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第4章 トール・ド・ルート
第3話 深淵
続いて、地獄の2層目。ここには光の軍勢と実際に戦闘したものたちが囚われている。
そこここにオルトロスがいて、罪人達を食い荒らしている。
そして食われたものは、汚物としてオルトロスの体から吐き出され、また人の形をとり、食われるのだ。
「ここまでするほどのものなのか?」
光の軍勢と闇の軍勢との戦いがいつあったかも定かではない。
しかも、本当にあったのか、疑問視する声まででてりいる。
実際は見ての通りだ。
その戦争自体は本当にあったのだろう。
そして、結果もご覧の通りだ。
闇の軍勢は、ここに閉じ込められている。
「有史以前の神話の時代から、ここに彼らは捉えられていますわ」
なるべく戦闘を避け、奥へ、奥へと坂道をくだっていく。
『おぉ、生きた人間よ。なぜ貴様らはここを通ろうとするものよ?』
そんな中、話をかけてきた者がいた。
正確には声ではなく、念話のようなものだったが。
「僕達は、ここから貴方たちを救い出すよう、悪魔公爵から依頼されてきたものです」
エグゼが丁寧に言葉を返す。
『我々を、魔法も使えぬ人間が、か?』
この閉ざされた空間内でもエグゼたちが魔法を使えないことは看破されているらしい。
「それでも、出来ることなら、と思いここまできました」
『人間よ、ここは地獄だ。紛れもない地獄なのだ』
その人物は立ち上がると、さらに下を指差す。
『あの先にいけ。人の世が大変なのは知っているが、この世界の存続にかかわることなのだ。この大陸の問題だけではないのだよ、あの男のやろうとしていることは…』
「あの男…。ミハエルのことですか?」
しかし、その人物は、沈黙してしまう。
「行こう。彼が言うとおり、あの先に行けば分かる事だろう」
オルトロスが近づいてくる。
面倒な戦闘を避けるためにも、エグゼたちは先を急ぐのだった。
「いてっ!?」
不意にエグゼが立ち止まる。
「なんだ、これ?見えない壁?」
「ここが第2層の中間地点です。私達もこの不可視の壁に阻まれ、先に進めないでいました」
しかし、とナターシャは続けて「精霊に認められた者なら、通れると、ミズキ様がおっしゃっていました」
精霊の加護を受けし者。エグゼのことだろうか。
「精霊と融合しても、進めないみたいだ」
エグゼが試行錯誤するが、そこから先は進めない。
「びくともしないな、この壁は」
力技で壁を壊そうとしていたソウマも、戻ってくる。
「この壁は確かに精霊が作ったものだろう」
ミクが話しはじめる。
「父上から、聞いたことがあるのを思い出したのじゃ。この地獄の事を」
ミクの父。神と供に、この星を作り上げたという、神代のエンシェントドラゴン。
「ここの精霊は、普通の精霊ではない」
こんこん、と見えない壁を叩くミク。
「闇の精霊じゃ。それに見初められなければ、この先へは進めん」
「闇の精霊?」
それは『大いなる精霊王』と契約したエグゼさえ、知らない精霊の名前だった。
「それはどこにいるんだ?」
「分からんが、この地獄にいることは確かだ」
「私も聞いたことがありませんわ」
ここにきて、手詰まりとは…。
闇の精霊がどこにいるかも分からない状態だ。一度出直すしかないのかも知れない。
しかし、深淵は見ていた。
この先に進もうとする人間がいることを。
深淵は見ていた。
彼らなら、真実を掴んでくれるかも知れないと。
深淵は見ていた。
この永遠に続く地獄の中で、唯一光があるとすれば、あの人間達の行動次第だと。
そこここにオルトロスがいて、罪人達を食い荒らしている。
そして食われたものは、汚物としてオルトロスの体から吐き出され、また人の形をとり、食われるのだ。
「ここまでするほどのものなのか?」
光の軍勢と闇の軍勢との戦いがいつあったかも定かではない。
しかも、本当にあったのか、疑問視する声まででてりいる。
実際は見ての通りだ。
その戦争自体は本当にあったのだろう。
そして、結果もご覧の通りだ。
闇の軍勢は、ここに閉じ込められている。
「有史以前の神話の時代から、ここに彼らは捉えられていますわ」
なるべく戦闘を避け、奥へ、奥へと坂道をくだっていく。
『おぉ、生きた人間よ。なぜ貴様らはここを通ろうとするものよ?』
そんな中、話をかけてきた者がいた。
正確には声ではなく、念話のようなものだったが。
「僕達は、ここから貴方たちを救い出すよう、悪魔公爵から依頼されてきたものです」
エグゼが丁寧に言葉を返す。
『我々を、魔法も使えぬ人間が、か?』
この閉ざされた空間内でもエグゼたちが魔法を使えないことは看破されているらしい。
「それでも、出来ることなら、と思いここまできました」
『人間よ、ここは地獄だ。紛れもない地獄なのだ』
その人物は立ち上がると、さらに下を指差す。
『あの先にいけ。人の世が大変なのは知っているが、この世界の存続にかかわることなのだ。この大陸の問題だけではないのだよ、あの男のやろうとしていることは…』
「あの男…。ミハエルのことですか?」
しかし、その人物は、沈黙してしまう。
「行こう。彼が言うとおり、あの先に行けば分かる事だろう」
オルトロスが近づいてくる。
面倒な戦闘を避けるためにも、エグゼたちは先を急ぐのだった。
「いてっ!?」
不意にエグゼが立ち止まる。
「なんだ、これ?見えない壁?」
「ここが第2層の中間地点です。私達もこの不可視の壁に阻まれ、先に進めないでいました」
しかし、とナターシャは続けて「精霊に認められた者なら、通れると、ミズキ様がおっしゃっていました」
精霊の加護を受けし者。エグゼのことだろうか。
「精霊と融合しても、進めないみたいだ」
エグゼが試行錯誤するが、そこから先は進めない。
「びくともしないな、この壁は」
力技で壁を壊そうとしていたソウマも、戻ってくる。
「この壁は確かに精霊が作ったものだろう」
ミクが話しはじめる。
「父上から、聞いたことがあるのを思い出したのじゃ。この地獄の事を」
ミクの父。神と供に、この星を作り上げたという、神代のエンシェントドラゴン。
「ここの精霊は、普通の精霊ではない」
こんこん、と見えない壁を叩くミク。
「闇の精霊じゃ。それに見初められなければ、この先へは進めん」
「闇の精霊?」
それは『大いなる精霊王』と契約したエグゼさえ、知らない精霊の名前だった。
「それはどこにいるんだ?」
「分からんが、この地獄にいることは確かだ」
「私も聞いたことがありませんわ」
ここにきて、手詰まりとは…。
闇の精霊がどこにいるかも分からない状態だ。一度出直すしかないのかも知れない。
しかし、深淵は見ていた。
この先に進もうとする人間がいることを。
深淵は見ていた。
彼らなら、真実を掴んでくれるかも知れないと。
深淵は見ていた。
この永遠に続く地獄の中で、唯一光があるとすれば、あの人間達の行動次第だと。
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