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家出します②【りっちゃん視点】

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「我を今すぐ降ろせ!!」


「竜王様今さら引き返す事など出来ません、黒龍は一度命令した目的地に到着するまでは、どんな命令にも従いません。貴方様が一番わかってるはずでございます」





ふぅ~と重いため息をつき、自分の愚かさを悔やむ従者の言う通り、黒龍がここまで飛び上がれば目的地に到着するまで誰の命にも従わない。





「我は竜王などでは無い!生前の身分であり、現竜王は我愚息のはず・・・・」


「竜王様・・・・それが・・・・」


「だが国のことも愚息の事もどうでも良い!我は今すぐここを降りる、お前には生前世話になった為少し協力をしてやろうとは思ったが・・・・」


「リザスティックバーン様!!」





必死に従者は止めようと我の腕を掴む。当初の予定では半年もすれば成人するまで成長する予定だった。しかし現状は青年期を迎えたばかりの我身、この逞しい身体の従者に力では叶わぬようだ・・

しかし・・・・此処に止まるわけには行かない





「リザスティックバーンは既に絶命しておる・・遠い昔の竜王だ・・・・我は・・いや・・・・僕は・・リザードマンことりったんだぷっぎゃ~!」


「はい?」




従者は明らかに困惑した表情で、僕を見つめている。許せ僕は全てを捨てて新しい世界で生きると心は決まっている。

黒龍の背の上で毅然と立ち上がり、ユイカたんが用意してくれたリュックを握り締める。早く戻らなければ、ユイカたんが怪我してるんじゃないかと胸が張り裂けそうだ。




「竜王様・・・・りったんて・・・・・・」


「僕はプニュプニュでプルプルで全てを包み込むユイカたんの側から離れられない運命なんだ!」


「ユイカたん・・・・?あの下等生物人間の雌の事ですか・・・・」


「貴様ユイカたんを下等生物だと・・・・そうか死にたいのか、まだ幼きこの身でも貴様に負ける気はせぬ・・・・」





攻撃魔法はまだこの身体になってからは使用してないが、過去の記憶も知識もしっかり残っている。従者が只の一般騎士ではないとも理解しているが、僕とて手離せない人を見つけてしまったのだ!

真紅の瞳を光らせて意識を集中させる・・・・




「お止め下さい!その膨大な魔力をおさめて下さい・・・・貴方様に危害を加えるつもりはございません・・・・」


「なら・・・・僕は行くぷっぎゃよ~」


「ま・・まさか・・・・この様な所から・・」


「さらば!過去の友よ・・・・ぷっぎゃ~」





僕は意識を集中させる・・・・


ユイカたん待っててね・・・・





雲の上から大きな赤い光が溢れだし、黒龍の背から青年が突如姿を消す。誰しもが憧れる上位魔法の転移魔法を軽々と使いこなす・・・・

蜥蜴の正体は只の蜥蜴ではなかったようだ


残された騎士は『さすが竜王様、我々が予想だにしない行動を軽々やってのける・・しかし私とて諦めるつもりはございませんよ』どこか愉快そうに笑い声をあげた。







ユイカたん・・・・


ユイカたん・・・・






黒く艶やかな髪は短くクリクリとした大きな瞳で見つめられると、おもわず目が離せられなくなる。

健康的に日焼けした肌は小麦色 背丈は低くか弱げに見えるが、上半身の大きな乳房はムニュムニュでプルプルで何度揉んでも揉み続けたくなる。柔らかくて口に含めば吸い付いて、思わず噛みついて食べてしまいたくなる。

その身体を使って雄を堕落させるサキュバスなのではないかと疑ったが・・・・





『好きじゃない~大好きだよぉぉぉ~』





負けました・・・・勝てません・・・・抵抗しようがない。


どんなに力があろうとも卵から孵ったばかりの僕は庇護を受けなければ生きられなかった。当初の予定ではある場所で従者達によって自我がつく1ヶ月育てて貰う予定だった。まさか人間の雌に育てられたと自覚した時は、驚きと戸惑いが隠せなかったが、幼き話し方も幼き仕草もなぜだか続けた。

僕が泣けばユイカが必死に走ってきて慰め処置をする。寒いと言えばベッドの上で毛布にくるんで抱き締めてくれる、温かいご飯を作ってくれて食べれるかと心配してくれる。


ユイカという生き物はどこまでも自分の身を犠牲にして、僕に時間を費やした。種族も性別もましてや血もつながっていないのに、なぜここまで彼女が出来たのかいまだに理解出来ないが、僕に注がれる優しさは確かに感じる僕に向けての愛情があった。



家族愛・・・・



暖かくて優しくて・・・・



まるでぬるま湯のような心地好さ・・・・





でも最近変なんだ・・・・





ユイカたんを独占したくて、僕だけを愛して欲しくて仕方ないぷっぎゃ~?ドロドロしてグチャグチャしたこの感情、あの犬獣人と仲良く話すのが気に入らない・・・・僕だけと話していれば良いのに・・・・


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