百鬼徒然

葛葉幸一

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第28夜 のっぺら坊ーノッペラボウー

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 夢を見ていた。
小さい頃の夢。
その中で僕は、かごめかごめをやっていて、真ん中に座り、目隠しをして、歌をうたう。

かごめかごめ、籠の中の鳥は
いついつ出やる
夜明けの晩に
鶴と亀が滑った
後ろの正面、だあれ?

大人になった今は、この歌詞が流産してしまった人の歌である、という説を知っている。
しかし、子供の頃はそんなことも知らずに、遊んでいた。

祖父曰く。
真の闇って奴が、どんなものか知ってるか?
それはな、オメェが目を閉じてる時だ。
歌ってる奴は本当に友達か?
目を閉じてる時だけ、別のナニかになっちまってても、気付かねぇだろ。
それが闇さ。

夢の中で遊びは続く。
後ろの正面だあれ?
声が。
一人分多いような気がする。
聞き間違いか?
だって目を閉じてる時は闇なのだから、目を開けるまで真実はわからない。
だから。
目を開ける。
◯◯くん!
子供の頃の僕には、恐怖心はない。
しかし、成長した僕には恐怖心しかない。

答えて目を開ける。
そこには、誰もいなかった。
僕だけがポツン、と立っていた。
子供の頃の僕の後ろ姿に、声をかける。
子供の頃の僕がこちらを振り向く。
みてはいけない。
そうわかっているのに。

振り向いた僕には顔が。
ない。
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