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第2章 剣聖の魂
第17話 大精霊と、新たな剣聖
『力を、見せてもらおうかしら?』
ツクヨミの元へやってきたエグゼ一行。
一歩進み出るエグゼの前には、ユニコーンよりも戦闘に長けた魔物が立っていた。
オルトロスとケルベロス。
地獄の門を護る兄弟の巨獣は、今まさにそのアギトをエグゼに向けていた。
『この短時間でどれだけ強くなれたのかは知らないけれど、引き換えした方がよくなくて?』
ツクヨミは自身満々だ、それはそうであろう。
魔物というよりは幻獣だ。一つの魔法も使えない人間の剣士が勝てるはずが無い。
「そうかな?」
対するエグゼは気負い無く、いつものやさしげな笑みを浮かべている。
『なら、存分に戦いなさい! 命だけは奪わないであげるわっ!』
ツクヨミの号令で、二匹の幻獣がエグゼに飛び掛る。
兄弟だけあって、二匹の息は完璧に合っている。巨体をまったく感じさせない動きに、統制の取れた波状攻撃。
普通の剣士なら、これで終わっていただろう。
しかし、エグゼは剣を抜くことなく、その攻撃をかわしていた。
それは今までのような、思考加速から来る身体能力の向上で避けていたものとは違い、確実に利にかなった歩法だった。
無駄が一切無い、流水の動き。
「ほう、あの動きが出来れば、あの二匹なんて目じゃないな」
端で見ていたソウマがつぶやく。
左手を失った体のバランスの崩れなど微塵も感じさせない洗練された動きに、ソウマもビスタも見入っていた。そして。
「『万魔の太刀・一式多段抜刀陰楼』!」
それは神速の抜刀術。しかも一撃ではない。
超高速の抜刀と、納刀。目にも留まらぬ速さでそれを連続して行うのだ。納刀時も攻撃と化している。
縦横無尽の抜刀術により、オルトロスとケルベロスは、無力化されてしまった。
『その技は『剣聖』の…!』
さすがのツクヨミも、驚愕の色を隠せない。
「これでどうだい?ツクヨミ?」
『あきれたわ。この短時間で、『剣聖』の技を習得してくるとは思いもよらなかったわ』
あきらめたようにツクヨミは、手を差し出す。
『では、契約に入りましょう』
ツクヨミの手を取った瞬間、エグゼの意識が途絶えた。
それは、一言で言うなら地獄だった。
(これがエグゼの心象世界…)
人間の心がどうすればここまで壊れるのだろうか。
しかし、心だけは、魂だけは偽ることはできない。
ならばこれは真実なのだろう。
その中にあって、二つだけ、きれいなままの思い出がある。
ツクヨミは、その思い出に触れる。
一つは、エグゼの幼きころ。
母との暮らしの中で、成長し、剣術を学び、森の動物たちと遊び、健やかに成長していく。
そんなある日、この森の神木である菩提樹の元で遊んでいたエグゼに、その精霊が話しかけたのだ。
その菩提樹の精霊は、名をリンダと言った。彼女は、エグゼの持つ不思議な魅力に惹かれ、興味を持ったのだ。
そして、エグゼはその出会いを切欠に、精霊を扱うすべを学んでいく。
風の精霊、水の精霊、草の精霊、花の精霊。
様々な精霊がエグゼと仲良くなっていった。
それをみて、母であるルーシアも大層驚いたものだ。
ルーシアはエルフにしては魔法はからきしだめで、それで剣の道に進んだのだから。
こうして精霊使いとしても成長を果たしたエグゼたちに、不幸が襲う。
ルーシアが抜けたエルフの森では、森を出たのもに厳罰を与える掟が有った。
それは剣聖であるルーシアにであっても例外ではなく、その追っ手がこの森にまで迫ってきていたのだ。
それを察知した森の精霊と魔物、ルーシアは全力をもって、その敵を排除に奔走した。
しかし、多勢に無勢。挙句にエグゼを人質に取られてしまい、ルーシアは手出しが出来なくなってしまった。
そして、エグゼの目の前で、母は。ルーシアは。
その首を落とされた。
その瞬間、エグゼの中で何かがはじけた。
エグゼは火の精霊を駆使し、敵もろとも森を焼き尽くしたのだ。
それはただの炎ではない。
絶望のそこに叩き落とされたエグゼは、地獄の炎を呼び出してしまったのだ。
森を嘗め尽くした地獄の業火は三日三晩燃え盛り、森一つを焼失させ収まった
ただの火事ではない。それはこの森に住む、全ての魂の消失に他ならなかった。
だからこそ、数年たって訪れたエグゼとアーニャが訪れたときでさえ、森はそのままだったのだ。
自分の愛していた人が、精霊が、魔物たちが。みな灰燼と化したのだ。
エグゼの未熟な精神力は暴走し、今回の事件を招いた。
余りにも強大すぎたのだ。エグゼの魔法力は。
人の身に有り余る魔法力と、精霊との親和性。
それがこの森の惨状だった。
しばらく、エグゼはこの森の残骸の中で過ごした。
そうしているうちに、見知らぬ団体がこの森に到着していた。
エルフたちではない。
エルフたちの清楚な装備と違い、遥かに豪華な部隊であった。
この小さくも深い森で、暴動があり、火事があったと報告を受けた、聖エルモワールの精鋭が事の仔細を調査するためにやってきたのだ。
「こんなところに人間が…?」
戸惑った様に、白馬から降りた少女がエグゼの前に立つ。
豪奢な兜でその顔は見ることは出来ないが、かなり若いのが声で分かる。
「あなた、名前は?」
少女は、自信が強力な魔法使いであるから、エグゼに途轍もない魔法力が備わっているのを看破していた。
「エグゼ。エグゼ・トライアド」
エグゼはなぜか会ったばかりのその少女に心を許していた。
少女は兜を脱いで、少年に手を差し出す。
「私の名は、ミスティライト・フォン・エルモワール。この大陸を統べる聖エルモワール国の第一王女よ」
そう名乗った少女は美しかった。
この大陸では珍しい、漆黒の髪に、深い黒の瞳。
そして、エグゼも同じく、これほど見事な黄金色は無いというほどの金の髪に、宝石のような青い瞳。
共に浮世離れした美貌を持つ二人だ。
お互いになぜかお互いの才能を見抜き、認め合ってきた。
「貴方は私の元に騎士として仕えなさい」
「僕が、ですか?」
出自も定かではない、孤児のエグゼをいきなり王女お抱えの騎士にしようと言うのだ。
驚かない方が無理だろう。
「大丈夫です。誰がなんと言おうと、あなたを私の騎士にします」
こうして、エグゼは騎士になったのだ。
一つ目の、篝火。
そして二つ目は、エグゼが騎士なった後の話。
異例の形で騎士になったエグゼは当然のごとくやっかみを受けた。
陰口、嘲笑、嫌がらせ。
しかし、エグゼはそれらを実力を持って排除していった。
そして、『大いなる精霊王』と契約をし『7大精霊』と契約し終えるころには、誰もエグゼに口出すことはできなくなっていた。
類まれなる魔法力。人とは思えないほどの精霊との親和性。そして弛まぬ努力。
こうしてソウマはわずか5年で10万を束ねる魔法騎士団長になっただ。
『そう、私たちがエグゼと出会ったのも、この頃だった…』
ツクヨミは懐かしく思い出す。
しかし、2年前のあの悲劇。
魔法力をなくしたエグゼに、精霊が召喚できるはずも無く、サニー、ツクヨミたちは何の役にも立てぬまま、精霊界に帰るしかなかったのだ。
『あの時の無力感ったら無かったわ』
呼び出され、使役されてる精霊にとって、召喚者の役に立つことこそが至上の喜びなのに。
主の一大事に何も出来なかったのだ。
その悔しさは、精霊として悠久のときをすごしたツクヨミにとっても、初めてで、身を引き裂かれる程の出来事だった。
だからこそ誓う。
『今度は、この魂の存在にかけて、貴方を護ります、エグゼ』
そして、エグゼの魂に触れる。
今度こそ、その身を離すことのないように…。
目を覚ましたエグゼは、ベッドに寝かせられたいた。
『私のこっ恥ずかしい誓いはこの玉に入ることだったのね』
新たな精霊玉にはツクヨミがキチンと宿っていた。
『おひさしぶりぃ、ツクヨミちゃん』
のんびりと挨拶をするサニー。
久々にそろった二人だ積もる話しも…。
『あんたと話してると疲れるからいやよ』
無いらしい。
『そんなこといわないでぇ』
喧々囂々。
姦しい二柱をよそに、鎧を着込み、剣を手にしたエグゼは練兵場にと足を向けた。
そこでは、ソウマとビスタが訓練に勤しんでいた。
「まだまだ隙だらけだぞ!」
「くっ、本当に貴様は化け物だな!私だって、思考能力も身体能力も、槍技も格段に上がっているのに!」
エグゼと契約し、日の大精霊と月の大精霊と2柱の力を少しではあるが使えるようになっているビスタ。
エグゼが得られる大精霊の加護に比べれば、十分の一にも満たないが、それでも、今までとは比べ物にならないくらいの力があふれてきているのだ。
それでもソウマには及ばない。
「ユーノとの融合合身もいい感じになってきたぞ!」
ソウマはソウマで、ユーノとの融合を試しているみたいだ。
しかし、エグゼはそう簡単に新しい精霊との融合を試すわけにはいかない。
前回の戦いで、サニーの力を限界まで引き出した結果が、左腕の喪失。
肘から先を失ったのだ。
いや、逆にその程度で済んでよかったと思うべきなのかもしれない。
「ツクヨミの持つ、『月輪の太刀』と剣聖の扱う『万魔の太刀』をどうあわせるか試してみたかったけど」
それは実践でおいおいやっていくしか無そうだ。
ともあれ。
ひと段落着いたのかな。
体の芯には未だに重く、疲れが残っている。
しかし、まだ大精霊2柱しか契約できていないのだ。
まだ5柱+精霊王が残っている。
そして、敵も『クロス・クルセイド』はだいぶ弱体化させたが、『トール・ド・ルート』と王政グランベルトと2強が残っている。
まだまだ気を抜ける情勢では無いのだ。
「次は確か、霊峰エクレアだったなツクヨミから東、ヤマト平原を越えた先にあるんだったね」 一人、頭の中の地図を思い浮かべる。
そこには『火の精霊・フィアナ』がいるはずだ。
しかしパーティーはどうなるのだろう。
そこも話し合わないと。
「おーい、エグゼ!そんなところでにやってるんだ?」
ソウマが声をかけてきた。
「どうだ、お前も汗をかかないか?」
傍らでは、ビスタが大の字になって転がっている。
「ば、ばけものめ…」
ぜいぜいと肩で息しているビスタとは対照的に、ぴんぴんしているソウマ。
元気が有り余っているのだろう。
「しかたない!」
見晴らし台から、一気に練兵場まで飛び降りると、剣を手に、エグゼはソウマに相対するのであった。
未だに戦乱は続いている。
多大な犠牲も出してしまった。
だからこそ、エグゼたちは前へと進み、必ずやこの大陸を救わなくてはいけないのだ。
ツクヨミの元へやってきたエグゼ一行。
一歩進み出るエグゼの前には、ユニコーンよりも戦闘に長けた魔物が立っていた。
オルトロスとケルベロス。
地獄の門を護る兄弟の巨獣は、今まさにそのアギトをエグゼに向けていた。
『この短時間でどれだけ強くなれたのかは知らないけれど、引き換えした方がよくなくて?』
ツクヨミは自身満々だ、それはそうであろう。
魔物というよりは幻獣だ。一つの魔法も使えない人間の剣士が勝てるはずが無い。
「そうかな?」
対するエグゼは気負い無く、いつものやさしげな笑みを浮かべている。
『なら、存分に戦いなさい! 命だけは奪わないであげるわっ!』
ツクヨミの号令で、二匹の幻獣がエグゼに飛び掛る。
兄弟だけあって、二匹の息は完璧に合っている。巨体をまったく感じさせない動きに、統制の取れた波状攻撃。
普通の剣士なら、これで終わっていただろう。
しかし、エグゼは剣を抜くことなく、その攻撃をかわしていた。
それは今までのような、思考加速から来る身体能力の向上で避けていたものとは違い、確実に利にかなった歩法だった。
無駄が一切無い、流水の動き。
「ほう、あの動きが出来れば、あの二匹なんて目じゃないな」
端で見ていたソウマがつぶやく。
左手を失った体のバランスの崩れなど微塵も感じさせない洗練された動きに、ソウマもビスタも見入っていた。そして。
「『万魔の太刀・一式多段抜刀陰楼』!」
それは神速の抜刀術。しかも一撃ではない。
超高速の抜刀と、納刀。目にも留まらぬ速さでそれを連続して行うのだ。納刀時も攻撃と化している。
縦横無尽の抜刀術により、オルトロスとケルベロスは、無力化されてしまった。
『その技は『剣聖』の…!』
さすがのツクヨミも、驚愕の色を隠せない。
「これでどうだい?ツクヨミ?」
『あきれたわ。この短時間で、『剣聖』の技を習得してくるとは思いもよらなかったわ』
あきらめたようにツクヨミは、手を差し出す。
『では、契約に入りましょう』
ツクヨミの手を取った瞬間、エグゼの意識が途絶えた。
それは、一言で言うなら地獄だった。
(これがエグゼの心象世界…)
人間の心がどうすればここまで壊れるのだろうか。
しかし、心だけは、魂だけは偽ることはできない。
ならばこれは真実なのだろう。
その中にあって、二つだけ、きれいなままの思い出がある。
ツクヨミは、その思い出に触れる。
一つは、エグゼの幼きころ。
母との暮らしの中で、成長し、剣術を学び、森の動物たちと遊び、健やかに成長していく。
そんなある日、この森の神木である菩提樹の元で遊んでいたエグゼに、その精霊が話しかけたのだ。
その菩提樹の精霊は、名をリンダと言った。彼女は、エグゼの持つ不思議な魅力に惹かれ、興味を持ったのだ。
そして、エグゼはその出会いを切欠に、精霊を扱うすべを学んでいく。
風の精霊、水の精霊、草の精霊、花の精霊。
様々な精霊がエグゼと仲良くなっていった。
それをみて、母であるルーシアも大層驚いたものだ。
ルーシアはエルフにしては魔法はからきしだめで、それで剣の道に進んだのだから。
こうして精霊使いとしても成長を果たしたエグゼたちに、不幸が襲う。
ルーシアが抜けたエルフの森では、森を出たのもに厳罰を与える掟が有った。
それは剣聖であるルーシアにであっても例外ではなく、その追っ手がこの森にまで迫ってきていたのだ。
それを察知した森の精霊と魔物、ルーシアは全力をもって、その敵を排除に奔走した。
しかし、多勢に無勢。挙句にエグゼを人質に取られてしまい、ルーシアは手出しが出来なくなってしまった。
そして、エグゼの目の前で、母は。ルーシアは。
その首を落とされた。
その瞬間、エグゼの中で何かがはじけた。
エグゼは火の精霊を駆使し、敵もろとも森を焼き尽くしたのだ。
それはただの炎ではない。
絶望のそこに叩き落とされたエグゼは、地獄の炎を呼び出してしまったのだ。
森を嘗め尽くした地獄の業火は三日三晩燃え盛り、森一つを焼失させ収まった
ただの火事ではない。それはこの森に住む、全ての魂の消失に他ならなかった。
だからこそ、数年たって訪れたエグゼとアーニャが訪れたときでさえ、森はそのままだったのだ。
自分の愛していた人が、精霊が、魔物たちが。みな灰燼と化したのだ。
エグゼの未熟な精神力は暴走し、今回の事件を招いた。
余りにも強大すぎたのだ。エグゼの魔法力は。
人の身に有り余る魔法力と、精霊との親和性。
それがこの森の惨状だった。
しばらく、エグゼはこの森の残骸の中で過ごした。
そうしているうちに、見知らぬ団体がこの森に到着していた。
エルフたちではない。
エルフたちの清楚な装備と違い、遥かに豪華な部隊であった。
この小さくも深い森で、暴動があり、火事があったと報告を受けた、聖エルモワールの精鋭が事の仔細を調査するためにやってきたのだ。
「こんなところに人間が…?」
戸惑った様に、白馬から降りた少女がエグゼの前に立つ。
豪奢な兜でその顔は見ることは出来ないが、かなり若いのが声で分かる。
「あなた、名前は?」
少女は、自信が強力な魔法使いであるから、エグゼに途轍もない魔法力が備わっているのを看破していた。
「エグゼ。エグゼ・トライアド」
エグゼはなぜか会ったばかりのその少女に心を許していた。
少女は兜を脱いで、少年に手を差し出す。
「私の名は、ミスティライト・フォン・エルモワール。この大陸を統べる聖エルモワール国の第一王女よ」
そう名乗った少女は美しかった。
この大陸では珍しい、漆黒の髪に、深い黒の瞳。
そして、エグゼも同じく、これほど見事な黄金色は無いというほどの金の髪に、宝石のような青い瞳。
共に浮世離れした美貌を持つ二人だ。
お互いになぜかお互いの才能を見抜き、認め合ってきた。
「貴方は私の元に騎士として仕えなさい」
「僕が、ですか?」
出自も定かではない、孤児のエグゼをいきなり王女お抱えの騎士にしようと言うのだ。
驚かない方が無理だろう。
「大丈夫です。誰がなんと言おうと、あなたを私の騎士にします」
こうして、エグゼは騎士になったのだ。
一つ目の、篝火。
そして二つ目は、エグゼが騎士なった後の話。
異例の形で騎士になったエグゼは当然のごとくやっかみを受けた。
陰口、嘲笑、嫌がらせ。
しかし、エグゼはそれらを実力を持って排除していった。
そして、『大いなる精霊王』と契約をし『7大精霊』と契約し終えるころには、誰もエグゼに口出すことはできなくなっていた。
類まれなる魔法力。人とは思えないほどの精霊との親和性。そして弛まぬ努力。
こうしてソウマはわずか5年で10万を束ねる魔法騎士団長になっただ。
『そう、私たちがエグゼと出会ったのも、この頃だった…』
ツクヨミは懐かしく思い出す。
しかし、2年前のあの悲劇。
魔法力をなくしたエグゼに、精霊が召喚できるはずも無く、サニー、ツクヨミたちは何の役にも立てぬまま、精霊界に帰るしかなかったのだ。
『あの時の無力感ったら無かったわ』
呼び出され、使役されてる精霊にとって、召喚者の役に立つことこそが至上の喜びなのに。
主の一大事に何も出来なかったのだ。
その悔しさは、精霊として悠久のときをすごしたツクヨミにとっても、初めてで、身を引き裂かれる程の出来事だった。
だからこそ誓う。
『今度は、この魂の存在にかけて、貴方を護ります、エグゼ』
そして、エグゼの魂に触れる。
今度こそ、その身を離すことのないように…。
目を覚ましたエグゼは、ベッドに寝かせられたいた。
『私のこっ恥ずかしい誓いはこの玉に入ることだったのね』
新たな精霊玉にはツクヨミがキチンと宿っていた。
『おひさしぶりぃ、ツクヨミちゃん』
のんびりと挨拶をするサニー。
久々にそろった二人だ積もる話しも…。
『あんたと話してると疲れるからいやよ』
無いらしい。
『そんなこといわないでぇ』
喧々囂々。
姦しい二柱をよそに、鎧を着込み、剣を手にしたエグゼは練兵場にと足を向けた。
そこでは、ソウマとビスタが訓練に勤しんでいた。
「まだまだ隙だらけだぞ!」
「くっ、本当に貴様は化け物だな!私だって、思考能力も身体能力も、槍技も格段に上がっているのに!」
エグゼと契約し、日の大精霊と月の大精霊と2柱の力を少しではあるが使えるようになっているビスタ。
エグゼが得られる大精霊の加護に比べれば、十分の一にも満たないが、それでも、今までとは比べ物にならないくらいの力があふれてきているのだ。
それでもソウマには及ばない。
「ユーノとの融合合身もいい感じになってきたぞ!」
ソウマはソウマで、ユーノとの融合を試しているみたいだ。
しかし、エグゼはそう簡単に新しい精霊との融合を試すわけにはいかない。
前回の戦いで、サニーの力を限界まで引き出した結果が、左腕の喪失。
肘から先を失ったのだ。
いや、逆にその程度で済んでよかったと思うべきなのかもしれない。
「ツクヨミの持つ、『月輪の太刀』と剣聖の扱う『万魔の太刀』をどうあわせるか試してみたかったけど」
それは実践でおいおいやっていくしか無そうだ。
ともあれ。
ひと段落着いたのかな。
体の芯には未だに重く、疲れが残っている。
しかし、まだ大精霊2柱しか契約できていないのだ。
まだ5柱+精霊王が残っている。
そして、敵も『クロス・クルセイド』はだいぶ弱体化させたが、『トール・ド・ルート』と王政グランベルトと2強が残っている。
まだまだ気を抜ける情勢では無いのだ。
「次は確か、霊峰エクレアだったなツクヨミから東、ヤマト平原を越えた先にあるんだったね」 一人、頭の中の地図を思い浮かべる。
そこには『火の精霊・フィアナ』がいるはずだ。
しかしパーティーはどうなるのだろう。
そこも話し合わないと。
「おーい、エグゼ!そんなところでにやってるんだ?」
ソウマが声をかけてきた。
「どうだ、お前も汗をかかないか?」
傍らでは、ビスタが大の字になって転がっている。
「ば、ばけものめ…」
ぜいぜいと肩で息しているビスタとは対照的に、ぴんぴんしているソウマ。
元気が有り余っているのだろう。
「しかたない!」
見晴らし台から、一気に練兵場まで飛び降りると、剣を手に、エグゼはソウマに相対するのであった。
未だに戦乱は続いている。
多大な犠牲も出してしまった。
だからこそ、エグゼたちは前へと進み、必ずやこの大陸を救わなくてはいけないのだ。
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アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?