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ワイバーン
24体目 レモンの逆襲3
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(そんなっ……この僕が……クズって言われてイクなんて……罵られて感じるなんて……気持ちいい……!)
ブルブルと体全体を震わせ、涙と愛液を垂れ流す楽。蕩声の拘束陣に捕えられてしまった彼女は、抵抗の自由を奪われていた。
頭は焼き切れそうなほどの被虐感で覆い尽くされ、膣が熱く煮えたぎっている。だが身体はまだ冷たく、余計に熱の存在を感じてしまう。
「えへへっ! 本当にドMになっちゃった……マウント取ってイキがってたのに、私に言葉だけでイカされて……。今どんな気持ち? 『蕩かし言葉の王子様』?」
「うっ……ぐっ……」
これまで何体もの荒獣と戦い、いつしか得た自分を表す勲章のような名前。それをバカにされ、抵抗しないでいることなどできなかった。
動かない身体を無理やり動かし、レモンの肩をベッドに押し付ける。
だが、動作はいじらしいほど緩慢で、レモンが次の言葉を考え、練り、発する時間は十二分にあった。
「あれあれ? 怒っちゃいました? プライドだけは一人前でしゅね~。……バッカみたい」
「くぅんっ~っ!」
ただの一言で腰が震え、身体が強ばる。同時に、重量で垂れ下がった乳房の先端を思い切り抓られる。
冷たく尖った氷柱のような痛みが胸の表面を刺し、だが同時に熱が溶けるように胸の中へ溶けだしていく。反射的に顔が上がり、苦痛に端正な口元が歪む。
「いぎっ! ……いっ痛い! 痛い! やめてレモン! 痛い!」
何度も金切り声を上げて痛みを訴えるが、レモンがその手を緩めることは一切無かった。
キリリと爪が性感帯に立てられ、小さな蕾はその赤さを増す。
「うるさいわ。静かにしなさい」
「いいいいぃ~っ! ひいいいい……ひぃっ! ひいぃ……」
未だ瞳からは痛みに耐えかねて大粒の涙を零しているが、声だけはレモンの一括で収まってしまう。身体を声だけで完全にコントロールされている。
「そんなに痛いの? これ」
「痛い……っ。もうやめて……」
そう言った瞬間、痛みが増したような気がした。違う、爪が充血した乳首に食い込んだのだ。
その痛みが、たった一言で熱い快感に変わる。
「嘘つき」
「ひっ!」
「クズな上に嘘つきだなんて、救いようのないカスね」
ひとつひとつ。
罵倒する言葉を殊更に強調してくる。本来なら嫌悪感しか抱かないはずの言葉が、今はシクシクと身体を蝕む。
乳首から熱が全身に広がり、秘部から愛液が垂れる。口がだらしなく開き、舌を突き出して弱弱しく喘いだ。
「ひあああああっ……!」
「気持ちいいの間違いでしょう? 正直に言いなさい」
「ほっ、本当に痛い……ぴぎゃあああ!」
嘘をついた楽を爪が抓り上げ、強烈な快感に支配されていく。全身に突き刺さる快感に負け、愛液がシーツに飛び散る。
楽が震え、叫ぶ度にレモンの嗜虐心は煽られ増幅する。口の端を歪め、目の前で見せつけられる痴態に鼻息を荒くし身体を熱くする彼女は、主人をいたぶる事を心の底から楽しんでいる。
どうすれば感じてくれるのかを考え、口に出しメスの本能を煽る。それが成功しているのだから。
「本音は?」
「……ゆ、許して……」
「言え」
「ひっ……ぃ……気持ち、いい! 気持ちいいですっ! 気持ちいい! 気持ちいいぃ!」
一度、気持ちいいと言うと、そこからはタガが外れたように何度も何度も連呼し、身体を揺さぶった。
一言、気持ちいいと言う度、快楽が身体の中で花火のように弾ける。無数の燃え残りがチリチリと全身に留まって身を焦がす。
「乳首思いっきり抓られて嬉しいんだ……身体まで動いちゃって、ブタね」
「ひぃぃぃぃぃっ!?」
ブタと言われただけで全身に甘い痺れが走る。何かを期待するようにパクパクと秘部が開いたり閉じたりするが、レモンはそこに触れてはくれない。
我慢できない熱だけが溜まっていく。思わず手を秘部に当てがうものの、全く弄れない内に次の命令が飛んだ。
「あらごめんなさい。身体が黒いから、黒豚かしら? ふぅん……手をどけなさい、黒豚」
「酷いっ……あ、あ? 何で……身体が勝手に……」
命令されると、その通りに動いてしまう。いつの間にか従順な雌豚ができあがっていた。
レモンは手を退かせると、胸を解放した代わりに四つん這いのままの楽に腰を下ろし、椅子代わりに使う。屈辱的な姿勢。その事実が、今の楽には快感だった。
座られただけで小刻みに子宮が収縮し、透明な液を膣口から溢れ出させる。座られてる、椅子にされて無様な格好で虐げられている。意識を向ければ向けるほど、被征服欲が掻き立てられる。
柔らかでありながらも十分な張りを持つ、非常に滑らかな肌が背中に擦り付けられ、そのあまりの気持ちよさに楽は静かに絶頂を迎えた。
チョコスフレのような柔肌の尻がフルフルと微細に揺れる。
「ぷっ! ご主人様ったらイッちゃったの? まだ何も言ってないのに!」
「はぁ……はあぁ……ゆ、許して……こんなのもう嫌だ……」
自分の隠れた性癖を暴かれ、散々に嬲られ、プライドをズタズタに切り裂かれ、泣いて許しを乞う。
そこに王子様などと呼ばれ、数多の女子を手篭めにしてきた姿は微塵も感じられなかった。
もちろん嬢王様はそれを許さない。
「はあ? 何泣いてんの? 顔上げなさいよ」
髪の毛を引っ張られ、涙と鼻水で他人には見せられないような顔をさらけ出させられる。その顔を見られている、粗雑に扱われている。そう思うとまた甘い痺れが全身を支配した。
「ひいぃ……」
「あははっ! ひっどい顔! ……無様ね」
レモンはもう一方の空いてる手を大きく振りかざし、思い切り尻を叩いた。綺麗な円が歪み、鈍色の重い快感が脳まで走り抜ける。痛い、だがそれが気持ちいい。
全裸で跪かされ、泣きながら情けなく尻を叩かれている。その状況がたまらなく快感で、全てが狂っていく。
「ひぎゃあああああう! 痛いっ! いいいいっ! やああああああっ!」
苦悶の声に混じって、僅かに悦楽の振動が混じる。
健康的な肌の色をした尻は、相当叩く力が強いのかすぐに赤みを増していき腫れ上がってしまった。そのみみずばれの痛みすら快感に変換される。
もみじ型の跡が幾重にも重なり、痛々しい姿を晒す桃を見ながら舌舐めずりをするレモン。
これが最後と言わんばかりに大きく、大きく、大きく手を振りあげ、加えられる最大級の力を持って尻を引っぱたいた。
「ぎゃひいいいいいいいんっ!」
振動が子宮に伝わり、中でガンガンと跳ね返っているよう。息苦しさすら感じる痛みが背骨を駆け上がり、それが消えた後の開放感に身体全体が悦ぶ。
被虐に震える膣肉が締まり、パッと淫猥な水滴が飛び散った。
「あははっ! イッたイッた! 凄い声ね! これじゃどっちが獣かしら!」
楽は力尽き、アヘ顔を晒しながらベッドに倒れ付す。犬のように舌を突き出し、豚のように鼻息を荒くしながら。
上半身はベッドに沈み腰だけは高く突き上げられ、真ん中に開いた赤い花弁が呼吸するように開いたり閉じたりしている。
それは、完全敗者の敗北宣言、降伏のアピール。
一通りやりたい事をやってレモンも満足したのか、責めの手を止めた。
「ふふ、うふふっ……ご主人様がこんなになってる……無様な負け犬はみんなのオモチャにならなくちゃ、ね?」
「……」
楽には聞こえていないようだ。目は虚ろで、ヒューヒューとか細い息を懸命に吸っている。
汗だくの肌は相応に匂いを放っており、疲労と激しい責めで張りを失った肌はチョコレートではなく泥のよう。
レモンはXpadを手に取り、楽の写真を何枚か撮った。
「……レ……モン……何……して……」
「何? 何って、ネットに晒すんですよ?」
か弱い声に、それが大変なことだと分かっていないのかレモンはケロリとした声で返す。
「……なん、で……」
「それは勿論、楽様の名前を汚すためです」
「汚す……僕の……名前を……」
「はい! ……メルティーワードプリンス、それが汚される! どんな名前を付けられてしまうのか、これからどんな扱いをされるのか! ああもう考えただけでイキそうです……!」
レモンの嗜虐心は頂点へ達していた。身体を弄ぶだけでは飽き足らない。精神を操るだけでは飽き足らない。
存在そのものを汚し貶める。そこに快感を見出していた。
荒獣の血が異常に昂ぶり、だがせめて人は喰らわんとする理性の狭間で暴走している。
「僕の……二つ名を……?」
「そうですよー。これからご主人様は、カッコイイ王子様なんかじゃなくて、汚ったない豚として生きていくんです!」
「そっ、か……」
(もう、なんでもいいや……)
プライドなどもう無い。これ以上捨てるものは無い。一時的にでも、そういう考えになっていた事が脳の回転を鈍らせる。
おかげで二つ名など、どうでもいいと思ってしまっていた。
「はい、じゃあそーうしーん……」
(あぁ……これから軽蔑されるんだろうな……凄い目で見られるんだろうな……僕の二つ名が……消えて……)
『君の得意な責め方、それをなぞって「蕩かし言葉の王子様」なんてどうかな? 』
『え、ええ……? 恥ずかしいな……なんか。それに僕は……その、君の……』
『ん? 何だい? 』
『うぅ……な、何でもない! 』
『そうか。じゃあ、俺の前だけではお姫様でいてくれ』
『~っ!? 』
『あはは、真っ赤になった! 』
『う、うるさい! 怒るぞっ! 』
(あ……これ……)
不意に甘くて、苦い過去を思い出す。
(そうだ、この名前は……アイツに……この名前だけは、汚しちゃいけない……っ!)
なぜ、こんな長ったらしい二つ名を選んだのかを思い出し、気力を振り絞って起き上がる。
ついさっきまで張りつめていた筋肉が軋む。だるさが全身を襲う。だがそれでも動く。
レモンが画像を送信する直前で手と肩を力強く掴み、牽制した。
「レモンっ!」
「あれ? そんなに嫌でした?」
直前まで鼻水と涎と涙と汗で酷いアヘ顔をしていた人物とは思えない形相で、レモンに迫る。だが対するレモンは、ケロリとした様相で返した。
「ああ、ダメだ。それだけはどんな事があっても譲れない。僕の名前を汚すな」
「さっきの従順な豚とは違って随分反抗的ですね」
鈍い音が大きく響く。楽が額をレモンの額に勢いよく押し当てたのだ。
「主人はこの僕だ。レモン、君はそれから手を離せ」
「確かに楽様は私のご主人様。ですけど、今は従順な下僕。下僕が嬢王に歯向かうとはいい度胸です」
気持ちよく調子に乗っているところを邪魔されて高圧的な態度に出たレモンに、ふつりふつりと血管が切れていく。
「……おい、僕が本気で怒ってるの、分からないのか?」
本気でキレる前に、最後の問いを投げつけた。
「分かりますよ? ですけど、これは楽様の為でもあるんです。それなりの理由が無いと楽様の意見は聞けな……」
「そうか、『跪け』」
楽が「命令」した瞬間、嬢王様気取りだったレモンの顔がベッドに叩きつけられる。今度はレモンの尻が突き上げられた。
「がっ……な、なん……」
「それなりの理由があるから、怒ってる。君は僕のことを詮索する前に、人の事を調べるべきだったな」
「う、動かなっ……」
話を聞いている感じのしないレモンに対して、さらに怒りが増す。おかげでその顔に微笑が張り付いた。
「聞け」
「は、はいっ!」
初めて聞くドスの効いた声に、本能が勝った。
「動けないだろ? 『完全服従(オビニエンス)』を食らう気分はどうだい?」
「お、オビ……?」
レモンの顔が困惑の色に染まる。調べても出てこなかった単語。自分の知らないものへの恐怖で、思考が閉ざされる。
「オビニエンス。服従の意味を表す。僕の持ちうる中で一番強い系列の言葉だよ。煽ったり、お願いしたり、疑問を投げかけたりするのではなくて、全て命令。イケと言えばイクのさ。……それで、だ。タブレットから手を離せ」
「はひ……」
わざわざ説明までする余裕ぶりを見せつけられ、抵抗は無意味だと理解する。
レモンがタブレットを静かに手放すと、楽はそれを取り上げ、画像を全て消去してしまった。
……画面を見た楽が一瞬ではあるが驚いたように目を丸くし、表情が柔らかくなったのをレモンは知らない。
「これで悪いことはできない。ご主人様に逆らうとどういう事になるか、よく分かったね?」
「わ、分かりました……」
「……罰として気絶するまでイカせ地獄にしても良いんだけど、まあいいか。自由にしていい」
「っ……う、動いた……」
楽がオビニエンスを解くと、ようやくレモンの身体はがんじがらめの言葉の鉄鎖から解放された。
だが、まだ身体の中に澱みながら存在する恐怖に手が震えている。これからは絶対に、怒らせるようなことはしないと心の中で誓った。
「はぁ……やっと終わった……」
「楽様!?」
怒りのオーラが消えると共に、前のめりに倒れ込む楽。慌ててレモンが受け止める。
「オビニエンスは……疲れるんだよ……もうこんな事はよしてくれ……」
「す、すみません……」
「それと、僕の二つ名の由来……あれは……アイツに貰って……大事なんだ……」
「アイツ? ……ぁ」
「……」
落ちるように眠ってしまった楽。レモンとセックスした後、大量のハーピーに襲われ、最後はSMプレイで散々に虐め抜かれた身体は「オビニエンス」を使った時点でもう動ける状態に無かったのだろう。
レモンは、嬢王様の時とは裏を返したように、優しく楽をベッドに寝かせる。楽の身体が白いシーツに沈む前に、小さな寝息が聞こえてきた。
スヤスヤと眠り始めた楽の横に、レモンが寝そべる。神経は太いようで、早くも困惑や恐怖の色は表情から取り除かれていた。
「アイツ、ですか」
レモンは恋をしたことが無い。だからアイツと言われてもよく分からなかった。
しかし、主従関係における信頼関係は経験している。その経験に当てはめ、勝手に「アイツ」とご主人様の繋がりを、少しずれてはいるものの彼女なりに理解したのだった。
ブルブルと体全体を震わせ、涙と愛液を垂れ流す楽。蕩声の拘束陣に捕えられてしまった彼女は、抵抗の自由を奪われていた。
頭は焼き切れそうなほどの被虐感で覆い尽くされ、膣が熱く煮えたぎっている。だが身体はまだ冷たく、余計に熱の存在を感じてしまう。
「えへへっ! 本当にドMになっちゃった……マウント取ってイキがってたのに、私に言葉だけでイカされて……。今どんな気持ち? 『蕩かし言葉の王子様』?」
「うっ……ぐっ……」
これまで何体もの荒獣と戦い、いつしか得た自分を表す勲章のような名前。それをバカにされ、抵抗しないでいることなどできなかった。
動かない身体を無理やり動かし、レモンの肩をベッドに押し付ける。
だが、動作はいじらしいほど緩慢で、レモンが次の言葉を考え、練り、発する時間は十二分にあった。
「あれあれ? 怒っちゃいました? プライドだけは一人前でしゅね~。……バッカみたい」
「くぅんっ~っ!」
ただの一言で腰が震え、身体が強ばる。同時に、重量で垂れ下がった乳房の先端を思い切り抓られる。
冷たく尖った氷柱のような痛みが胸の表面を刺し、だが同時に熱が溶けるように胸の中へ溶けだしていく。反射的に顔が上がり、苦痛に端正な口元が歪む。
「いぎっ! ……いっ痛い! 痛い! やめてレモン! 痛い!」
何度も金切り声を上げて痛みを訴えるが、レモンがその手を緩めることは一切無かった。
キリリと爪が性感帯に立てられ、小さな蕾はその赤さを増す。
「うるさいわ。静かにしなさい」
「いいいいぃ~っ! ひいいいい……ひぃっ! ひいぃ……」
未だ瞳からは痛みに耐えかねて大粒の涙を零しているが、声だけはレモンの一括で収まってしまう。身体を声だけで完全にコントロールされている。
「そんなに痛いの? これ」
「痛い……っ。もうやめて……」
そう言った瞬間、痛みが増したような気がした。違う、爪が充血した乳首に食い込んだのだ。
その痛みが、たった一言で熱い快感に変わる。
「嘘つき」
「ひっ!」
「クズな上に嘘つきだなんて、救いようのないカスね」
ひとつひとつ。
罵倒する言葉を殊更に強調してくる。本来なら嫌悪感しか抱かないはずの言葉が、今はシクシクと身体を蝕む。
乳首から熱が全身に広がり、秘部から愛液が垂れる。口がだらしなく開き、舌を突き出して弱弱しく喘いだ。
「ひあああああっ……!」
「気持ちいいの間違いでしょう? 正直に言いなさい」
「ほっ、本当に痛い……ぴぎゃあああ!」
嘘をついた楽を爪が抓り上げ、強烈な快感に支配されていく。全身に突き刺さる快感に負け、愛液がシーツに飛び散る。
楽が震え、叫ぶ度にレモンの嗜虐心は煽られ増幅する。口の端を歪め、目の前で見せつけられる痴態に鼻息を荒くし身体を熱くする彼女は、主人をいたぶる事を心の底から楽しんでいる。
どうすれば感じてくれるのかを考え、口に出しメスの本能を煽る。それが成功しているのだから。
「本音は?」
「……ゆ、許して……」
「言え」
「ひっ……ぃ……気持ち、いい! 気持ちいいですっ! 気持ちいい! 気持ちいいぃ!」
一度、気持ちいいと言うと、そこからはタガが外れたように何度も何度も連呼し、身体を揺さぶった。
一言、気持ちいいと言う度、快楽が身体の中で花火のように弾ける。無数の燃え残りがチリチリと全身に留まって身を焦がす。
「乳首思いっきり抓られて嬉しいんだ……身体まで動いちゃって、ブタね」
「ひぃぃぃぃぃっ!?」
ブタと言われただけで全身に甘い痺れが走る。何かを期待するようにパクパクと秘部が開いたり閉じたりするが、レモンはそこに触れてはくれない。
我慢できない熱だけが溜まっていく。思わず手を秘部に当てがうものの、全く弄れない内に次の命令が飛んだ。
「あらごめんなさい。身体が黒いから、黒豚かしら? ふぅん……手をどけなさい、黒豚」
「酷いっ……あ、あ? 何で……身体が勝手に……」
命令されると、その通りに動いてしまう。いつの間にか従順な雌豚ができあがっていた。
レモンは手を退かせると、胸を解放した代わりに四つん這いのままの楽に腰を下ろし、椅子代わりに使う。屈辱的な姿勢。その事実が、今の楽には快感だった。
座られただけで小刻みに子宮が収縮し、透明な液を膣口から溢れ出させる。座られてる、椅子にされて無様な格好で虐げられている。意識を向ければ向けるほど、被征服欲が掻き立てられる。
柔らかでありながらも十分な張りを持つ、非常に滑らかな肌が背中に擦り付けられ、そのあまりの気持ちよさに楽は静かに絶頂を迎えた。
チョコスフレのような柔肌の尻がフルフルと微細に揺れる。
「ぷっ! ご主人様ったらイッちゃったの? まだ何も言ってないのに!」
「はぁ……はあぁ……ゆ、許して……こんなのもう嫌だ……」
自分の隠れた性癖を暴かれ、散々に嬲られ、プライドをズタズタに切り裂かれ、泣いて許しを乞う。
そこに王子様などと呼ばれ、数多の女子を手篭めにしてきた姿は微塵も感じられなかった。
もちろん嬢王様はそれを許さない。
「はあ? 何泣いてんの? 顔上げなさいよ」
髪の毛を引っ張られ、涙と鼻水で他人には見せられないような顔をさらけ出させられる。その顔を見られている、粗雑に扱われている。そう思うとまた甘い痺れが全身を支配した。
「ひいぃ……」
「あははっ! ひっどい顔! ……無様ね」
レモンはもう一方の空いてる手を大きく振りかざし、思い切り尻を叩いた。綺麗な円が歪み、鈍色の重い快感が脳まで走り抜ける。痛い、だがそれが気持ちいい。
全裸で跪かされ、泣きながら情けなく尻を叩かれている。その状況がたまらなく快感で、全てが狂っていく。
「ひぎゃあああああう! 痛いっ! いいいいっ! やああああああっ!」
苦悶の声に混じって、僅かに悦楽の振動が混じる。
健康的な肌の色をした尻は、相当叩く力が強いのかすぐに赤みを増していき腫れ上がってしまった。そのみみずばれの痛みすら快感に変換される。
もみじ型の跡が幾重にも重なり、痛々しい姿を晒す桃を見ながら舌舐めずりをするレモン。
これが最後と言わんばかりに大きく、大きく、大きく手を振りあげ、加えられる最大級の力を持って尻を引っぱたいた。
「ぎゃひいいいいいいいんっ!」
振動が子宮に伝わり、中でガンガンと跳ね返っているよう。息苦しさすら感じる痛みが背骨を駆け上がり、それが消えた後の開放感に身体全体が悦ぶ。
被虐に震える膣肉が締まり、パッと淫猥な水滴が飛び散った。
「あははっ! イッたイッた! 凄い声ね! これじゃどっちが獣かしら!」
楽は力尽き、アヘ顔を晒しながらベッドに倒れ付す。犬のように舌を突き出し、豚のように鼻息を荒くしながら。
上半身はベッドに沈み腰だけは高く突き上げられ、真ん中に開いた赤い花弁が呼吸するように開いたり閉じたりしている。
それは、完全敗者の敗北宣言、降伏のアピール。
一通りやりたい事をやってレモンも満足したのか、責めの手を止めた。
「ふふ、うふふっ……ご主人様がこんなになってる……無様な負け犬はみんなのオモチャにならなくちゃ、ね?」
「……」
楽には聞こえていないようだ。目は虚ろで、ヒューヒューとか細い息を懸命に吸っている。
汗だくの肌は相応に匂いを放っており、疲労と激しい責めで張りを失った肌はチョコレートではなく泥のよう。
レモンはXpadを手に取り、楽の写真を何枚か撮った。
「……レ……モン……何……して……」
「何? 何って、ネットに晒すんですよ?」
か弱い声に、それが大変なことだと分かっていないのかレモンはケロリとした声で返す。
「……なん、で……」
「それは勿論、楽様の名前を汚すためです」
「汚す……僕の……名前を……」
「はい! ……メルティーワードプリンス、それが汚される! どんな名前を付けられてしまうのか、これからどんな扱いをされるのか! ああもう考えただけでイキそうです……!」
レモンの嗜虐心は頂点へ達していた。身体を弄ぶだけでは飽き足らない。精神を操るだけでは飽き足らない。
存在そのものを汚し貶める。そこに快感を見出していた。
荒獣の血が異常に昂ぶり、だがせめて人は喰らわんとする理性の狭間で暴走している。
「僕の……二つ名を……?」
「そうですよー。これからご主人様は、カッコイイ王子様なんかじゃなくて、汚ったない豚として生きていくんです!」
「そっ、か……」
(もう、なんでもいいや……)
プライドなどもう無い。これ以上捨てるものは無い。一時的にでも、そういう考えになっていた事が脳の回転を鈍らせる。
おかげで二つ名など、どうでもいいと思ってしまっていた。
「はい、じゃあそーうしーん……」
(あぁ……これから軽蔑されるんだろうな……凄い目で見られるんだろうな……僕の二つ名が……消えて……)
『君の得意な責め方、それをなぞって「蕩かし言葉の王子様」なんてどうかな? 』
『え、ええ……? 恥ずかしいな……なんか。それに僕は……その、君の……』
『ん? 何だい? 』
『うぅ……な、何でもない! 』
『そうか。じゃあ、俺の前だけではお姫様でいてくれ』
『~っ!? 』
『あはは、真っ赤になった! 』
『う、うるさい! 怒るぞっ! 』
(あ……これ……)
不意に甘くて、苦い過去を思い出す。
(そうだ、この名前は……アイツに……この名前だけは、汚しちゃいけない……っ!)
なぜ、こんな長ったらしい二つ名を選んだのかを思い出し、気力を振り絞って起き上がる。
ついさっきまで張りつめていた筋肉が軋む。だるさが全身を襲う。だがそれでも動く。
レモンが画像を送信する直前で手と肩を力強く掴み、牽制した。
「レモンっ!」
「あれ? そんなに嫌でした?」
直前まで鼻水と涎と涙と汗で酷いアヘ顔をしていた人物とは思えない形相で、レモンに迫る。だが対するレモンは、ケロリとした様相で返した。
「ああ、ダメだ。それだけはどんな事があっても譲れない。僕の名前を汚すな」
「さっきの従順な豚とは違って随分反抗的ですね」
鈍い音が大きく響く。楽が額をレモンの額に勢いよく押し当てたのだ。
「主人はこの僕だ。レモン、君はそれから手を離せ」
「確かに楽様は私のご主人様。ですけど、今は従順な下僕。下僕が嬢王に歯向かうとはいい度胸です」
気持ちよく調子に乗っているところを邪魔されて高圧的な態度に出たレモンに、ふつりふつりと血管が切れていく。
「……おい、僕が本気で怒ってるの、分からないのか?」
本気でキレる前に、最後の問いを投げつけた。
「分かりますよ? ですけど、これは楽様の為でもあるんです。それなりの理由が無いと楽様の意見は聞けな……」
「そうか、『跪け』」
楽が「命令」した瞬間、嬢王様気取りだったレモンの顔がベッドに叩きつけられる。今度はレモンの尻が突き上げられた。
「がっ……な、なん……」
「それなりの理由があるから、怒ってる。君は僕のことを詮索する前に、人の事を調べるべきだったな」
「う、動かなっ……」
話を聞いている感じのしないレモンに対して、さらに怒りが増す。おかげでその顔に微笑が張り付いた。
「聞け」
「は、はいっ!」
初めて聞くドスの効いた声に、本能が勝った。
「動けないだろ? 『完全服従(オビニエンス)』を食らう気分はどうだい?」
「お、オビ……?」
レモンの顔が困惑の色に染まる。調べても出てこなかった単語。自分の知らないものへの恐怖で、思考が閉ざされる。
「オビニエンス。服従の意味を表す。僕の持ちうる中で一番強い系列の言葉だよ。煽ったり、お願いしたり、疑問を投げかけたりするのではなくて、全て命令。イケと言えばイクのさ。……それで、だ。タブレットから手を離せ」
「はひ……」
わざわざ説明までする余裕ぶりを見せつけられ、抵抗は無意味だと理解する。
レモンがタブレットを静かに手放すと、楽はそれを取り上げ、画像を全て消去してしまった。
……画面を見た楽が一瞬ではあるが驚いたように目を丸くし、表情が柔らかくなったのをレモンは知らない。
「これで悪いことはできない。ご主人様に逆らうとどういう事になるか、よく分かったね?」
「わ、分かりました……」
「……罰として気絶するまでイカせ地獄にしても良いんだけど、まあいいか。自由にしていい」
「っ……う、動いた……」
楽がオビニエンスを解くと、ようやくレモンの身体はがんじがらめの言葉の鉄鎖から解放された。
だが、まだ身体の中に澱みながら存在する恐怖に手が震えている。これからは絶対に、怒らせるようなことはしないと心の中で誓った。
「はぁ……やっと終わった……」
「楽様!?」
怒りのオーラが消えると共に、前のめりに倒れ込む楽。慌ててレモンが受け止める。
「オビニエンスは……疲れるんだよ……もうこんな事はよしてくれ……」
「す、すみません……」
「それと、僕の二つ名の由来……あれは……アイツに貰って……大事なんだ……」
「アイツ? ……ぁ」
「……」
落ちるように眠ってしまった楽。レモンとセックスした後、大量のハーピーに襲われ、最後はSMプレイで散々に虐め抜かれた身体は「オビニエンス」を使った時点でもう動ける状態に無かったのだろう。
レモンは、嬢王様の時とは裏を返したように、優しく楽をベッドに寝かせる。楽の身体が白いシーツに沈む前に、小さな寝息が聞こえてきた。
スヤスヤと眠り始めた楽の横に、レモンが寝そべる。神経は太いようで、早くも困惑や恐怖の色は表情から取り除かれていた。
「アイツ、ですか」
レモンは恋をしたことが無い。だからアイツと言われてもよく分からなかった。
しかし、主従関係における信頼関係は経験している。その経験に当てはめ、勝手に「アイツ」とご主人様の繋がりを、少しずれてはいるものの彼女なりに理解したのだった。
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高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
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