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少女達の守護者
49体目 少女と守護者の戯れ2
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静かな水のせせらぎが全てを浄化するように流れ、爽やかな風が桜の木々を揺らす。多種多様な生物が豊かな自然環境の中で生命を育んでいる。
皇都中央、皇居。荒獣侵攻前から姿形を変えること無く維持されているここは、皇都内の癒しの場として、また荒廃しつつある自然環境の保護の場として機能していた。
そんな皇居の周りを取り囲む堀の横に、意気揚々と集まった二人の少女。何故か一人は戦闘体勢に入っている。
「集合十分前ね」
青いチェックの長袖シャツに無地の黄色いTシャツが、短いジーンズスカートと合わせてカジュアルに彼女を彩る。
菜々が明るいイエローの腕時計を確認し、茶色の少し重そうなブーツで待ち遠しそうに地面を蹴った。
その拍子にNの形をしたイニシャルネックレスが揺れ、柔らかな日の光をきらりと反射した。
「ふっ! まったく、私たちと同じくらい強いって聞いてたのに、十分前にも来れないのか? はぁっ!」
グレーのインナー付きの白いTシャツと細身のストレッチジーンズに身を包んだ緑が、青いヒールを履いているというのに器用にバランスを取りながら空中に拳と蹴りを繰り出す。
それも小さな白いポーチを持ちながらだ。
流れるようにサラサラの黒髪が動き、シンプルで小さな丸いイヤリングが存在感を主張した。
「……ねえ、一応聞くけど、なんでシャドーボクシング(?)なんかしてるの?」
「ん? その強いやつと闘うためだ!」
菜々の至極当たり前な疑問に緑は自信満々に答えるが、何もかも間違っているような気しかしない。
「……来ないわよ」
「えっ」
「というか、私たちにボクシング関係ないでしょ」
「えっ」
「えっ」
わざと言ってるのかと疑いたくなる返答に菜々は頭を抱えた。
「……あんた、時々意味分かんなくなるわよね……」
「ホァターーーーーッ!」
恥ずかしさからか、やけになって両手を立て構える緑。当然菜々に怒られる。
「再開しないでよ!」
「いだっ」
幸いな事に付近に人通りは無いのだが、菜々はもし誰かに見られたら、という恥ずかしさから思わず緑の背中を叩いた。
「なんだ、叩くことはないじゃないか……」
「あ、ごめん……ていうか、あんた結構筋肉ある?」
菜々は手から、叩いた時に予想よりずっと固い感触を感じ驚いた。
「うん? 勿論だ。体位を変える、腰を振る。何をするにも筋力と体力は必要だからな! 一応鍛えている」
緑は腰に手を当て、胸を張って自信ありげに答えた。ちょっと内容に対して声量が大きいような気もするが、菜々はあきらめて受け流すことにする。
「案外真面目にやってるのね」
「当たり前だ。そういう菜々はどうなんだ?」
「失礼ね。ちゃーんとやってるわよ」
こちらもこちらで無い胸を精いっぱい張って答える。それならばと、緑は菜々の身体に手を伸ばした。
「ほう? では一つ……」
「ぎゃーっ! ちょっとどこ触って……あひゃひゃひゃ!」
集合場所を盛大に間違えている彼女達は、それを知ることなく二人で遊び始めてしまった。
一方こちらは貴賓室前。
いつも通りネイビースーツに白ハイネックのシャツ、更に大きめのイヤリングでリッチ&ボーイッシュに決めた楽と、身体が毛に覆われているため何も着なくてもいいレモンが一番乗りで着いていた。
次いで、男三人衆がやってくる。普段は迷彩服で身を固めている彼らだが、私服もなかなかしっかりしている。一人黒字に白文字の「筋肉魂」Tシャツを着ているが。
刀也はカーキ色のコートにそれよりも薄い茶色のシャツ、色の濃いデニムにダークブラウンの革靴というスタイルだ。清潔感のあるオヤジという年相応の服装をしている。
一方若い隼はダークネイビーのコートに朱色のカーディガン、白いシャツを組み合わせ、下半身は標準的な青さのジーンズに厚底のシューズのコーディネートだ。
僧帽はモノクロのシューズにホワイトパンツ。そして圧倒的存在感を放つ「筋肉魂」Tシャツ。お前それでよかったのか。
最後に、時間ギリギリに奈津美が走ってきた。
「ごめーん! 遅れた?」
「遅れてはいないけど……痴女にふさわしい格好をしているね」
「ひどいっ」
「一見普通に見えるけど実は……という高度さすらありますね」
「レモちんまで! そんな事ないよね! 男の人はこういうの好きだよね! ……なんでみんな顔背けるの?」
「奈津美くんが廊下を走ってきた時から背けてたよ」
「そんなっ!」
それもそのはず、奈津美の服装は何を勘違いしたのか過激であった。
腕につけているリング状の金色アクセサリーと一番上に羽織っている背の短いピンク色のコート、手に持った茶色で金の金具のポーチは問題ない。
だがコートの下に着ているのはシルクシフォン(透け感のある生地)で出来たキャミソールで下の方は星柄が沢山描かれているため中は見えないが、問題は腹から上。
柄が無いため黒に白い水玉模様の下着が透けて見えるのである。見えにくい夜ならともかく、昼間から堂々と着ていく服ではない。
「分かっただろう? だから、せめてコートの前を閉めてくれないか?」
「うう……でもこれ胸がつかえて閉まんないんだよう」
「じゃあ、着替えてこようか……」
まだ緑も菜々も来ていないし、多少の延伸は許されるだろうと思った楽がそう言い終えるか終えないかの内に隼が着ていたコートを脱ぎ、奈津美の肩にかけた。
「少し……大きいかもしれませんが、自分のでよければどうぞ」
「あっ、ありがとう……ございます」
奈津美はまさか優しくされると思っていなかったのか、驚いた後何故か敬語になり俯く。その顔は若干赤く染まっていた。
(ほほう? 奈津美はああいうふうに優しくされるとダメなのかー。そうかそうかーうんうん)
楽はいつもとは違う反応を見せる奈津美をニヤニヤしながら分析する。
(遅いなあ、あの人達)
そして唯一レモンだけが、緑と菜々を心配しスマホの画面をタップするのであった。
皇都中央、皇居。荒獣侵攻前から姿形を変えること無く維持されているここは、皇都内の癒しの場として、また荒廃しつつある自然環境の保護の場として機能していた。
そんな皇居の周りを取り囲む堀の横に、意気揚々と集まった二人の少女。何故か一人は戦闘体勢に入っている。
「集合十分前ね」
青いチェックの長袖シャツに無地の黄色いTシャツが、短いジーンズスカートと合わせてカジュアルに彼女を彩る。
菜々が明るいイエローの腕時計を確認し、茶色の少し重そうなブーツで待ち遠しそうに地面を蹴った。
その拍子にNの形をしたイニシャルネックレスが揺れ、柔らかな日の光をきらりと反射した。
「ふっ! まったく、私たちと同じくらい強いって聞いてたのに、十分前にも来れないのか? はぁっ!」
グレーのインナー付きの白いTシャツと細身のストレッチジーンズに身を包んだ緑が、青いヒールを履いているというのに器用にバランスを取りながら空中に拳と蹴りを繰り出す。
それも小さな白いポーチを持ちながらだ。
流れるようにサラサラの黒髪が動き、シンプルで小さな丸いイヤリングが存在感を主張した。
「……ねえ、一応聞くけど、なんでシャドーボクシング(?)なんかしてるの?」
「ん? その強いやつと闘うためだ!」
菜々の至極当たり前な疑問に緑は自信満々に答えるが、何もかも間違っているような気しかしない。
「……来ないわよ」
「えっ」
「というか、私たちにボクシング関係ないでしょ」
「えっ」
「えっ」
わざと言ってるのかと疑いたくなる返答に菜々は頭を抱えた。
「……あんた、時々意味分かんなくなるわよね……」
「ホァターーーーーッ!」
恥ずかしさからか、やけになって両手を立て構える緑。当然菜々に怒られる。
「再開しないでよ!」
「いだっ」
幸いな事に付近に人通りは無いのだが、菜々はもし誰かに見られたら、という恥ずかしさから思わず緑の背中を叩いた。
「なんだ、叩くことはないじゃないか……」
「あ、ごめん……ていうか、あんた結構筋肉ある?」
菜々は手から、叩いた時に予想よりずっと固い感触を感じ驚いた。
「うん? 勿論だ。体位を変える、腰を振る。何をするにも筋力と体力は必要だからな! 一応鍛えている」
緑は腰に手を当て、胸を張って自信ありげに答えた。ちょっと内容に対して声量が大きいような気もするが、菜々はあきらめて受け流すことにする。
「案外真面目にやってるのね」
「当たり前だ。そういう菜々はどうなんだ?」
「失礼ね。ちゃーんとやってるわよ」
こちらもこちらで無い胸を精いっぱい張って答える。それならばと、緑は菜々の身体に手を伸ばした。
「ほう? では一つ……」
「ぎゃーっ! ちょっとどこ触って……あひゃひゃひゃ!」
集合場所を盛大に間違えている彼女達は、それを知ることなく二人で遊び始めてしまった。
一方こちらは貴賓室前。
いつも通りネイビースーツに白ハイネックのシャツ、更に大きめのイヤリングでリッチ&ボーイッシュに決めた楽と、身体が毛に覆われているため何も着なくてもいいレモンが一番乗りで着いていた。
次いで、男三人衆がやってくる。普段は迷彩服で身を固めている彼らだが、私服もなかなかしっかりしている。一人黒字に白文字の「筋肉魂」Tシャツを着ているが。
刀也はカーキ色のコートにそれよりも薄い茶色のシャツ、色の濃いデニムにダークブラウンの革靴というスタイルだ。清潔感のあるオヤジという年相応の服装をしている。
一方若い隼はダークネイビーのコートに朱色のカーディガン、白いシャツを組み合わせ、下半身は標準的な青さのジーンズに厚底のシューズのコーディネートだ。
僧帽はモノクロのシューズにホワイトパンツ。そして圧倒的存在感を放つ「筋肉魂」Tシャツ。お前それでよかったのか。
最後に、時間ギリギリに奈津美が走ってきた。
「ごめーん! 遅れた?」
「遅れてはいないけど……痴女にふさわしい格好をしているね」
「ひどいっ」
「一見普通に見えるけど実は……という高度さすらありますね」
「レモちんまで! そんな事ないよね! 男の人はこういうの好きだよね! ……なんでみんな顔背けるの?」
「奈津美くんが廊下を走ってきた時から背けてたよ」
「そんなっ!」
それもそのはず、奈津美の服装は何を勘違いしたのか過激であった。
腕につけているリング状の金色アクセサリーと一番上に羽織っている背の短いピンク色のコート、手に持った茶色で金の金具のポーチは問題ない。
だがコートの下に着ているのはシルクシフォン(透け感のある生地)で出来たキャミソールで下の方は星柄が沢山描かれているため中は見えないが、問題は腹から上。
柄が無いため黒に白い水玉模様の下着が透けて見えるのである。見えにくい夜ならともかく、昼間から堂々と着ていく服ではない。
「分かっただろう? だから、せめてコートの前を閉めてくれないか?」
「うう……でもこれ胸がつかえて閉まんないんだよう」
「じゃあ、着替えてこようか……」
まだ緑も菜々も来ていないし、多少の延伸は許されるだろうと思った楽がそう言い終えるか終えないかの内に隼が着ていたコートを脱ぎ、奈津美の肩にかけた。
「少し……大きいかもしれませんが、自分のでよければどうぞ」
「あっ、ありがとう……ございます」
奈津美はまさか優しくされると思っていなかったのか、驚いた後何故か敬語になり俯く。その顔は若干赤く染まっていた。
(ほほう? 奈津美はああいうふうに優しくされるとダメなのかー。そうかそうかーうんうん)
楽はいつもとは違う反応を見せる奈津美をニヤニヤしながら分析する。
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