ランブルビースト ~獣が強くて人類滅亡の危機なのでビッチがセックスで戦います~【東京編】

扶桑のイーグル

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ワイバーン

15体目 ニンジャ奮闘する!

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『ポイント8876-5090でハーピー! 落としても再生の予兆あり!』

『ポイント8822-5157に大きな反応。偵察を頼む』

『スカウト1、了解。8822-5157に向かう』

『メイラー1了解。スカウト1を支援する』

 突如として現れた再生するハーピーの大群に振り回される皇都防衛隊。指令室には各方面から焦りと困惑が多分に混じった声が送られてきていた。
 その混乱の最中、緑達「ハンター」の出撃準備が早急に整えられていた。




「五番です。ご活躍をお祈りしています」

「ありがとう……行ってくる」

 緑は後部に、掠れてはいるが大きな白文字で「伍」と書かれた装甲車に乗り込み、一人の兵士に敬礼を返す。
 新入りらしい兵士は敬礼と口を結んだ表情を一貫として崩さなかったが、我慢しきれなかったのかドアが閉まる直前には硬い面持ちがだらしなく緩むのが見えた。

(ふっ……この美貌びぼうに笑われたんだ、ああなるのも仕方ないな)

 緑はいつものように(心の中で)自画自賛しながら、加速に揺られる。
 装甲車の中は防弾ガラスもなく無く、電光も切っているため暗い。

 慌てて乗ったために誰が隣なのか分からず、最初は全員黙りこくっていた。しかし、そのうち暗闇にも目が慣れてきて微かに周りが見えるようになる。緑の目の前にいたのは……。

「ん? お前サラダか?」

 床に付きそうなほど長いツインテールが手の届くほど近くにあり、ある種の確信を持って本人に聞く。

「……この私に向かってその口の利き方、さては緑ね」

「やっぱりお前か! 同じ車両とは奇遇だな」

「嬉しくないわよ」

 よく見知った顔がいると分かり、笑顔になる緑と嫌そうにする菜々。対照的な二人だが、この場においては共通点があった。

「緑……? もしかしてあの緑さん!?」

「うっそ……同じ車なの?」

「菜々さんもいらっしゃるって!」

「菜々様はどこ……ここ?」

「それは私のおっぱ……ぁんっ! こらっ!」

 例え暗く揺れる狭い車内でも二人の姿を一目見ようと押し合いになるほどの人気ぶりは、僅かな差こそあれ共通している。

大物狩りドラゴンスレイヤー」の名の通り、どんな相手でもタイマンなら最強無敗を誇る菜々と、戦果一番で大体の性闘ならそつなくこなせ、菜々とは別に「最強」の呼び声高い緑。

 二人はハンターにとって憧れの的であり、またその美形から(楽ほどではないにせよ)ファンは男女問わず多い。特に菜々は「一部の層ロリコン」から熱烈な支持を受けている。

「皆そう暴れるな……」

「ったくこれだから大規模戦は嫌なのよ」

「きゃー! 緑さんの声よ!」

「菜々様の突き放したようなお声、ゾクゾクしますわ」

 宥めようにも熱はヒートアップするばかりで、たちまち装甲車の中は黄色い喜声きせいで溢れかえってしまった。




『こちらスカウト1。ポイント8822-5157に中型荒獣を視認。くらい分からず』

『HQ了解。メイラー1と共に威力偵察を実施せよ』

『スカウト1、了解』

『メイラー1了解』

 二機のヘリが、その本体部分を覆うほどに大きなローターをうるさく回転させて廃墟の影から出現する。
 崩壊しかけのビルによって四角く切り取られた空間。そこに、今回の騒動の発端が羽を休めていた。

 竜のような形をした荒獣。但し外皮は鱗などに包まれてはおらず、まるでなめし皮のように多少の光沢を放っている。
 顔は細長くドラゴンと似ているが、それよりも円錐形に近く恐竜を彷彿ほうふつさせる。そんな生物が皮膜だけの羽を折りたたみ、小さなカギ爪を窓枠に引っ掛けて壁に止まっている。

 まだ名も無き荒獣は、ヘリを見つけるや否や大きく上空へと向けて飛翔した。ヘリの乗員は自分たちに飛んでくる巨体に一瞬、狼狽える。

『こちらスカウト1。対象の荒獣が飛んだ。飛行型だ。まっすぐ突っ込んでくる。HQ、HQ! 突っ込んでくる!』

『回避せよ。攻撃を受けるな』

『ブレイク、ブレイク!』

 偵察ヘリ、OH-1のパイロットはどう逃げるべきか思考する。

 まずは最初の一撃を、どうかわすか。
 後ろを向くか? 間に合わない。
 横にスライドするか? 喰われる。

 なら……答えは一つ。

 手元の操縦桿を全力で押し倒し、飛んできた荒獣に向かって突進する。同時にスロットルを上げた。
 2000馬力を発揮する2基のエンジンが熱気を吹き出し甲高く叫び始める。頭上のローターがけたたましく音を鳴らして回転が加速する。

『……いや、ちょっ、冬威さん!?』

 前方の座席に座っている観測手が後ろを向きながら驚いた様子を見せるが、このヘリのパイロット、木枯冬威(こがらしとうい)にそんな事は関係なかった。

 武装の無い偵察ヘリが、得体の知れない荒獣と正対する。
 それはいかなる恐怖か。

 ……荒獣と戦う。そこにどす黒い概念は常に付きまとっている。ただの兵士でも、ハンターでもそれは変わらない。そして、時としてその概念は本物になり牙を剥いて襲いかかる。

 兵士の感じる恐怖は、最初から最後まで全て真っ黒に塗りつぶされた恐怖だ。

 対してハンターの感じる恐怖は、限界まで快楽に上塗りされた恐怖だ。それを「まだ恵まれている」と思う平兵士はいるだろうか。

 否。死は死であり、恵まれているなどとは思わない。

 この時代では価値の下がった男兵士達だが、それを理解した上で一つの信念を持っている。『女神を護れ! そのためだけに勇敢であれ!』━━それが、兵士の間で使われる合言葉だった。

 勇敢と無謀。紙一重の選択肢。

 今、木枯冬威の感じている恐怖は、地上で闘っている女神達ヴァルキリーに捧げる物だ。彼は、乗っている愛機が荒獣と接触する手前で、操縦桿を、今度は勢いよく右へ倒した。

 その瞬間、彼の恐怖は勇気へと変わる。

 OH-1ニンジャ。それは素晴らしく機動性に富んだ偵察ヘリ。機体は彼の勇気に応え、急激に向きを変える。右に横転し、旋回を始めるまでには一秒も要らなかった。

「ギイイイィッ!」

 真横を高速で駆け抜けていくヘリに怒りを露わにする荒獣。空の王として俊敏しゅんびんさに富む自分の攻撃を、人間如きが躱した。その事実を許せず、ニンジャを追いかける荒獣。

 上空でクルリと向きを変えると、地上へ向かって落ちる。重力に引かれる隕石の如く、地面へと突進する一機と一匹。

 地面とキスする一歩手前で頭を上げ、時速300kmという速度で地上の砂ぼこりと草葉を巻き上げながらビルの谷間を駆け抜ける。

『ブレイク成功。こいつをヴァルキリーの元へ届ける』

「ギイイイ!」

 超低空のエアレースが、始まった。
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