ランブルビースト ~獣が強くて人類滅亡の危機なのでビッチがセックスで戦います~【東京編】

扶桑のイーグル

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スピードガールズ

77体目 スピードガールズトレーニングact.2

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「……ここは?」

 陸佐に連れられ、五人は広い倉庫の中に足を踏み入れる。
 そこには七台の車が置かれていた。

「最高速度や瞬発力を重視する作戦で、まさか商用車に乗らせるわけにはいかないとかき集めた車たちだ。残念ながら一台ずつしか用意できなかったが、好きなものを選んでほしい」

「選べと言われても……」

「ま、要は速いのにすればいいのよね。生きて帰れるならそれでいいわ」

 困る緑と、機械的に選択を始める菜々。その二人とは違い、楽と鈴谷は見定めるようにして選び始めた。

(私の娘にはそれなりにいい車を与えている。佐伯くんも、プロには程遠いが運転経験は豊富だ……ルートを見ていたなら、どれを選ぶべきかは自ずと決まってくる)

 陸佐が考察している内に、二人は選び終わったようだ。

「僕はこれだね」

「私は、こちらに致します」

「私は楽様のお隣に……というか、運転できませんし」

 鈴谷、楽が決まるとレモンもまた自ずとどの車に乗るかは決まる。

「早いね。うん、まあそうなるだろうと思っていたが」

「二台取られた!」

「決まんないわよこんなの!」

 緑と菜々は焦る。これまで興味の無かったものを選べと言われたのだから当然と言えば当然の反応だ。

「うぐぐ……なら私はこれだ!」

 緑が菜々より先に、白黒の車を叩いて決める。

「こういう時だけ早いんだから! ああもうどれが速いのよ……ん?」

 緑にまで決められてしまい慌てる菜々だったが、ふと一台の車に引かれるようにして近づいた。

「……」

「どうした、菜々」

「……」

 さっきまで騒いでいたのが嘘のように黙りこくってその車を観察する菜々を不気味に思い、緑が声をかけた。しかしそれに返事もしない。

「……ブッサイクよね。目が細いのに膨れてるせいで腫れてるみたいだし、首……フロントって言うのかしら? これも長くて気持ち悪い。その割に後ろが寸銅じゃない。目の下にわけわかんないヒゲが付いてるし」

 そして、口を開くといきなり酷評を始めた。

「な、菜々? その……車の事は分からんが、作った人が聞いたら泣くぞ?」

 それに陸佐が集めてくれたんだし……とは言わないものの、止めようとする緑。だが、その心配は杞憂に終わったようだ。

「けど、凄く綺麗な流線型してる。ワインみたいに深い赤も好きだわ。私の髪と同じ色。オープンカーなのも良いわね。見れば見るほど愛嬌ある顔してるじゃない。他に交わらない個性的なデザインよね。気に入ったわ。私、これにする」

 菜々は、もうこれは自分のもので誰にも渡さない、とでも言わんばかりにその車のボンネットに脚を組んで座った。

「決まりのようだね……。私も車に詳しいわけではないので、解説は別の者に任せよう。針金くん」

「針金西(はりがねにし)です。どうも~」

 いつからそこにいたのか、小柄な白長髪の男性が手を振りながら陸佐の後から出てくる。

「えー、今回は皆さんが選んだ車とその解説をしたいと思いまーす! ではでは、鈴谷さんはGT-R35 NISMOですね! 楽さんがNSXで、緑さんが86GRMN、菜々さんがロードスターで決まりでーす!」

「「「「「……」」」」」

 いきなりテンション高めの西に付いていけず、全員目をパチクりとさせた。
 西はその温度差に、若干のやり辛さを感じつつも笑顔は崩さない。

「えーっと……じ、GT-R35から解説入りまーす。R35は2007年に登場した、スカイラインGT-Rの延長線上にある車です。一見ごついように見えるけど、空力に関してはかなり意識されてる設計だね。量産車最高の加速性能と高い空力性能でニュルブルクリンクでは最速タイムを更新した事もあったよ。NISMO(ニスモ)は600馬力、6800回転まで吹き上がるエンジンも特徴だね。最高速度も300km/h以上となっているよ。車重は約1.7tとかなり重いけど、これは他のスポーツカーよりトラクションを重視しているからなんだ。以上」

 西は何も見ずにR35の解説を終えると、NSXの方を見る。

「2代目NSXは2016年に発売が開始されたスポーツカーだよ。車高が低く抑えられていて、まるでスーパーカーみたいな見た目が特徴だね。車重約1.8t、出力580馬力でR35に劣るように思えるけど、駆動系や電子制御の面は頑張っていて実際の性能はほぼ同じ、最高速度も同じく300km/hを超えるよ。ハイブリッド車で、燃費もいいね」

 またもペラペラと頭の中に叩き込んである情報だけで解説を一通り終えた。

「86は2012年に登場したスポーツカーだよ。誰でも楽しく運転できる低重心でコンパクトな設計、まるで鷲のような顔が特徴だね。GR(GAZOOReacing)仕様はよりスポーツに特化した設計で、車重約1.2t、219馬力となっているよ。R35やNSXとは違い、軽量級だね」

 一瞬、緑が馬力を聞いて不安そうな顔をする。何となく、その数字は高い方が速いと勘づいているのだろう。
 彼女が、車の速さは馬力だけで無いことに気づくのはもっと時間が経ってからだ。

「4代目ロードスターは2015年に誕生したスポーツカーだね。徹底的な軽量化に力が注がれていて、そのためにエンジンの排気量も少なくしてるほどなんだ。とにかく運転を楽しむにはとっておきのスポーツカーだと思うよ。車重約1t、131馬力のライトウェイトスポーツだね」

「ん……? ひゃく……さんじゅういち……?」

 菜々も緑と同じく、いや緑以上に不安そうな顔をみせる。どうしてもGT-Rの600馬力と比べてしまうのだろう。

 一通り解説を終えた西だが、彼が聞いていた人数より一人少ない。
 小柄な身体をちょこまかと動かしてもう一人を探す。

「あれ、奈津美さんは?」

「奈津美はスピード違反で捕まってるよ」

 楽はそう教えるが、少々その情報は古かったようだ。

「いえ、ここにいるはずなんですけど……あ、きたきた」

「え?」

 次第に近づくエンジン音を西の耳が捉えた。

 太いサウンドが、倉庫と外界を繋ぐ地下に埋め込まれたU字の通路に入ってくる。
 黒を基調としたミニクーパーが通路から現れ、一同の前で停止した。

「ぃーやっほー! こんな楽しいの乗ったことなかったー! さいこー! うあー! はりーありがとー!」

「は、はりー……? どういたしまして……じゃあ説明するよ。この……」

 ハイテンションになっている奈津美に抱きつかれて若干苦しそうにする西。そのまま解説に移ろうとするが、奈津美に止められた。

「ノンノン! ここは私に任せてよ!」

 奈津美はミニクーパーの前で仁王立ちになり、いかにこの車が凄いかを語り始めた。

「私が乗るのはミニジョンクーパーワークスGPスペシャル! 新ミニをスポーツカーに昇華した限定200台の超希少車なのだー! 形はミニから変わってないけど、侮ることなかれ! 他の低車高スポーツカーに負けない空力性能に2L・230馬力のエンジン! これでお財布にも優しい低燃費でリッター16km! 車重はちょっと重い1.7tだけど、愛さえあれば関係ないよね! しかも私のJCWGPSP(ジョンクーパーワークスGPスペシャル)はエアロ組んでまーす! 最高っ!」

 片膝をつき左手を斜め上に上げて人差し指を立てるという謎のポーズを取りながら興奮気味に叫ぶのだった。
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