人外娘と真面目にファンタジーしちゃう本

葛葉幸一

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第3章 古の創造竜

第18話 決着

 古より、この大陸を見守りし、伝説の竜、エンシェントドラゴン。
 強固な鱗はいかなる剣をも通さず。
 強力な爪はどのような金属も容易く引き裂き。
 ひとたびブレスを吐けば国が滅びる。


 伝説の、竜。
 しかし実在する伝説だ。
 今まさに、眼前に。
『おろかな人間よ。我を敵に回して勝てるとでも思っているのか?』
 大地を震わすような威圧的な声。


「エンシェントドラゴン。神魔に取り込まれた哀れな魂を、僕が救ってあげるよ」
 剣を構える二人の剣士。
 片やラルファリオンで作られた『古代竜の剣』
 片や精霊石とラルファリオンで作られた『大いなる精霊王の剣』


 どちらも伝説となりうる剣である。
 静寂があたりを包む。
 二人の側には、誰もいない。
 下手近づけば巻き込まれるからだ。


 一瞬。
 風が吹いた。
 その時。
 動いた。
 暴雨風のように剣戟が飛び交う。


 誰がこの攻防を見て、何が行われているか理解できるであろうか。
 互いの切っ先を紙一重でかわし。
 時には剣でいなし、態勢を崩しても、どんな態勢からでも、確実に急所を狙う。


 一撃がまさに必殺。
 しかしあたらない。
 徐々に差が付くとすれば、それは技か。
 驚異的な動体視力と反射神経でエグゼの攻撃を捌くドラゴン。
 対して、的確な体捌きと、予知の如き先読みでドラゴンの攻撃を捌き反撃をするエグゼ。


 エグゼの魂に息づいた技は、少しずつドラゴンを圧倒していく。
 その攻撃力。
 ドラゴンの圧倒的な攻撃力に、エグゼも負けてはいなかった。


 鍔迫り合いになっても力負けしていないのだ。
『まさか、貴様、『火の大精霊・フィアナ』とっ!?』
 『火の大精霊・フィアナ』


 その特性は、召喚主に強大な火の魔法と、どんな者にも負けない攻撃力を授けるという。
 魔法の使えない今、火の恩恵を受けることは出来ないが、攻撃力アップは確かに授かった。


 そしてその攻撃力は、エンシェントドラゴンにも匹敵するものだった。
 そして同時にフィアナから授かった『絶後のマント』は、ドラゴンのどんなブレスをも防ぐといわれている。


 もちろんブレスだけではなく、魔法をも遮断することが出来る。
 一瞬の隙を突きエグゼの剣が、エンシェントドラゴンの腕を切り飛ばす。
 しかし、相手はスライムのボディも兼ね備えているのである。


「一つ分かったことがある。たしかに魔法は使えないが…」
 『大いなる精霊王の剣』が炎を纏う。
「精霊の特性だけは、この剣に宿すことが出来るんだ」
 たとえば『月の大精霊・ツクヨミ』


 剣技を授けるほか、大いなる月の魔力で、傷を癒すことが出来る。
 しかし、他人に『魔法』としてその力を使うことは出来ないが、剣にその力を宿し、自身の傷を回復することは出来るのだ。


「この大いなる炎の恩恵を受けたこの剣なら」
 スライムを燃やし尽くすことだって。
 出来る。


「もう、貴方は偉大なるエンシェントドラゴンではない」
 狼狽したドラゴンなど、者の数ではなく。
「『万魔の太刀・零式抜刀術、乱魔炎舞』!!」


 炎を纏った竜巻が、ドラゴンを切り裂き燃やし尽くしていく。
「この私が……、この程度の炎でやられるとおもったかっ!?」


 白熱の炎の中、それでもエンシェント・ドラゴンは攻撃を仕掛けてくる。
「馬鹿な!?」
 それは最後の力を振り絞った、捨て身の攻撃。
「エグゼ、どくのじゃ!!」


 その声にエグゼが飛びのくと、エンシェント・ドラゴンにへ更な炎が降り注ぐ。
 エンシェント・ドラゴンの娘、ミク・ドランシェ。
「父上、観念するのじゃ!」
 子供とはいえ、エンシェント・ドラゴンの血を引くミクの炎。


 それは確かに致命的であった。
「まだ、だ……。」
 骨と化しながらもそれでも、猛攻をやめないエンシェント・ドラゴン。


(旦那、今です!)
 頭の中に響いたのは、ダイモスの声。
 ここに来る道すがら、ダイモスから授かった、最後のアイテム。
「これでも、食らえ!!」
 アイテム調合師。


 その中でも大陸屈指の腕前を持つダイモスの最後の作品。
 それは。


 超小規模異空間転移爆弾。
 対象物に触れることにより、その爆弾内部に『混沌』の力が酸素に触れることに急激に膨張する。
 混沌は、ほかの物質に触れると急激に膨張するが、ある程度膨張すると、今度は収縮を始めるのである。


 そして、大気中の他元素を巻き込み、混沌は対消滅し無になろうとする性質を持つ。
 それを応用した爆弾であった。 
 その一撃は、古の竜を飲み込み、無へと返っていった。


 偉大なアイテム調合師の見事な一撃は、伝説であるエンシェント・ドラゴンに確か届きえた。
「父上……」
 大いなる神代の竜の遺児、ミク・ドランシェ。


「父上の意志は、私が継ぎます」
 しかし、この戦乱が収まったわけではない。
 エグゼは戦場を駆け、残党を始末する。
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