刻む必要があるらしい。
なにそれ? 全然チートじゃないじゃん。
しかも発動には複数人必要って……めんどくさっ!
そんなわけで、私の魔法チートの夢は早々に散りました。
だってさ、実際には知識だけで滅多に使われない技術なんだよ? ロマンはあるけど日常じゃ役に立たないヤツ。古文かよ。こんなの覚える必要なくね?
……あ、でも一つだけ例外がある。回復魔法。
これだけは特殊で、個人が思っただけで使えるという超便利スキル。
小さい傷ならその場で治るし、何より道具も知識もいらない。……まあ、大きなケガには病院行けって感じだけど。
こういうのでいいんだよ! ……まあ、私は使えないけどね!
もし使えてたら、貴族も平民も関係なく入れるっていう「聖セレスティア女学院」に行くって道もあったんだけどなー。
長年庶民やってた私としては、そっちのほうが気楽だったのに。
「はぁ~……」
ぶつぶつ文句を言いながらベッドの上でばたばたしていたら、部屋の扉から控えめなノック音が響いた。
「お嬢様、夕食の準備が整いました」
「……はい。今、向かいます」
瞬時に切り替え、姿勢を正して返事をする。
そう。今の私は、名門公爵家の令嬢――つまり“超お嬢様”。
たとえ相手が屋敷の使用人でも、庶民っぽい姿は見せられない。
* * *
翌日の学園。クラスの人と初顔合わせだ。
私は、不安と期待と不安と微妙な眠気を胸に、教室の扉を開けた。
「ごきげんよう」
軽く一礼しながらそう言ってみたけれど──
……あれ? 誰も返事しない。いや、聞こえてなかっただけかも。まあいいか。
とりあえず開いている後ろの方の席に向かいながら軽く周囲を見渡す。
みんな荷物をチェックしてたりして視線が合わない。
初日だし、人見知り発動してんのかなあ?
そう思ってたら、いきなり声を掛けられた。
「リシェリア様っ! ごきげんようっ!」
振り返ると、ふわっとした金髪を結った少女が目の前に立っていた。
続けざまに、もう一人の落ち着いた雰囲気の黒髪の少女も一礼する。
「ごきげんよう、リシェリア様。入学式のとき、凛としていらして本当に素敵でしたわ」
「本当に。立ち居振る舞いの一つ一つが洗練されていて、さすがですわ。ご実家のご教育の賜物でしょうか?」
(えっ……誰? ってか何?)
フリーズしかかっていた脳をなんとか動かして二人に問いかける。
「ええと、おふたりは──」
「あっ、申し遅れましたわ! わたくし、リディア・カーターと申します!」
「わたくしはカレン・メリディスです」
「ご、ごきげんよう、リディアさん、カレンさん。リシェリア・アルディアです。よろしくお願いしますね」
にこっと笑って返したけど──
──正直、まだクラスの名簿すら見てなかったから、誰が誰だかさっぱりだ。
(あー、昨日チェックしておけばよかったなあ……)
なんて考えてたら、ふたりのテンションは止まらない。
「リシェリア様、もしよろしければ、今日のお昼ご一緒していただけませんこと?」
「わたくしたち、お手伝いできることがあれば何でもいたしますわ」
(えっ、えっ、なにこれ!? てか、なんでそんなに懐かれてるの私!?)
1
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが
侑子
恋愛
十歳の時、自分が乙女ゲームのヒロインに転生していたと気づいたアリス。幼なじみで従者のジェイドと準備をしながら、ハッピーエンドを目指してゲームスタートの魔法学園入学までの日々を過ごす。
しかし、いざ入学してみれば、攻略対象たちはなぜか皆他の令嬢たちとラブラブで、アリスの入る隙間はこれっぽっちもない。
「どうして!? 一体どうしてなの~!?」
いつの間にか従者に外堀を埋められ、乙女ゲームが始まらないようにされていたヒロインのお話。
図書館でうたた寝してたらいつの間にか王子と結婚することになりました
鳥花風星
恋愛
限られた人間しか入ることのできない王立図書館中枢部で司書として働く公爵令嬢ベル・シュパルツがお気に入りの場所で昼寝をしていると、目の前に見知らぬ男性がいた。
素性のわからないその男性は、たびたびベルの元を訪れてベルとたわいもない話をしていく。本を貸したりお茶を飲んだり、ありきたりな日々を何度か共に過ごしていたとある日、その男性から期間限定の婚約者になってほしいと懇願される。
とりあえず婚約を受けてはみたものの、その相手は実はこの国の第二王子、アーロンだった。
「俺は欲しいと思ったら何としてでも絶対に手に入れる人間なんだ」
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
魔法師団長の家政婦辞めたら溺愛されました
iru
恋愛
小説家になろうですでに完結済みの作品です。よければお気に入りブックマークなどお願いします。
両親と旅をしている途中、魔物に襲われているところを、魔法師団に助けられたティナ。
両親は亡くなってしまったが、両親が命をかけて守ってくれた自分の命を無駄にせず強く生きていこうと決めた。
しかし、肉親も家もないティナが途方に暮れていると、魔物から助けてくれ、怪我の入院まで面倒を見てくれた魔法師団の団長レオニスから彼の家政婦として住み込みで働かないと誘われた。
魔物から助けられた時から、ひどく憧れていたレオニスの誘いを、ティナはありがたく受ける事にした。
自分はただの家政婦だと強く言い聞かせて、日に日に膨らむ恋心を抑え込むティナだった。
一方、レオニスもティナにどんどん惹かれていっていた。
初めはなくなった妹のようで放っては置けないと家政婦として雇ったが、その健気な様子に強く惹かれていった。
恋人になりたいが、年上で雇い主。
もしティナも同じ気持ちでないなら仕事まで奪ってしまうのではないか。
そんな思いで一歩踏み出せないレオニスだった。
そんな中ある噂から、ティナはレオニスの家政婦を辞めて家を出る決意をする。
レオニスは思いを伝えてティナを引き止めることができるのか?
両片思いのすれ違いのお話です。
ワンチャンあるかな、って転生先で推しにアタックしてるのがこちらの令嬢です
山口三
恋愛
恋愛ゲームの世界に転生した主人公。中世異世界のアカデミーを中心に繰り広げられるゲームだが、大好きな推しを目の前にして、ついつい欲が出てしまう。「私が転生したキャラは主人公じゃなくて、たたのモブ悪役。どうせ攻略対象の相手にはフラれて婚約破棄されるんだから・・・」
ひょんな事からクラスメイトのアロイスと協力して、主人公は推し様と、アロイスはゲームの主人公である聖女様との相思相愛を目指すが・・・。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
婚約破棄された際もらった慰謝料で田舎の土地を買い農家になった元貴族令嬢、野菜を買いにきたベジタリアン第三王子に求婚される
さら
恋愛
婚約破棄された元伯爵令嬢クラリス。
慰謝料代わりに受け取った金で田舎の小さな土地を買い、農業を始めることに。泥にまみれて種を撒き、水をやり、必死に生きる日々。貴族の煌びやかな日々は失ったけれど、土と共に過ごす穏やかな時間が、彼女に新しい幸せをくれる――はずだった。
だがある日、畑に現れたのは野菜好きで有名な第三王子レオニール。
「この野菜は……他とは違う。僕は、あなたが欲しい」
そう言って真剣な瞳で求婚してきて!?
王妃も兄王子たちも立ちはだかる。
「身分違いの恋」なんて笑われても、二人の気持ちは揺るがない。荒れ地を畑に変えるように、愛もまた努力で実を結ぶのか――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる