百鬼怪異夜行

葛葉幸一

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第十三夜 不幸の手紙─フコウノテガミ─

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ある日一通の手紙が届いた。
「この手紙を受け取った人は、3日以内に3人に同じ手紙を送らないと呪われます」
昔流行った不幸の手紙だった。
僕は対して気にしてなかったが、大学でも少し騒ぎになった。
オカ研は手紙自体より手紙がもたらす「効果」を話し合っていた。
そしてなぜか僕まで。
──君はどう思う?
オカ研の部長に問われた。
どうもなにも、こんなのはただのお遊びだ。
今の所は。

祖父曰く
文字には言霊が宿る。
褒められれば嬉しいし、怒られりゃ悲しいし腹が立つ。罵声を浴びせられりゃ憎み恨みもするだろうよ。
それは表層意識じゃなく深層心理にまで到達した時に初めて言霊となり、呪いとなる。

人は自分でも意識できない意識がある。
幽霊なんていない、と思ってる人でも心の深いところでは、いたらどうしようと恐怖を持っていたり。
プラシーボ効果なんて言葉がある通り、人が本当に信じた時、それは怪異となる。
人が持つ願いは叶うのだ。
それが良いことなのか悪いことなのか別として。
不幸の手紙はどんどん増えていく。
大学生にもなってそんなものを真に受ける人も少ないだろうが、中には本当に不幸になったと思い込む人もいる。
不幸の手紙を受け取ったから、家族が病気になった。
不幸の手紙の内容に従わなかったら、ペットが死んだ。
因果はわからないが、負の言霊である不幸の手紙の所為にする。
そうやって心の整理をする人はいる。
しかし、因果は巡り巡って自分に返ってくる。
大学の近くの駅で殺人があった。
刺殺。
一箇所だけではなく、何ヶ所もひたすら刺されていたらしい。
警察もこれは怨恨だと当たりをつけて捜査している。
そして死んだ被害者の家からは、大量の不幸の手紙が見つかった。
誰かから送られたものではない。
住所目録を手に取りひたすら不幸の手紙を送り続けていたのだ。
しかし僕は気になった。
この被害者はなぜ、不幸の手紙を他人に送りつけようと思ったのか。
ただの愉快犯かもしれないし、なにかがきっかけなったのかもしれない。
しかし、原因は判らず終いだ。

それから数ヶ月後。
その事件現場で怪異を見るようになった。
あの被害者だ。
通りかかる人すべてに呪詛の言霊を吐き出している。
彼の心と魂は、生きていた頃からすでに地獄に落ちていたのかも知れない。
そして今も道連れを探して人を呪い続けているのだ。
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