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第2章 剣聖の魂
第10話 エグゼ自身の強さ
階段を上がり、湖上の神殿へと入る。
丁寧に作り上げられた、神代の建物は何千年経っても朽ちることが無い。
それどころか、年代を重ねる毎に深みを増していく。
それは美術に興味が無い者の心すらも虜にする魔力を秘めていた。
「久しぶりだね、ここも」
数年前。初めてツクヨミと契約を交わした時を思い出す。
その時は強大な魔法力があったため、迷宮も使わず街から一気に湖上のこの神殿へと侵入してしまったものだが。
その時はツクヨミにあきれられたものだ。
せっかく用意したクエストも全てすっ飛ばされていきなりクライマックスにきてしまったのだ。
その過程で苦悩する冒険者たちを見るのが楽しみだったのに、と怒られたものだ。
神殿の上の上。最上階にたどり着くと、そこには、麗美な祭壇があった。
その真ん中では、一人の少女が目を閉じ、祈りをささげている。
何のための祈りか。
「久しぶり」
今までとさして変わらない。いや、心持ちうれしそうな口調でエグゼは語りかける。
旧知の仲だ。気取る必要も無い。
「今回は、きちんとした手順ですのね」
丁寧な口調はしかし、皮肉が込められていた。
「来るとはおもっていたわ。久しいわね、エグゼ、サニー」
この聖域なら、サニーも姿を表すことが出来る。
「おひさしぶり~、ツクヨミちゃん」
間伸びた声のサニーに、張り詰めた空気がほぐされるのを感じた。
「……。とはいえ、『日の大精霊』の力を使うのは、ルール違反だわ」
せっかく合えた三人。喜びの再会もひとしおだが、それだけで済ますわけにも行かない。
「前回契約したときは、断りようが無いほどの魔法力をもっていたから契約したけど、今回はそうは行かないわ。」
エグゼを睨み「あなた自身の強さじゃない」
といった。
「でもぉ、ツクヨミちゃん」
言葉を紡ごうとしたサニーを、ツクヨミがさえぎる。
「確かに、大精霊と融合を果たせるは、エグゼの力の一つかも知れない。でも、今回の戦いはそんなに楽なものなの?」
厳しい口調のまま、ツクヨミは話し続ける。
「エグゼ。貴方自体が強くなくてどうするの? もし万が一ミハエルとやら私たち精霊を無力化する手立てを持っていたら、貴方になにが出来るの?」
前回、大精霊と契約をした時は、時勢は平和だった。
たまに起こるクーデターや、魔物の大量増殖くらいしか、騎士団の仕事は無かった。
しかし、今は戦争の只中である。敵の戦力も底知れない。
そんな中でもし、戦う力を奪われたなら。
前回エグゼがミハエルに敗れた原因はまさにそれである。
『黒いカーテン』に魔法力を封じられ、大精霊を召喚出来なくなったエグゼは、いとも簡単に造魔の前に敗れたのだ。
大精霊の力に甘えて、己を鍛えていなかったのだ。
「エグゼ。今のままでは、貴方と契約することは出来ないわ」
ツクヨミはそういうと、もう話すことはない、とでも言うようにお祈りへと戻る。
これ以上、エグゼにはどうすることも出来なかった。
ーー幕間2ーー
ミハエルは、造魔が持ち帰った白銀の鎧。
そこに残る残留思念。この鎧には特別な力があった。
この鎧には魂がある。その魂とは。
「ふふふ。素晴らしい! やっと見つけましたよ。これがあれば私の『神魔』はより完璧になるでしょう!」
造魔よりも強い『神魔』。
造魔は無より作られ、魂を持たずただの操り人形に過ぎない。
しかし『神魔』は違う。
特に強力な造魔と、特に魔法力の強い『女』との禁忌の交わりの末に生まれてきた邪法の命。
そしてミハエルの命に忠実なる配下。
その強さは負けはしたが、証明された。
初期型で、もっとも弱いヴィヴィアンが、それなりに戦えたのだ。
今いる『神魔』なら。
さらにこの鎧があれば!
「ははははははっ!次で王手です、エグゼ君、ソウマ君!」
「確かこの鎧の持ち主はエルフでしたね。」
ならば、ちょうどいいのは。
ミハエルは考える。
デビューは鮮烈のほうが良いだろう。
結局。ツクヨミと契約できないままに街まで戻って来たエグゼ一行は、メリクリウス本部で車座になっていた。
「というわけで、ツクヨミと契約することはできなかったよ」
残念そうにエグゼが語る。
「たしかに、大精霊と契約していない貴様など、者の数ではないからな」
魚でもないのに雑魚だ。だなど、よく訳のわからないことを言っている。
「でも、どうしよう?他の精霊と先に契約するしかないかな?」
今すぐに、エグゼの剣技が劇的に向上するわけも無く、ツクヨミと契約することは出来そうにない。
「ツクヨミ自体が剣の達人だからね」
『月の大精霊・ツクヨミ』
その力は、月の魔力を用いた回復。さらには月の剣技を召喚者に授けることである。
「だからこそ、僕自身が強くなくても、大精霊と契約してるだけで破格の強さが手に入れられてたんだ」
しかし、その剣技も召喚している時のみである。
ただ思考能力が早く、身体能力が優れていても、技を用いなければ、たいした脅威ではない。
隙が多く、大降りで雑である。
ゆえに技、というのは戦いの中で大きなアドバンテージとなる。
「せめて、僕に母さんの半分くらいの強さがあったらなぁ」
アーニャは思う。
エグゼの母とは。あの森で夢に見た。
「エルフの女の人?」
エグゼを拾い、その為にエルフの集落を追われエグゼを育てあげたエルフ。
「エグゼのお母さんは強かったの?」
なんとなく興味があって聞いてみた。
「あぁ。母さんはエルフなのに剣が得意で、昔は『剣聖』なんて呼ばれてたみたいだよ」
この世界でもっとも剣技に優れた最強と名高い伝説の存在。
そして、その歴史ある剣聖の中でも最強、謳われるエルフ。
「ま、まさか、『剣聖・ルーシア』様かっ!?」
と、ビスタが身を乗り出してエグゼにたずねる。
「そ、そうだよ。ルーシア。それが、僕を育ててくれた人の名前だ」
夢見る乙女のように潤んだ瞳で、両手を組み天を仰ぐビスタ。
「『万魔の太刀』を使いこなす、伝説の御仁!まさか行方不明になったあの方の消息をこんなところで知ることになろうとは!」
「私、初めて知ったけど、エグゼのお母さん、すごい人だったんだ?」
「この大陸では。一番の剣士だったみたいだよ」
苦笑しながら答えるエグゼ。その瞳には、寂しげな色が浮かんでいた。
「あ、あのお方は今どうしておられるのだ!?も、ももも、もし良かったら、サインとかっ!」
「死んだんだ」
「え?」
至極あっさりした答え。
時が止まる。
「し、死んだ?あの御仁が?」
ビスタは信じられないといった面持ちだ。
エルフとしてはまだ年若かったルーシア。寿命を迎えるのはまだ早いはず。
「ならば、殺された……?」
しかし、『剣聖』を殺せる者など、いるのだろうか。
「多勢に無勢。幼かった僕を庇いながらの戦いはさすがに無理だったんだ」
しばらく、辺りはしん、と静まり返った。沈黙が痛い。
「僕が」
とエグゼがつぶやく「僕がもっと強ければよかったんだ」
胸を締め付けるような独白。
だからこそ、大精霊と契約し、比類なき力を身に付けたのに。
「ぼくは2回とも護れなかったんだ」
2回とはいつといつなのか。
言うまでもない。
母を護れなかった。
国王を、姫を、仲間を、国を、護れなかった。
「だから、僕は」
すっと、音も無くビスタが立ち上がる。
「来い、エグゼ」
武器を取り、練兵場へと歩いていく。
それだけで、ビスタがなにを言いたいのかを、理解する。
「ありがとう、ビスタ」
お礼をいいながら、エグゼも後に続く。
ポツンと一人、アーニャが取り残された。
丁寧に作り上げられた、神代の建物は何千年経っても朽ちることが無い。
それどころか、年代を重ねる毎に深みを増していく。
それは美術に興味が無い者の心すらも虜にする魔力を秘めていた。
「久しぶりだね、ここも」
数年前。初めてツクヨミと契約を交わした時を思い出す。
その時は強大な魔法力があったため、迷宮も使わず街から一気に湖上のこの神殿へと侵入してしまったものだが。
その時はツクヨミにあきれられたものだ。
せっかく用意したクエストも全てすっ飛ばされていきなりクライマックスにきてしまったのだ。
その過程で苦悩する冒険者たちを見るのが楽しみだったのに、と怒られたものだ。
神殿の上の上。最上階にたどり着くと、そこには、麗美な祭壇があった。
その真ん中では、一人の少女が目を閉じ、祈りをささげている。
何のための祈りか。
「久しぶり」
今までとさして変わらない。いや、心持ちうれしそうな口調でエグゼは語りかける。
旧知の仲だ。気取る必要も無い。
「今回は、きちんとした手順ですのね」
丁寧な口調はしかし、皮肉が込められていた。
「来るとはおもっていたわ。久しいわね、エグゼ、サニー」
この聖域なら、サニーも姿を表すことが出来る。
「おひさしぶり~、ツクヨミちゃん」
間伸びた声のサニーに、張り詰めた空気がほぐされるのを感じた。
「……。とはいえ、『日の大精霊』の力を使うのは、ルール違反だわ」
せっかく合えた三人。喜びの再会もひとしおだが、それだけで済ますわけにも行かない。
「前回契約したときは、断りようが無いほどの魔法力をもっていたから契約したけど、今回はそうは行かないわ。」
エグゼを睨み「あなた自身の強さじゃない」
といった。
「でもぉ、ツクヨミちゃん」
言葉を紡ごうとしたサニーを、ツクヨミがさえぎる。
「確かに、大精霊と融合を果たせるは、エグゼの力の一つかも知れない。でも、今回の戦いはそんなに楽なものなの?」
厳しい口調のまま、ツクヨミは話し続ける。
「エグゼ。貴方自体が強くなくてどうするの? もし万が一ミハエルとやら私たち精霊を無力化する手立てを持っていたら、貴方になにが出来るの?」
前回、大精霊と契約をした時は、時勢は平和だった。
たまに起こるクーデターや、魔物の大量増殖くらいしか、騎士団の仕事は無かった。
しかし、今は戦争の只中である。敵の戦力も底知れない。
そんな中でもし、戦う力を奪われたなら。
前回エグゼがミハエルに敗れた原因はまさにそれである。
『黒いカーテン』に魔法力を封じられ、大精霊を召喚出来なくなったエグゼは、いとも簡単に造魔の前に敗れたのだ。
大精霊の力に甘えて、己を鍛えていなかったのだ。
「エグゼ。今のままでは、貴方と契約することは出来ないわ」
ツクヨミはそういうと、もう話すことはない、とでも言うようにお祈りへと戻る。
これ以上、エグゼにはどうすることも出来なかった。
ーー幕間2ーー
ミハエルは、造魔が持ち帰った白銀の鎧。
そこに残る残留思念。この鎧には特別な力があった。
この鎧には魂がある。その魂とは。
「ふふふ。素晴らしい! やっと見つけましたよ。これがあれば私の『神魔』はより完璧になるでしょう!」
造魔よりも強い『神魔』。
造魔は無より作られ、魂を持たずただの操り人形に過ぎない。
しかし『神魔』は違う。
特に強力な造魔と、特に魔法力の強い『女』との禁忌の交わりの末に生まれてきた邪法の命。
そしてミハエルの命に忠実なる配下。
その強さは負けはしたが、証明された。
初期型で、もっとも弱いヴィヴィアンが、それなりに戦えたのだ。
今いる『神魔』なら。
さらにこの鎧があれば!
「ははははははっ!次で王手です、エグゼ君、ソウマ君!」
「確かこの鎧の持ち主はエルフでしたね。」
ならば、ちょうどいいのは。
ミハエルは考える。
デビューは鮮烈のほうが良いだろう。
結局。ツクヨミと契約できないままに街まで戻って来たエグゼ一行は、メリクリウス本部で車座になっていた。
「というわけで、ツクヨミと契約することはできなかったよ」
残念そうにエグゼが語る。
「たしかに、大精霊と契約していない貴様など、者の数ではないからな」
魚でもないのに雑魚だ。だなど、よく訳のわからないことを言っている。
「でも、どうしよう?他の精霊と先に契約するしかないかな?」
今すぐに、エグゼの剣技が劇的に向上するわけも無く、ツクヨミと契約することは出来そうにない。
「ツクヨミ自体が剣の達人だからね」
『月の大精霊・ツクヨミ』
その力は、月の魔力を用いた回復。さらには月の剣技を召喚者に授けることである。
「だからこそ、僕自身が強くなくても、大精霊と契約してるだけで破格の強さが手に入れられてたんだ」
しかし、その剣技も召喚している時のみである。
ただ思考能力が早く、身体能力が優れていても、技を用いなければ、たいした脅威ではない。
隙が多く、大降りで雑である。
ゆえに技、というのは戦いの中で大きなアドバンテージとなる。
「せめて、僕に母さんの半分くらいの強さがあったらなぁ」
アーニャは思う。
エグゼの母とは。あの森で夢に見た。
「エルフの女の人?」
エグゼを拾い、その為にエルフの集落を追われエグゼを育てあげたエルフ。
「エグゼのお母さんは強かったの?」
なんとなく興味があって聞いてみた。
「あぁ。母さんはエルフなのに剣が得意で、昔は『剣聖』なんて呼ばれてたみたいだよ」
この世界でもっとも剣技に優れた最強と名高い伝説の存在。
そして、その歴史ある剣聖の中でも最強、謳われるエルフ。
「ま、まさか、『剣聖・ルーシア』様かっ!?」
と、ビスタが身を乗り出してエグゼにたずねる。
「そ、そうだよ。ルーシア。それが、僕を育ててくれた人の名前だ」
夢見る乙女のように潤んだ瞳で、両手を組み天を仰ぐビスタ。
「『万魔の太刀』を使いこなす、伝説の御仁!まさか行方不明になったあの方の消息をこんなところで知ることになろうとは!」
「私、初めて知ったけど、エグゼのお母さん、すごい人だったんだ?」
「この大陸では。一番の剣士だったみたいだよ」
苦笑しながら答えるエグゼ。その瞳には、寂しげな色が浮かんでいた。
「あ、あのお方は今どうしておられるのだ!?も、ももも、もし良かったら、サインとかっ!」
「死んだんだ」
「え?」
至極あっさりした答え。
時が止まる。
「し、死んだ?あの御仁が?」
ビスタは信じられないといった面持ちだ。
エルフとしてはまだ年若かったルーシア。寿命を迎えるのはまだ早いはず。
「ならば、殺された……?」
しかし、『剣聖』を殺せる者など、いるのだろうか。
「多勢に無勢。幼かった僕を庇いながらの戦いはさすがに無理だったんだ」
しばらく、辺りはしん、と静まり返った。沈黙が痛い。
「僕が」
とエグゼがつぶやく「僕がもっと強ければよかったんだ」
胸を締め付けるような独白。
だからこそ、大精霊と契約し、比類なき力を身に付けたのに。
「ぼくは2回とも護れなかったんだ」
2回とはいつといつなのか。
言うまでもない。
母を護れなかった。
国王を、姫を、仲間を、国を、護れなかった。
「だから、僕は」
すっと、音も無くビスタが立ち上がる。
「来い、エグゼ」
武器を取り、練兵場へと歩いていく。
それだけで、ビスタがなにを言いたいのかを、理解する。
「ありがとう、ビスタ」
お礼をいいながら、エグゼも後に続く。
ポツンと一人、アーニャが取り残された。
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