百鬼怪異夜行

葛葉幸一

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第七夜 件─クダン─

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 僕が子供の頃の話だ。
 僕の母の実家が相当な田舎で、祖父もそこに住んでいる。
 夏休みに祖父の家に行ったときに逢った怪異。
 その家では犬を飼っていた。
 白くて大きな犬で、僕はすごく大好きだった。
 祖父の家に行ったときはその犬は妊娠していて、もうすぐ出産するという時。
 父犬はわからず野良犬が相手かも知れないとのことだった。
 しかし子供が産まれることに変わりはなく、祖父の家ではみんな楽しみにしていた。
 ちょうど遊びに行った僕もこの夏休み中に産んでくれたら、と思っていた。
 そして。
 子犬が3匹。無事とは言いがたい状態で生まれた。
 そのうちの一匹が、人面の化け物だったのだ。
 祖父の家のものは驚きどよめいた。
 当たり前だ。せっかく生まれた子犬が化け物だったのだから。
 そして人面の子犬は生まれてすぐに人語をしゃべりこういった。
 「お前は三日以内に死ぬことになる、お前は死ぬのだ!逃れらない運命だ!ひゃははは!」
 そういうと、人面の犬はそのまま絶命した。
 
 祖父曰く。
 こいつは件だ。その予言は必ず当たる。しかも凶事ばかりを予言しやがる。
 戦前に生まれた件は戦争を予言したという話だ。
 しかし、こいつは雄だ。どこかで対になる雌が生まれその予言を避けるすべを教えてくれるという。

 家のもの総出でもう一匹の件を探したが、もう1匹の件が見つかることはなかった。
 祖父は慌てることなく藁で作った人形に僕の髪を編みこみ、そこにお札を貼った。
 依り代。簡単に言うと身代わり人形だ。
 三日後。僕は死ぬことはなかった。代わりに藁人形が燃え危うく祖父の家が火事になるところだった。
 僕は安堵してその場に座り込んだが、祖父は舌打ちをしてこういった。
 結局対処療法でしかねぇ。まだ件の呪いは解けちゃいねぇぞ。
 僕は大学生になったが今でも元気に生きている。
 もしかしたら件の予言は完全にあの藁人形が引き受けてくれたのかも知れない。
 しばらくして、借家のそばで猫が子供を産んだ。
 僕がその子猫に気がつくと、子猫の1匹がこちらに近づいてきた。
 その顔は人面。
 子猫は言った。
 「呪いは解けていない。お前は後三日で死ぬんだ」
 そういって血を吐きながら死んだ。
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