ランブルビースト ~獣が強くて人類滅亡の危機なのでビッチがセックスで戦います~【東京編】

扶桑のイーグル

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ワイバーン

22体目 レモンの逆襲

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 蛍光灯が照らす教室ほどの大きさの部屋。その中に皇都及び日本政府の重役が集まって会議を行う。

 部外者は一切入れない密室で、対策委員会の名の元に話が進められていた。

「今回の防衛戦で死者30余名、負傷者は82名に及んでいます」

 進行役が概要を読み上げる。進行役の話は続く。

「死亡理由の多くは、機関銃の操作中にハーピーに連れ去られ、その後食べられる。高所から落下する等が報告されています。また、ワイバーンが生きている間はワイバーンの周囲のハーピーが再生し続けていたという報告もあります」

「再生……? そんな馬鹿な事があるか」

「今回はハーピーが大量に押し寄せてきたんだ。見間違えたんだろう」

「下位荒獣だぞ? ありえない」

 ハーピーが再生していたという話は、満場一致で見間違えか嘘だと言う話になり流れた。進行役は現場の意見を軽視するスーツ姿の男達を一瞥(べつ)するが、彼は努めて平静を装った。その内に質問が飛んでくる。

「それよりも、機関銃というのは、車内のでは無いのだろう? 連れ去られる、という事は上に付いているやつだな」

「おっしゃる通りです」

「やはり身を乗り出して戦闘するのは危険だ」

「しかし、他に方法があるか」

「車内から操作できるようにするキットが、随分前から他国では実現している。我が国もできるはずだ」

「そんなもの金がかかりすぎる」

「砲塔を付けてはどうかね」

「更に金がかかる案を出してどうする。しかも重くなるぞ」

「どうせ中位以上には効かん。このままでも……」

「ではまた死者を出せと、現場に言うのか」

 喧喧囂囂けんけんごうごうの議論の末、装甲車には予算の許す限りのアップデートを加えるとの意見で決着が付いた。

「では次です。荒獣研究所主任兼回収班班長担当の八雲主任から研究費用の請求が来ています。添付資料をお読みください」

 資料が配られ、受け取ったものから顔が険しくなっていく。

「なんだこれは。前期に比べて三倍に跳ね上がっているじゃないか!」

「なんでこんなに必要なんだ!」

 装甲車のアップデートで早くも予算を使い切りそうなのに、膨れ上がった研究費用で非難の声が上がる。進行役はなだめてから、資料を読むようにと再度促した。

 各々が資料を読み進めると、次第に険しい顔が困ったように歪む。終いには皆考え込んでしまった。

「この数値が本当だとしたら……」

「しかしほぼ推測だしなあ……」

「だが、資金を出す価値はある……のか?」

 暫く会議室からは唸り声しか聞こえなかったという。





「失礼する」

「おや……」

 黒いコートを着て研究室に入ってきた肥満気味の男に、八雲は実験の手を止めて向き直った。

「珍しいですね」

「ふん、色々忙しいんだよ。君は上手くやってくれてるようで何より。さて質問だが……」

 男は喋りながら、研究室入口にあるエンジ色のソファにどかりと腰を下ろした。

「あの資料本気かね?」

「本気ですよ。馬鹿みたいな話でしょうけど」

「そうか、いや本気ならいいんだ。至急進めて欲しい。今日中にでも」

「それはまた…どうしてそんな急ぐんです?」

 やけに早急な依頼に驚く八雲。それに対し、男は険しい顔を浮かべて別の質問を行う。

「ワイバーン、君はどう思う」

「周りのハーピーを再生させていた、使役していた、という話ですか。有りうるとは思いますよ」

「だろう。何人かそう言っているんだ、見間違えとは考えにくい。最近の荒獣は凶暴性が増しているとも聞く。奴らは着実に進化を続けている」

「それに対抗するために、僕の研究が必要だと仰ってくれるんですね!」

 にこやかな笑顔を見せた八雲。だが逆に、男の顔は更に険しさを増す。

「そうだ。できるだけ戦力を増強し…だが場合によっては準備が整う前にしかけねばならん」

「仕掛ける?」

「……近々、反撃作戦を実行する。まだ時間はかかるが、いずれ必ず!」

 強い口調でそう明かす男の拳は、わなわなと震えていた。





「……あれ……レモン?」

 菜々が動けないのをいい事に、散々笑ってから自分の部屋に帰ってきた楽。すぐに部屋の異変に気づいた。

 ベッドに縛り付けておいたレモンがいなくなっている。

 確かに手は解かれていたので、足の縄を解くくらいはするだろう。だがそれにしても、部屋の中を彷徨(さまよ)っていなければおかしい。

 しかし部屋の中にはいない。かと言って、誰かが侵入した形跡や、ましてや連れ去られた形跡も無い。

「まさか抜け出して……ダメだ! レモン!」

 レモンが部屋を抜け出したと思い込んだ楽は部屋を出ようとして……足に痛みを感じたと思ったら次の瞬間にはベッドの上に倒れていた。

「……? レモン……これはいったい……?」

「放置プレイなんて酷いですよ、楽様」

 どうやら向きを変えた瞬間、天井から落ちてきたレモンに後ろ足を払われ、ベッドの上に寝転がされたようだ。

 どうやらレモンは怒っているらしい。煽情的に笑いながら、しっかりと楽の腹部に腰を下ろしマウントを取っていた。

「よかった、てっきりどこかに行ったかと……。あの、レモン。君の愛情は分かったから退いてくれないかな。今僕は凄く疲れて……」

「それなら、好都合です。ろくに抵抗もできない楽様を犯せるなんて……」

 レモンは指を滑らせるようにして、服のボタンを器用に外していく。
 楽の察しが現実のものになった。

「レモン……? 何を言って……」

「足を縛ったまま放置して、どこで遊び歩いてたんですか?」

「遊び……違うよレモン。遊びじゃなくて仕事。君が不安に思うことなんて何一つない……さ、いい子だから止めないか」

「……」

「レモン……僕だって人間、生き物だ。疲れるし、眠い時もある。あんまり聞き分けが悪いと、怒るよ」

 楽は気だるさを押し殺し、レモンに怒った顔を近づけ見せつける。だがレモンはその程度威嚇、意にも介さなかった。

 再度、楽を押し倒す。さっきよりも強く肩を掴んで。

「いつっ……レモン!」

「ご主人様が怒ってると言うなら、私だって怒ってます」

「な……」

 僅かに涙を浮かべた顔に、それ以上反抗することはできなかった。

「私は今日、死ぬ事を覚悟していました。けど、貴方達が保護してくれた。そして強引だったけど、私の内に眠る本性……アラケモノの本性を呼び覚ましてくれて、それはとっても気持ちよかった……。なのにすぐどこかへ行ってしまって! それも、何の説明も無しにですよ! 数時間どうしていいか分からなかったんです! しかも他の娘の臭いをこんなにも沢山付けて!」

 レモンは力強く襟を掴み、楽を引き起こす。まるで自分と楽以外の臭いを憎んでいるかのようだ。だがその激しい怒りはすぐに矛を収め、今度は痛くしないよう気を使ってそっと楽をベッドに寝かせた。

「もう一度ご主人様と呼べる人を見つけたのに、何も言わずどこかに行かれては……私がおかしくなります」

 ウルウルと今にも涙がこぼれ落ちそうな目と余裕を欠いた様子の声でそう言われては、謝る他無かった。

「……あ、その……今更だし君は許してくれないかもしれないけど……ごめん。知らない間に辛い思いさせてたんだね」

「……次からは、せめて何しに行くのか言ってください」

「分かったよ。約束する」

 楽は手を伸ばし、レモンの頭を優しく撫でる。おかげで安心したようだが、それでも膨れ面のレモン。楽が、仕方ないな、などと言って頬にキスすると、やっと笑顔に戻った。

 二人ベッドの上で寄り添い、見つめ合いながらまどろみに落ちていく……。
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