人外娘と真面目にファンタジーしちゃう本

葛葉幸一

文字の大きさ
44 / 68
第3章 古の創造竜

第10話 霊峰エクレアへ

 大陸中央に位置するラーズは、交易としても重要な拠点である。
 これより東に大きな街は『トール・ド・ルート』の本拠地である、ギアナと『王政グランベルト』が治めるグランベルトしかない。


 そして、南には武器不能地帯を抱えているため、商人や旅人などは、この街を通らないとこれより西にはいけない。
 そして何より、霊峰エクレアから取れる鉱石『ラルファリオン』の存在がおおきい。


 『ラルファリオン』は粘性金属と呼ばれている。
 硬さは、ダイヤモンド以上で、オルファリコンと同等の硬度を誇り、ながら、とてもしなやかな金属である。


 折れず曲がらず、砕けず、割れない。
 そして、意志を持てば、魔法力を通しやすく、意志が無ければ魔法力は一切通らない。
 まるで自分の意志でもあるかのような金属である。


「この金属を手に入れられるかどうかが、この戦いに大きく影響する」
 鍛冶師のたたらか頼まれたのは、そんな鉱石だった。
 しかし、ここ数年採掘量が激減している。


 そのため、採掘現場を上へ上へと移しているのだ。
 しかし、その先は。


「ドラゴンの守る、『火の大精霊・フィアナ』の聖域。」
 こうして、ラルファリオンは希少価値をどんどんと高めているのだ。





「だめだ、店のオルファリオンは、とても手が出せる値段じゃないな」
 買い物から帰ってきたビスタが報告をする。


「やっぱりか」
『ラルファリオン』はこの山でも高所にしかない希少金属で、ドラゴンに守られた聖域でもある。


 その採掘量が少ないのは分かりきっていたことだった。
「仕方ない、山に登るしかないか」
 こうして霊峰エクレアへの登山が決定した。




 霊峰エクレアへの登山は、かなり険しいものとなる。
 その前の準備と共に、エグゼたちはこの街の会長に会いに行くことにする。


 あわよくばこの街も配下に置き、ラルファリオンが一定量こちらに流通することが出来れば、かなりの戦力増強につながる。
「私が会長のリリシアです」
 以外にも、村長はハーピーの女性だった。


「お母さん!?」
 ハピナが素っ頓狂な声を上げる。
「あら、ハピナ。あなた、こんなところで何しているのです?」


「私は今『メリクリウス』で、部隊長っす!」
 普段は人見知りもせず、誰にでも優しいハピナがプイ、とそっぽを向く。


 なにやら確執がありそうだ。
「まぁ、いいでしょう。こちらも霊峰エクレアで、困った事態に陥っていまして…」
 リリシアが話を始める。

 
ドラゴン住まう霊峰エクレア。
 また、大精霊の住まう聖域。
 そして、稀少金属ラルファリオンの採れる、まさに霊峰だ。
 

    しかし、最近ドラゴンの姿を見ることがなくなったという。
「今までは採掘にあたり、ドラゴンが炭鉱夫を監視していることも、めずらしくはありませんでした」


 ドラゴンの巣、または聖域に炭鉱夫が入り込まぬよう、その監視の目が常にあった。
 しかし、ここ数ヶ月、そのドラゴンが見当たらなくなってしまったという。


 それと同時に、いままで見たことの無い魔物が炭鉱夫を襲うようになったのだ。
「見たことも無い魔物…」
 それは造魔か。


「そして、この書状が送られてきました」
 そういって差し出した手紙は、『王政グランベルト』のミハエルからのものだった。


「ようはこの霊峰を明け渡さなければ、この街を無理やり襲い配下にくわえる、というものです」
 それはミハエルからの脅迫状だ。


「私達は、ドラゴンと炭鉱夫と、霊峰に住まうモンスターたちの楽園でありこの町の安寧です」
 炭鉱で働くものは人間、ドワーフ、ホビットなど、たくさんの種類がいる。


 そして、この山を住処にしているモンスターもたくさんいるのだ。
 会長、ハピナもこの山を住みかにしてきた魔物だ。


「なので、わたし達は中立を守ってきていました」
 人間の国家を作ろうとする『クロス・クルセイド』
 魔物の国家を作ろうとする『トール・ド・ルート』


 この国を恐怖で支配しようとする『王政グランベルト』
 それゆえに、どこにも属さずにいたのだ。
 ドラゴンが住まうゆえに、攻め込まれることも無かった。


 しかし。
「ドラゴンは居なくなり、グランベルトに脅されたいま、私達に抗う術はありません」
 そして、今回の『メリクリウス』の話。


「私達としては、魔物と人間の共存を目指す『メリクリウス』には、ぜひ協力したいところです」
 が。とリリシアは言う「が、我々をしっかり守れるかどうか。それを確認させてください」


 それが答えだ。
「そのためなら、霊峰エクレアに入ることも許しましょう」


「分かりました。必ずやご期待に添えられるよう、努力いたします」
 エグゼが丁寧にお辞儀をする。
「お母さん…」


 少し名残惜しそうにハピナがつぶやいた。
「さて、これで後顧の憂いはなくなったね」
 登山口まで来てから、エグゼはつぶやく。


 何かあったときのために、パーティも二分してある。
 山に登るのは、エグゼとハピナと、ドワーフのダイモス。


 街に残るのは、ビスタとココロとジェイク。
 この街がミハエル率いる造魔に襲われるとも限らない。
「頼んだよ、ビスタ」
「あぁ、任せろ」


感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ねえ、今どんな気持ち?

かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた 彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。 でも、あなたは真実を知らないみたいね ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

「お前を愛する事はない」を信じたので

あんど もあ
ファンタジー
「お前を愛することは無い。お前も私を愛するな。私からの愛を求めるな」 お互いの利益のために三年間の契約結婚をしたアヴェリンとロデリック。楽しく三年を過ごしたアヴェリンは屋敷を出ていこうとするのだが……。

はじめまして、私の知らない婚約者様

有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。 見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。 けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。 ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。 けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。 この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。 悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに? ※他サイトにも掲載しています。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

神に逆らった人間が生きていける訳ないだろう?大地も空気も神の意のままだぞ?<聖女は神の愛し子>

ラララキヲ
ファンタジー
 フライアルド聖国は『聖女に護られた国』だ。『神が自分の愛し子の為に作った』のがこの国がある大地(島)である為に、聖女は王族よりも大切に扱われてきた。  それに不満を持ったのが当然『王侯貴族』だった。  彼らは遂に神に盾突き「人の尊厳を守る為に!」と神の信者たちを追い出そうとした。去らねば罪人として捕まえると言って。  そしてフライアルド聖国の歴史は動く。  『神の作り出した世界』で馬鹿な人間は現実を知る……  神「プンスコ(`3´)」 !!注!! この話に出てくる“神”は実態の無い超常的な存在です。万能神、創造神の部類です。刃物で刺したら死ぬ様な“自称神”ではありません。人間が神を名乗ってる様な謎の宗教の話ではありませんし、そんな口先だけの神(笑)を容認するものでもありませんので誤解無きよう宜しくお願いします。!!注!! ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇ご都合展開。矛盾もあるかも。 ◇ちょっと【恋愛】もあるよ! ◇なろうにも上げてます。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。