人外娘と真面目にファンタジーしちゃう本

葛葉幸一

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第3章 古の創造竜

第9話 エンシェント・ドラゴン

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「ふむ、杞憂だったようだな」
 人質を村に送り届けたビスタがつぶやく。


 悪しき気が無くなり、暗雲は祓われた。
「彼らは僕らが思っている以上に成長しいたね」
 エグゼも同意する。


 そして村は、英雄たちを迎える。
 この村が、『メリクリウス』の傘下加わった日でもあった。

「はぁ、しかし、ソウマは一人でこんなことしてたのかぁ」
 机に突っ伏して、ビスタがゴチる。
「戦いの後は事務的な事が多くなるからね」


 この村は、交通が回復すれば、霊峰エクレアの麓、ラーズとツクヨミを結ぶ有益な宿場町になる。
 ひとまず、街道の周辺の警備を増やして害のある魔物を排除し、安全を確保。


 同時に食糧支援を行い、土地を耕し農耕で地産地消を進める。
    さらには街道の整備と安全確保。
 それまでは、『メリクリウス』の方が支援するという、破格の条件だ。


「そこまでしていただけるとは……」
 と村長さんも感涙していた。
「とにかく、ここに残り指揮をとるメンバーと、ツクヨミからの兵の派遣を行わないとね」


 この村には、ダビデとセスタスが残り、10名程度の兵が派遣され、街道の治安秩序を守るというかたちで落ち着いた。


 そして翌日。 
 霊峰エクレアに向けて、のこりのメンバーは出発したのである。




「ここが『武器不能地帯』か…」
「うぅ、なんか気持ち悪い…」
 磁場の乱れがあるのだろうか、ティアラが体調不良を訴える。


 妖精であるティアラは、人間より自然に近いティアラだ。何かしら感じるところがあるのだろう。
「なんか、ここは大地が死んでるみたい」


 しかし、どういうことだろう。
 モンスターとも、野生動物とも遭遇することが無い。
 なぜか武器が使いえないこのあたりの地域は、野生動物の宝庫だと聞いたのだが。


 砂をまとった強風が吹きすさぶ。
「確か、この先にある鉱山で取れるとのことだったが…」
 魔水晶の採掘現場。そこに例の魔物とやらもいるのだという。


「鬼が出るか、蛇がでるか」
「どっちもでて欲しくないよ~」
 ふらふらになったティアラはソウマの背嚢の中でぐったりとしてる。


「でも、逆に鬼(オーガ)とか大蛇とかの方が、楽かもしれないよ?」
 ユーノが不吉なことをいう。
「しかし、この雰囲気だと、何が住んでてもおかしくはないな」


 方向を確かめ少し進むと、山の陰が見えてくる。
 そして、麓までたどり着くと、採掘現場がすぐに見えた。


「この山自体が、魔水晶でてきてるような感じだな」
 穴を掘り、採掘をすると言うよりは、山そのものを削っているという感じだ。
『何者だ…』


 遥か頭上で声がする。
 頭上から舞い降りてくる巨大な影。
「どっちかって言うと蛇の類だったな」
 飛んできたのは、ドラゴンだった。


『我を蛇扱いとは……』
 影は少しずつこちらに近づいてくる。
「ん?なんか」
 砂煙で最初は大きく見えていたが、近づいてくると……。


『我を敬え!我は偉大なるエンシェントドラゴンなるぞ!』
「……」
「……」
「……」


 エンシェント・ドラゴン。
 はるか昔、まだこの星が星ではなく、宇宙の塵であったころ。
 神と精霊王とエンシェント・ドラゴンの3柱が協議して、この星を作りあげたという。


 それは伝説というよりは神話だ。
 その神話の内容の真偽は定かではないが、霊峰エクレアには、エンシェント・ドラゴンが住んでいるとされていた。


 しかし、目の前にいるのは、どう見ても小さな竜。
 本人、いや、本竜曰く、エンシェント・ドラゴンの子供らしいが……。


 強大な力をもち、世界を見渡すほどの知恵を持つ。すべての生物の頂点に立つ言われる、創世からの魔物である。
 こんなドラゴンがいたんじゃ、ここら辺の魔物もいなくなるは当然である。


 子供とはいえ、ドラゴンである。
 並大抵なモンスターでは勝てないのは道理である。
「我が古よりこの世を支配する偉大なる竜種である!」


「お手」
「がう!って、何させるのじゃ!!」
「いや、どう見ても……」
 大型犬程度の大きさしかない。


「うぅぅぅぅ~~」
 いかん、なきそうになっている。
「わ、我は、我はぁ。ぐすっ」
「ご、ごめん、そうだな!偉大なドラゴンだもんな!」
 エグゼがドラゴンを抱き上げる。


「えらい、えらい!」
「そうじゃ、我は偉いのじゃ!」
 高い高いをされてきゃっきゃっとはしゃぐドラゴン。
 これでいいのか、ドラゴン。


「んで、おまえさんはここでなにをしてたんだ?」
「実は、我らの集落が襲われたのだ…」
 竜が住まうは霊峰エクレアが山頂。
 そこで普段は過ごしている。


 しかし、人間の環境破壊や、増えすぎた種族が少数部族を駆逐しようとすると、この世界の秩序や理を守るために、人間界に降りてくるのだ。
 「ミハエルという男の飼うドラゴンに……」


 造魔か神魔。
 ミハエルが従えし、屈強にして、従順な魂無き兵隊。
「まさか、ドラゴンまで作りだしていたとは」


 ソウマがつぶやく。
「それで、父上は、そのドラゴンに……」
「まさか、やられたのか!?」
 創生の魔物、エンシェント・ドラゴン。


 それを倒すことなど、ソウマやエグゼにだって……。
 できやしない。
「そこまで強いモンスターが、ミハエル側にはいるのか…?」


「それで、父上は我をここまで逃がしてくれたのじゃ。あとで迎えにくるから、といって」
 しかし、その迎えはまだ来ていないようである。


「我は心配なのじゃ!でも、我だけでは、助けに行けぬのだ……」
 霊峰エクレア。
「どうやら、道は一本につながったな」


 エグゼたちも霊峰エクレアに向かっているはずだ。
「急ぎ、報告をして、霊峰エクレアに向かう! ついてくるか?」
「もちろんなのじゃ!」


 ソウマは、ティアラに伝令をたのむ。
「ユーノはついてきてくれ」
「もちろん!」
 こうして、ソウマたちも霊峰エクレア、まずは麓のラーズへと目指すのだった。
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