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第十四夜 二口女─フタクチオンナ─
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電車で嫌なものを見てしまった。
見た目は普通の女性だけど、頭のうなじあたりに口がある。
でもそれはきっと僕にしか見えないのだろう。
その頭の口は僕に話しかけてくる。
──見えてるんだろう?
僕は無視をする。
──隠すなよ。なにもとって食いはしないさ。
この手の怪異は関わっちゃダメだ。
でもこの女性は同じ大学なのだ。
否が応でも多少関わることもあるかもしれない。
祖父曰く。
二口女なんてのは、水子の霊を抱えた赤ん坊の霊。
「だったんだ」
しかしこの時代、医療も発展してお産のリスクも下がった。
そうなった時、奴らはどうすると思う。
人を……。
そこから先は自分の目で見るこったな。
大学で同じ講義を受けているその二口女。
僕は引っ込み思案で自分の意見を、押し通すようなことができないような印象を受けていた。
しかし次第に自分の意見を少しきつい言い方ではあるが主張し始めた。
ただ、僕には見えていた。
彼女の言葉を遮って、意見を主張しているのは、うなじの口だ。
気弱な彼女の心が生み出した妖怪なのかも知れない。
が。
恐ろしいほどに彼女の気が弱まり、逆にうなじの口の気が強くなっていった。
それは、彼女が元からそういう性格だったのでは、と思わせるほどだった。
僕だからこそ、その異変に気付いたが、他の人は気付いてないだろう。
そして、二口女は彼女そのものを食べた。
元の彼女の人格や努力や楽しかったことを全て吸収して、怪異自身が人間に化けたのだ。
しかし。
二口女に取って代わられた女の子は今まで以上に友達もできて楽しそうに大学に通っている。
彼女が、望んだから二口女が生まれたのか。
二口女が取り憑いたから彼女が変わったのか。
定かではない?
そして、彼女は僕とすれ違い様に、こう言ったのだ。
──誰にも話してなくてよかったね。
もし二口女のことを誰かに話していたなら、僕も元の彼女も命はなかったのかもしれない。
見た目は普通の女性だけど、頭のうなじあたりに口がある。
でもそれはきっと僕にしか見えないのだろう。
その頭の口は僕に話しかけてくる。
──見えてるんだろう?
僕は無視をする。
──隠すなよ。なにもとって食いはしないさ。
この手の怪異は関わっちゃダメだ。
でもこの女性は同じ大学なのだ。
否が応でも多少関わることもあるかもしれない。
祖父曰く。
二口女なんてのは、水子の霊を抱えた赤ん坊の霊。
「だったんだ」
しかしこの時代、医療も発展してお産のリスクも下がった。
そうなった時、奴らはどうすると思う。
人を……。
そこから先は自分の目で見るこったな。
大学で同じ講義を受けているその二口女。
僕は引っ込み思案で自分の意見を、押し通すようなことができないような印象を受けていた。
しかし次第に自分の意見を少しきつい言い方ではあるが主張し始めた。
ただ、僕には見えていた。
彼女の言葉を遮って、意見を主張しているのは、うなじの口だ。
気弱な彼女の心が生み出した妖怪なのかも知れない。
が。
恐ろしいほどに彼女の気が弱まり、逆にうなじの口の気が強くなっていった。
それは、彼女が元からそういう性格だったのでは、と思わせるほどだった。
僕だからこそ、その異変に気付いたが、他の人は気付いてないだろう。
そして、二口女は彼女そのものを食べた。
元の彼女の人格や努力や楽しかったことを全て吸収して、怪異自身が人間に化けたのだ。
しかし。
二口女に取って代わられた女の子は今まで以上に友達もできて楽しそうに大学に通っている。
彼女が、望んだから二口女が生まれたのか。
二口女が取り憑いたから彼女が変わったのか。
定かではない?
そして、彼女は僕とすれ違い様に、こう言ったのだ。
──誰にも話してなくてよかったね。
もし二口女のことを誰かに話していたなら、僕も元の彼女も命はなかったのかもしれない。
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