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第1章 亡国の魔法騎士
動き出す造魔
今まで、自分が倒した人間兵たちを、造魔から守るように、立ちふさがる。
「お次は、あんたらかい?
少しは手応えがあるといいな!」
そう言うソウマの左手から、素早く一匹の造魔が迫る。
そのスピードは、常人では肉眼では追えないほどだ。
しかし、ソウマは片腕で、はたき落とす。
「お前らに魂がないのなら、今回は、手加減しないぞ」
今叩きのめされた造魔が、砂となって消える。
今度は、手加減無しで、最初から殺す気で攻撃を仕掛けたのだ。
先ほどまでは余裕のある風だったソウマが空気を一変させる。
人間なら、いや。感情を持った生き物なら、ソウマの放つ凍てつくほどの殺気に怖じ気づき、その身をすくませたことだろう。
しかし、造魔たちは怯む気配がない。
機械的に作戦を遂行すべく隊列を整え、ソウマに迫り来る。
『ソウマ君は、後ろにいる兵たちを気にして居るみたいですね。
ソウマ君ではなく、その後ろにいる、人間たちを殺しなさい』
全体に命令が飛ぶ。
見抜いていた。
ソウマが人間兵を、誰一人殺していないことを。
気付いていた。
気を失った人間兵を、かばうようにその前に陣取っていた事を。
そして非情にも、自分の兵を殺せ、と命令を下した。
「上等っ!」
『陣形を開きなさい。左右から包み込み、全方位から仕掛ければ、一人では手が回らなくなります。
数の利を活かしなさい』
矢継ぎ早に指示が出されていく。
大軍は淀みなく動き、左右へと広がろうとしている。
「させるかよ。行くぞ『深淵流•鶴翼双爪』!!」
全身のバネを使い、大地から集約した力を両腕から放つ。
今まで腕を振るっただけで繰り出された衝撃波とは、比べることのできない程の威力を伴った烈風が、左右に広がろうとしていた造魔たちを襲う。
その破壊力は、竜巻にも劣らない。大地を抉り、屈強な造魔をまとめて数十。いや、数百匹切り裂き、無に帰す。
これが魔法を使わずに、一人の人間が使える体術なのか。
さらに広がろうと軍を動かしていたミハエルが、一瞬躊躇する。
軍を左右に分かれさせるために、ソウマの邪魔が入らないよう、手練の造魔を数匹足止めに送り込んでいたのだ。
しかし、刹那の時間稼ぎ。それすら果たせなかった。
『……作戦を変更します。
造魔、全総力を持ってソウマ君へ向かいなさい。他の者は、放っておきいて』
ソウマの底のしれない強さに、ミハエルは瞬時に作戦を切り替える。
持久戦。
とにかく、ソウマに休む間を与えず攻め続け、隙をこじ開ける。
単純明快だが、戦力を分散させ、無駄に犠牲をだすくらいなら、この男にはそれがいい。
「素早い判断だ。だが、それは悪手だ」
空からは翼を持った造魔が。
前後左右からは、スピード、パワーに長けた造魔が。
地下にトンネルを掘れるものは下から。
まさに、全方位から襲いかかる、異形の者たち。
しかし、ソウマは動ずる事なく、流れ作業のように敵を屠って行く。
真上の敵を蹴り上げた脚で貫く。
そのまま振り下ろし、その風圧だけで、前方にいた人狼数匹を切り裂き、さらに止まる事なく脚を大地に叩きつけ、地下に潜っている敵を蹴り潰す。
その蹴りの衝撃で、地面が大きくえぐれ、クレーターができた。
急に足場を失い体制を崩す造魔数十匹。対してソウマは、中空へと飛び上がり、下方へ向かって、蹴りを放つ。
「『深淵流•空牙』!」
たった今できたばかりのクレーターに嵌まった造魔たちが、ソウマの放つ技の前に、ことごとく消されていく。
その間も、ミハエルはなんとか後ろの人間兵を人質に取れないかと隙を伺っているのだが、その隙を作ることができない。
「どうした、この程度かっ?!」
ソウマが吠える。
その間にも、腕で、脚で、造魔を薙ぎ払っていく。
すると、ソウマの目の前が不意に暗くなる。
周囲10mくらいが影に包まれた。
ソウマだけではない。
その場にいた、造魔がみなその影を作った魔物を見上げる。
最奥に居たはずの、サイクロプスがいつの間にか、眼前に立っていたのだ。
(この俺が、気配を感じないとは…)
脅威的なスピードなのか、気配を断ち動く術に長けているのか。
それとも……。
一つ目の巨人が、手に持った鉄槌を振りかぶる。
「ばかな、仲間ごと行く気か!?」
ソウマの周囲には、もちろん今まで交戦していた造魔が多数いる。
しかし、その造魔たちは自分達を巻き込み、殺そうとするサイクロプスの挙動など意にも返さず、ソウマを殺そうと攻撃を仕掛けてくる。
「こいつら、本当に意思がないのか」
少し悲しそうに、ソウマが呟いた。
そして、触れれば形も残らないだろう必殺の一撃が、ソウマに振り下ろされる。
避けたとしても、その後ろにいる人間の兵たちが犠牲になるだろう。
「ちっ!」
ソウマの舌打ちの音だけが、最後に残った。
(あれは、なに?!)
戦場となった平原から少し離れた森の中に、アーニャ、たたら、ティアラの三人が潜んでいた。
もちろん、ソウマの戦いを見守るためだ。
最初は絶望を感じていた三人だが、ソウマの予想以上の強さに、たたらもティアラも、今は少し表情が和らいでいる。
そんな中で、アーニャだけが、一人恐怖を覚えていた。
それは、あのサイクロプスの魂のあり方が、生き物として常軌を逸していたからだ。
アーニャの能力は、『物事の本質を見極める』こと。
その複眼はサイクロプスの魂の深淵を覗き見ていた。
造魔の魂は、まだわかる。
元からあるものに手を加えられた、まさに造られし魂だ。
意思や感情、そういったものをすべて奪われ、代わりに命令を聞くことすべてを
捧げる、悲しい魂。
しかし。あれは。
なんだ?
あの魂の存在の仕方は。
人間と造魔の子。
同じ…。
魔物、人、の魂の融合。そこに割り込むように、ミハエルの魂がある。
これは、テレパシーや、遠隔操作と言った魔法の類ではない。
造魔に自分の魂を、「直接」繋げているのだ。
それをどのように実現したかはわからないが、ミハエルが前王の時からしていた研究の果てなのだろう。
魔法が使える状況なら、そこまで難しくはないかもしれない。
しかし、魔法の使えないこの大陸において、その技術を使えていることがおかしい。
いったい、どうやって……。
もっと近くで見れれば……。
白熱するたたらとティアラは気がつかなかった。まるで、魅入られたように、戦場へ向かうアーニャの存在に。
くらい。
クライ。
暗い。
闇の底。
ぽつりと、エグゼ漂っていた。
最初から居たのか、途中から居たのか。
長いこと居たのか、時間など経っていないのか。
全てが曖昧模糊とした状態でただ、闇の中を漂っている。
心地よい。
ただただ、この闇の流れに身を任せていれば、それはなんと甘美な時間か。
-なんで、ここにいるんだっけ?-
考える。が、やめる。
-こんなに気持ちいいんだし、どうでもいいか-
悪くない。瞳を閉じる。自然と笑みがこぼれた。
暗闇に、一つの灯りがともる。
あれは…。
幼き日のエグゼ。
森の中にいる。
あれは…。
遠い昔、森の中で暮らしていた時間。
柔らかな日差しの中、エグゼは菩提樹の下で、安らかに寝息を立てている。それを優しく撫でながら、微笑む一人の女性。
幸せな時間が流れる。
しかし、それは長く続かない。
次に映し出された映像では、焦土と化した森の中で、少年のエグゼが一人佇んでいる所だった。周りには、魔物の死骸がエグゼを取り囲むように転がっている。
そこに通りかかる、豪奢な装備の軍隊。
その先頭には、エグゼと幾つも歳の変わらない少女がいた。
その軍隊の隊旗は、この大陸で最も力と権力のあるもの。
聖エルモワールの紋章だった。
そしてその軍隊を率いる少女こそ、この国の王女、ミスティライト・フォン・エルモワール、その人出会った。
エグゼとミスティの出会い。
また、画面は流れる。
少しずつ、エグゼとミスティが成長して、エグゼはただの一兵卒から、一足飛びに成長していく。
王女に見初められた、孤児。
類を見ない精霊との親和性。
歴史上最高峰の魔力。
精霊との契約。
いままでの出来事が、走馬灯のように、暗闇にいるエグゼの回りに映し出される。
そして、場面は、もっとも見たくない記憶へと結びつく。
ミハエル。
エルモワール王。
戦場となった城。
そして。
ミハエルに、造魔に犯される、王女ミスティ。
その場面を思い起こした瞬間、暗闇は一気に晴れエグゼを中心に炎が広がる。
-僕は、なにを呑気なことを言ってるんだっ!-
このままこの暗闇で心地よいまどろみに身を任せるだなど、と。
違う!
復讐だ。
この国を。
王を!
ミスティを!
僕自身をっ!
全てを壊したあの男を殺してやるんだ!
たとえこの身が滅びようとも、魂だけになってでも棺桶から這い出て、あの男を殺すのだっ!
憎悪の炎は、さらに勢いを増す。
この大陸を、この世界を飲み込む程の炎。
それだけが、今エグゼが生きてる理由だ。
…。
焦熱地獄に身を落とすエグゼの後ろに、サニーが立っていた。
『エグゼ…。あの美しかった心は、今…』
悲しそうにエグゼを見つめる。
柔らかな陽だまりのような麗美なエグゼの心象世界は、今や見る影もない。
『大丈夫だよ。エグゼ。その願いも私たち7代精霊と、精霊王の力があれば叶うよ』
後ろからそっと、エグゼを抱きしめる。自身も炎と化したエグゼが、サニーに襲いかかる。
『溜め込まないで。ここは、魂の世界。自分に嘘はつけないよ。自分の思うがままに、私と契約を交わしましょう』
「お次は、あんたらかい?
少しは手応えがあるといいな!」
そう言うソウマの左手から、素早く一匹の造魔が迫る。
そのスピードは、常人では肉眼では追えないほどだ。
しかし、ソウマは片腕で、はたき落とす。
「お前らに魂がないのなら、今回は、手加減しないぞ」
今叩きのめされた造魔が、砂となって消える。
今度は、手加減無しで、最初から殺す気で攻撃を仕掛けたのだ。
先ほどまでは余裕のある風だったソウマが空気を一変させる。
人間なら、いや。感情を持った生き物なら、ソウマの放つ凍てつくほどの殺気に怖じ気づき、その身をすくませたことだろう。
しかし、造魔たちは怯む気配がない。
機械的に作戦を遂行すべく隊列を整え、ソウマに迫り来る。
『ソウマ君は、後ろにいる兵たちを気にして居るみたいですね。
ソウマ君ではなく、その後ろにいる、人間たちを殺しなさい』
全体に命令が飛ぶ。
見抜いていた。
ソウマが人間兵を、誰一人殺していないことを。
気付いていた。
気を失った人間兵を、かばうようにその前に陣取っていた事を。
そして非情にも、自分の兵を殺せ、と命令を下した。
「上等っ!」
『陣形を開きなさい。左右から包み込み、全方位から仕掛ければ、一人では手が回らなくなります。
数の利を活かしなさい』
矢継ぎ早に指示が出されていく。
大軍は淀みなく動き、左右へと広がろうとしている。
「させるかよ。行くぞ『深淵流•鶴翼双爪』!!」
全身のバネを使い、大地から集約した力を両腕から放つ。
今まで腕を振るっただけで繰り出された衝撃波とは、比べることのできない程の威力を伴った烈風が、左右に広がろうとしていた造魔たちを襲う。
その破壊力は、竜巻にも劣らない。大地を抉り、屈強な造魔をまとめて数十。いや、数百匹切り裂き、無に帰す。
これが魔法を使わずに、一人の人間が使える体術なのか。
さらに広がろうと軍を動かしていたミハエルが、一瞬躊躇する。
軍を左右に分かれさせるために、ソウマの邪魔が入らないよう、手練の造魔を数匹足止めに送り込んでいたのだ。
しかし、刹那の時間稼ぎ。それすら果たせなかった。
『……作戦を変更します。
造魔、全総力を持ってソウマ君へ向かいなさい。他の者は、放っておきいて』
ソウマの底のしれない強さに、ミハエルは瞬時に作戦を切り替える。
持久戦。
とにかく、ソウマに休む間を与えず攻め続け、隙をこじ開ける。
単純明快だが、戦力を分散させ、無駄に犠牲をだすくらいなら、この男にはそれがいい。
「素早い判断だ。だが、それは悪手だ」
空からは翼を持った造魔が。
前後左右からは、スピード、パワーに長けた造魔が。
地下にトンネルを掘れるものは下から。
まさに、全方位から襲いかかる、異形の者たち。
しかし、ソウマは動ずる事なく、流れ作業のように敵を屠って行く。
真上の敵を蹴り上げた脚で貫く。
そのまま振り下ろし、その風圧だけで、前方にいた人狼数匹を切り裂き、さらに止まる事なく脚を大地に叩きつけ、地下に潜っている敵を蹴り潰す。
その蹴りの衝撃で、地面が大きくえぐれ、クレーターができた。
急に足場を失い体制を崩す造魔数十匹。対してソウマは、中空へと飛び上がり、下方へ向かって、蹴りを放つ。
「『深淵流•空牙』!」
たった今できたばかりのクレーターに嵌まった造魔たちが、ソウマの放つ技の前に、ことごとく消されていく。
その間も、ミハエルはなんとか後ろの人間兵を人質に取れないかと隙を伺っているのだが、その隙を作ることができない。
「どうした、この程度かっ?!」
ソウマが吠える。
その間にも、腕で、脚で、造魔を薙ぎ払っていく。
すると、ソウマの目の前が不意に暗くなる。
周囲10mくらいが影に包まれた。
ソウマだけではない。
その場にいた、造魔がみなその影を作った魔物を見上げる。
最奥に居たはずの、サイクロプスがいつの間にか、眼前に立っていたのだ。
(この俺が、気配を感じないとは…)
脅威的なスピードなのか、気配を断ち動く術に長けているのか。
それとも……。
一つ目の巨人が、手に持った鉄槌を振りかぶる。
「ばかな、仲間ごと行く気か!?」
ソウマの周囲には、もちろん今まで交戦していた造魔が多数いる。
しかし、その造魔たちは自分達を巻き込み、殺そうとするサイクロプスの挙動など意にも返さず、ソウマを殺そうと攻撃を仕掛けてくる。
「こいつら、本当に意思がないのか」
少し悲しそうに、ソウマが呟いた。
そして、触れれば形も残らないだろう必殺の一撃が、ソウマに振り下ろされる。
避けたとしても、その後ろにいる人間の兵たちが犠牲になるだろう。
「ちっ!」
ソウマの舌打ちの音だけが、最後に残った。
(あれは、なに?!)
戦場となった平原から少し離れた森の中に、アーニャ、たたら、ティアラの三人が潜んでいた。
もちろん、ソウマの戦いを見守るためだ。
最初は絶望を感じていた三人だが、ソウマの予想以上の強さに、たたらもティアラも、今は少し表情が和らいでいる。
そんな中で、アーニャだけが、一人恐怖を覚えていた。
それは、あのサイクロプスの魂のあり方が、生き物として常軌を逸していたからだ。
アーニャの能力は、『物事の本質を見極める』こと。
その複眼はサイクロプスの魂の深淵を覗き見ていた。
造魔の魂は、まだわかる。
元からあるものに手を加えられた、まさに造られし魂だ。
意思や感情、そういったものをすべて奪われ、代わりに命令を聞くことすべてを
捧げる、悲しい魂。
しかし。あれは。
なんだ?
あの魂の存在の仕方は。
人間と造魔の子。
同じ…。
魔物、人、の魂の融合。そこに割り込むように、ミハエルの魂がある。
これは、テレパシーや、遠隔操作と言った魔法の類ではない。
造魔に自分の魂を、「直接」繋げているのだ。
それをどのように実現したかはわからないが、ミハエルが前王の時からしていた研究の果てなのだろう。
魔法が使える状況なら、そこまで難しくはないかもしれない。
しかし、魔法の使えないこの大陸において、その技術を使えていることがおかしい。
いったい、どうやって……。
もっと近くで見れれば……。
白熱するたたらとティアラは気がつかなかった。まるで、魅入られたように、戦場へ向かうアーニャの存在に。
くらい。
クライ。
暗い。
闇の底。
ぽつりと、エグゼ漂っていた。
最初から居たのか、途中から居たのか。
長いこと居たのか、時間など経っていないのか。
全てが曖昧模糊とした状態でただ、闇の中を漂っている。
心地よい。
ただただ、この闇の流れに身を任せていれば、それはなんと甘美な時間か。
-なんで、ここにいるんだっけ?-
考える。が、やめる。
-こんなに気持ちいいんだし、どうでもいいか-
悪くない。瞳を閉じる。自然と笑みがこぼれた。
暗闇に、一つの灯りがともる。
あれは…。
幼き日のエグゼ。
森の中にいる。
あれは…。
遠い昔、森の中で暮らしていた時間。
柔らかな日差しの中、エグゼは菩提樹の下で、安らかに寝息を立てている。それを優しく撫でながら、微笑む一人の女性。
幸せな時間が流れる。
しかし、それは長く続かない。
次に映し出された映像では、焦土と化した森の中で、少年のエグゼが一人佇んでいる所だった。周りには、魔物の死骸がエグゼを取り囲むように転がっている。
そこに通りかかる、豪奢な装備の軍隊。
その先頭には、エグゼと幾つも歳の変わらない少女がいた。
その軍隊の隊旗は、この大陸で最も力と権力のあるもの。
聖エルモワールの紋章だった。
そしてその軍隊を率いる少女こそ、この国の王女、ミスティライト・フォン・エルモワール、その人出会った。
エグゼとミスティの出会い。
また、画面は流れる。
少しずつ、エグゼとミスティが成長して、エグゼはただの一兵卒から、一足飛びに成長していく。
王女に見初められた、孤児。
類を見ない精霊との親和性。
歴史上最高峰の魔力。
精霊との契約。
いままでの出来事が、走馬灯のように、暗闇にいるエグゼの回りに映し出される。
そして、場面は、もっとも見たくない記憶へと結びつく。
ミハエル。
エルモワール王。
戦場となった城。
そして。
ミハエルに、造魔に犯される、王女ミスティ。
その場面を思い起こした瞬間、暗闇は一気に晴れエグゼを中心に炎が広がる。
-僕は、なにを呑気なことを言ってるんだっ!-
このままこの暗闇で心地よいまどろみに身を任せるだなど、と。
違う!
復讐だ。
この国を。
王を!
ミスティを!
僕自身をっ!
全てを壊したあの男を殺してやるんだ!
たとえこの身が滅びようとも、魂だけになってでも棺桶から這い出て、あの男を殺すのだっ!
憎悪の炎は、さらに勢いを増す。
この大陸を、この世界を飲み込む程の炎。
それだけが、今エグゼが生きてる理由だ。
…。
焦熱地獄に身を落とすエグゼの後ろに、サニーが立っていた。
『エグゼ…。あの美しかった心は、今…』
悲しそうにエグゼを見つめる。
柔らかな陽だまりのような麗美なエグゼの心象世界は、今や見る影もない。
『大丈夫だよ。エグゼ。その願いも私たち7代精霊と、精霊王の力があれば叶うよ』
後ろからそっと、エグゼを抱きしめる。自身も炎と化したエグゼが、サニーに襲いかかる。
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