人外娘と真面目にファンタジーしちゃう本

葛葉幸一

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第3章 古の創造竜

第20話 戦いの果て

「ソウマの容体はどうだい?」
「おう、エグゼ!わざわざ悪いな」
 エグゼが医務室に足を運ぶ。


「あまりいいとは言えんのぉ」
 そばにいるのは、エンシェント・ドラゴン娘のミクだ。
 いくら子供とはいえ、小さい頃から父であるエンシェントドラゴンに沢山のことを教わってきた。


 その知識は、そこらの町医者よりも優れている。
「なに、俺はピンピンしてるぞ」
 ベッドから起き上がってみせるソウマ。


 見た目的にはなんの外傷もないが。
「馬鹿を言うでない!貴様の傷は肉体ではなく魂についた傷だ!」
 そう、身体的な怪我はもう治っている。


 この数日で治る方がおかしいのだが、それを置いといても、ソウマの魂の傷は致命的であった。
 魂の傷は魔法が使えない今、時間経過でしか癒えないのだ。


「身体が鈍ってしかたねぇよ」
 ブーブーといいながら、エグゼの持ってきた料理に手をつける。
 魂というのは、この世に存在するための力だ。


 もしそれが傷付き、破壊されたなら、その魂は無となりこの世の輪廻から外れてしまう。
 そう言い伝えられていた。
 昔話の類で、信憑性はわからないが、聖エルモワール1世が、苛烈な戦いの中で、そのようにして亡くなったとか。


 ソウマにしても、何気ない顔をしているがその激痛はそれだけでショック死を起こしてもおかしくないほどである。
 現に昨夜は激痛にその体を悶えさせ、血反吐を吐いていたのだ。


 今はそれを強靭な精神力で押さえ込んでいるだけに過ぎない。
「まぁ、今は殆どが事務作業や街の復興作業ばかりだから、当面は休んでてよ」
先の大戦では、メリクリウスの被害は最小限に保たれたと言っていいだろう。


 霊峰エクレアに住むドラゴンやハーピー、ドワーフなどが力を貸してくれたのだ。
 また、アーニャの連れてきてくれた兵達も、しばらくは街の復興に尽力してくれている。


 エグゼは思う。
(仲間、か。もう2度と、とそう思っといたのに)
 2年前のあの日から生き延びて、復讐を誓ったその日から、一人で戦うと決めていたのに。


 自分が弱いから、仲間が必要なのか。
 自分が強いから、仲間ができたのか。
 おそらく両方であろう。


「なぁ、エグゼ」
 ソウマが声を掛ける。
「ん?なんだい?」
「強く、なりてぇよな」


 すでに人間離れした戦闘力を持つ二人である。
 しかし。
「うん、強くなりたいな」
 今回の大戦でも、多くの死傷者が出た。
 この街の会長のリリシア。


 そして、アイテム調合師であり、大隊長でもあったダイモス。
 自分がもっと強ければ。
 自分がもっと速ければ。
 救えたかも知れないと思うのは、ただのエゴなのか。


 いくら泣こうが喚こうが、死んだものは帰ってはこないし、これからも戦いは続いていく。


 二人の英雄は、それでもなお更なる力を得るため、戦い続けていかなければならなかった。
感想 3

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