百鬼徒然

葛葉幸一

文字の大きさ
43 / 50

第43夜 小豆洗いーアズキアライー

しおりを挟む
あるひ、お手玉を拾った。
片方というか、1つだけのお手玉。
ーーしゃき、しゃき。
音だ。音がする。
ーーしゃき、しゃき。
なんの音だろう……。
翌日、テレビを見ているとニュース番組で小豆を洗っていた。
ーーしゃき、しゃき。
その音は昨夜聞いた音に酷似していた。
そして、また夜。
寝ていると聞こえてくる音。
ーーしゃき、しゃき。
あぁ、これは小豆の音なんだ。

祖父曰く。
こいつは音だけの妖怪でもあるし、坊さんの格好をして人前に姿をあらわすこともあるという。
「小豆洗おうか、人前に取って食おうか」
ただおとなしいだけの怪異じゃねぇぞ。

次の日。
僕は拾ったお手玉を手に取る。
ーーしゃき、しゃき。
この音だ。
昔はお手玉を作るのに小豆を使ったんだ。
そして、食糧難の際には食することもあったという。
このお手玉はもや……。
僕はこのお手玉を、落とし物として、警察に届けることにした。
元の持ち主の所に帰ればいい、と。
しかし。
ーーしゃき、しゃき。
音は止まない。
ーーしゃき、しゃき。
そして朝。
なぜかお手玉は机の上にあった。
僕は何となく中身が気になり、申し訳ないと思いながら、中を開けてみてしまった。
中身は小豆と。
大量の髪の毛。
その時、耳元ではっきりと聞こえた。
「小豆洗おうか、人とって食おうか」
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

(ほぼ)5分で読める怖い話

涼宮さん
ホラー
ほぼ5分で読める怖い話。 フィクションから実話まで。

静かに壊れていく日常

井浦
ホラー
──違和感から始まる十二の恐怖── いつも通りの朝。 いつも通りの夜。 けれど、ほんの少しだけ、何かがおかしい。 鳴るはずのないインターホン。 いつもと違う帰り道。 知らない誰かの声。 そんな「違和感」に気づいたとき、もう“元の日常”には戻れない。 現実と幻想の境界が曖昧になる、全十二話の短編集。 一話完結で読める、静かな恐怖をあなたへ。 ※表紙は生成AIで作成しております。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

処理中です...