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地獄の黒狼

39体目 漆黒の烈狼3

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「んっ……」

「ふん……」

 唇を塞がれ、上から舌で口内を犯される。生暖かな唾液を無理矢理に飲まされ、息の自由が利かないまま重厚な甘い香りに酔っていく。卵の表面のような柔らかで滑らかな感覚が舌先を痺れさせていく。

(やっぱり上手い……ていうか凄い……唾液で気道塞がれてっ……苦しいのにっ……感じてる!)

 ヘルハウンドの舌は長く、楽の舌に絡みつき、先端から奥まで執拗に責め立てる。ゆるりと前後にしごかれ、ぐるりと囲まれ。
 ドロリと濃厚な気配が頭を包み込む。当然先に音をあげるのは楽の方だった。

「っはあ!」

 顔を右に振って、ディープキスを外す。しかしヘルハウンドが楽の回復を許すはずもなく、即座にキスを再開する。
 まるで舌にフェラされているような感覚がジワジワと快感を送り込んでくる。次第に身体が支配されていく。
 絡め捕られて上手く動かせないまま蹂躙される舌のように、楽自身もまた快楽のツタに捕縛される。

「んぐうう!」

「楽ちん! 今すぐ助けるね!」

 奈津美も現四天王で呼ばれるハンターの一人。いつまでも見ているわけではなくヘルハウンドの背後を取った。

(確かヘルハウンドの性感帯は……おっぱい!)

 背が高いほうではないものの、それでも懸命に手を伸ばす。すぐに隠れようのない巨乳を探り当てると、ひたすらに揉みしだく。良く膨らんだパンをこねている様な感触の中に、甘そうなイチゴの尖りがしっかりと含まれていた。
 少し感じたのか、ヘルハウンドの身体が数度動いた。が……。

(効いてない……?)

 未だに楽へのキス責めは続いている。しかも相当余裕があるのか、一旦楽を口責めから解放した。

「ふん、下手糞が」

 目尻に涙を浮かべ甘美な塊を流し込まれた余韻でぜえはあと荒く息を吸う楽を横目に、奈津美を見下ろし鼻を鳴らす。

「なっ……に~を~?」

「悔しいならもう少しテクを磨く事だ。ま、今から我の下僕になるのだから、助言しても意味は無いがな」

「くっ……」

 奈津美は所謂パワー系。有り余る性欲に身を任せ、膨大な体力で相手を押しつぶす正面突破タイプだ。
 それゆえテクニックは疎かになりがち。後ろから相手の性感帯を手先で責めるなど、そもそも性に合ってないのだ。

(上手くないのは分かってるよ! でも改めて言われるとムカつく……けど、これでかかったね!)

 奈津美をヘルハウンドの正面に配置しなかったのは、別に配置ミスではない。考えあっての事だ。
 テクニック系の楽が少しでも反撃しやすくなり、快楽を蓄積させればそれが勝機に繋がる。キスで圧倒しているヘルハウンドだが、無傷な訳ではない。

 そう、無傷ではない。その時点で半分勝ったようなものだ。

「さて、後ろは放っておくとして……」

「ああ、さっきのキスは美味しかったよ。けどお腹いっぱいだからさ、今は遠慮しよう。次は君の番だ……『伏せろ』、この犬が」

「ぐ!?」

 言葉の最後に冷ややかな目でヘルハウンドを見つめ、「完全服従(オビニエンス)」を発動させる楽。
 しかしヘルハウンドは、レモンを完全にコントロールした技をまともに食らっても膝を曲げることさえない。ただ、揺らいだだけだ。

 それで十分だった。

「はいっ!」

「うおおっ!」

 すかさず奈津美が足を払い、物理的に地面へ押し付ける。更にマウントを取り動けなくした。
 僅かながらにでもヘルハウンドの意識が性感に向いていたからこそ隙が生まれ、そこを上手く突くことが出来た。奈津美はヘルハウンドの上で自慢げに笑う。

「へっへーん。有利になったよ?」

「ちっ、小賢しいな」

 不利な体勢に持ち込まれ、威嚇するように喉を鳴らす。だが、相手は高位荒獣。厳しい反撃が来ることは容易に予想できた。
 そこで奈津美は有利を確実にするべく挑発する。

「ねーねー、こんなオマンコ擦りあってるよりきもちー事しよーよ」

 ヘルハウンドのクリトリスを陰唇で軽く擦り、性感を与えながら焚きつける。マカロンが快楽のしこりを撫でるような淫情いんじょうに、女体化してなお牙の残る口が横に裂けて楽しそうに笑った。

「ふん、年中発情している人間のメスらしい発言だな。そんなに早く堕ちたいなら……堕としてやろう」

 基本的に中位以上の荒獣はプライドが高いので挑発すれば乗ってくるのだ。その駆け引きに関しては非常に分かりやすい。

 二人の予想通り、挑発に乗ったヘルハウンドは、自らペニスを発現させた。ギチギチと音を立てて秘部のすぐ上にある皮膚の中から顔を出す。
 発現したペニスの大きさは、当然の如く大きい。だが、異常に巨根なわけではなく、また電鰐やワイバーンのようにこれといった特徴も無い。

(おや、こっちは案外普通だ)

 とんでもペニスを予想していた楽は肩透かしを食らったような気分になる。しかし、相方の目が「油断するな」と伝えていた。

(奈津美……そうだよな、相手は高位荒獣なんだ。見た目じゃ分からないこともある。とにかく、僕は奈津美のサポートに徹するんだ)

 楽は緩みかけた気を引き締めると、ヘルハウンドの口と胸を同時に刺激する。
 同じく、奈津美もヘルハウンドのペニスを自らの膣内に迎え入れようとしていた。前に対峙した時の記憶がよみがえる。

(先輩はこのおちんちんにひたすらイカされてた……あの後勝ったのが奇跡なくらい。……いや、おちんちんが怖いわけじゃないんだ。これ自体は普通で、何の効果もないしただ大きいだけ。怖いのは……ヘルハウンドそのもの)

「んっ、おっきい……」

 先端が飲み込まれたヘルハウンドのペニスは、奈津美の膣壁を押し退け最奥まで到達する。その瞬間、子宮が歪み強烈な快感に身体がガクついた。
 脳天まで剛直で貫かれたような錯覚すら覚える。一撃で絶頂近くまで持っていかれ、口を丸く開いて圧迫感にえづき舌を出した。

「ーっ!」

「おいおい。誘った割には感じているようだが、大丈夫か?」

「ふっう……バカに……するなぁっ!」

 奈津美は負けじと膣内を締め付け、腰を振り始める。挿入程度で負けてはいられないのだ。ズシリと甘く押し上げてくる快感に耐えながら胸を揺らす。
 柔らかな肉のケーキをほじくって固く太い焼きごてが何度も卑猥に音を立てる。汗が吹き出し、身体を淫靡に濡らしていく。淡い少女の香りが風に揺られ周りに溶け込んでゆく。

「ふん。威勢だけはいいな……んぐっ」

「ん……ん……ふう。その減らず口を閉じる手助けをして上あげるよ」

「く……む……」

 楽と奈津美に押さえつけられ、ヘルハウンドは身動きが取れない。いかに高位荒獣と言えど、快感の二重奏には感じ始めていた。

「はあっ! はあぁっ! ほらっ! どうっ!? 気持ちいいでしょ! このまま搾り取ってあげるよ!」

「んううっ! ぐううう!」

(もう抵抗はしないようだね……だけど、予想以上に奈津美の消耗が激しい。一旦交代したいところだけど……ヘルハウンドが体力を残してる今は隙を作れない)

 楽は高低差を利用して、自分がやられたように唾液を口の中に押し込んでいく。その甲斐あってかヘルハウンドから抵抗は奪えた。
 しかしどうにも奈津美の様子が変だ。明らかに感じすぎている。口ではああいっているが、その声は溶けて甘く震えて今にも崩れそうだ。
 上下に揺さぶられる大きな胸の頂点も硬く赤く尖り、快感に張りつめていることが見て取れる。

 実は、ヘルハウンドも全く抵抗を諦めたわけではなかったのだ。楽はまだ気づいてはいないが……。

(ひいぃぃっ……くっそおお! こいつ、弱いとこばっか突けるようにって腰を地味にずらしやがってえ……これじゃこっちが気持ちよくなるだけじゃんか……や、ヤバい、イきそう……)

 奈津美は弱い所が当たるのを避け、腰をほんの少しズラして締め付けていた。しかしヘルハウンドはただの一抽送でそれを見抜くと、陰茎の角度を合わせたのだ。
 その後は奈津美がいくら腰を曲げ、ズラしてもピタリとロックオンしたように陰茎が付いてくる。まるで磁石のように引き付けあっているかのように。

 ヘルハウンドは元々の高い能力に加えて、相手の弱点を素早く探し当てるという特技を持つ。他の荒獣よりテクが一段上の存在なのだ。

 責めるために腰を振っているのに、それが逆効果となってしまう。かといって止めれば、更に強烈な攻撃が待っていることだろう。
 柔らかな膣肉では、ヘルハウンドの剛直に対して締め上げが緩くなってしまい、ダメージレースで負けてしまう。

 どんなに締めても膣内を力強く抉ってくるペニスに勝てない。何度やっても震えるのは自分の膣壁。腰の上で弄ばれている。
 甘い電気信号が下半身をドロドロに溶かしていく。つま先からジワジワと甘い感覚が身体を染めていく。
 熱気が全身を埋める。抜けない息苦しさに涙が流れる。熱が打ち付け合って揺れる皮膚に合わせて広がり、重なる。積み重なっていく。

 息が熱い。頭が白く塗りつぶされて行く。身体の中までもが与えられる歓喜に跳ね上がる。膣が細かくしゃくりを上げて更なる快感をねだる。
もう、腰は打ち付けられていない。背中側に手を付いた奈津美の下半身はつま先を残して地面から浮かび上がる。糸を引かれて殴られる風船のように、何もできず上下に揺れる。
 奈津美の我慢は鋼の如き肉棒に突き破られ、肉体は甘美な衝撃にのたうち回った。

「んああああっ! はああっ! 楽っ、楽ごめん! 私……イ、イクっ! イックううううぅぅぅぅーーーっ!」

「奈津美!?」

 前触れもほとんど無く、一気に性感を高められてイってしまう。想定外の事態に早くも作戦の歯車がズレ始めていた。
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