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第5章 メテオストライク

メテオストライク 16

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 ノアは図書館の裏口の合鍵も作ったらしく、サッと鍵を閉め図書館から足早に離れた。裏通りに入ったところで一息つく。

「見た?」
「ああ」
「どうしたの? 手?」

 レイは何かが触れ冷たく冷えた左手をさすっていた。

「いや、なんでもない。それより、裏口の鍵もくれないか。そうすれば一人で行ける」
「またいくつもり? 見た? さっきの。ダメ!」
「……確かに見た、が、それほど悪いものには見えなかった」
「なに言ってんの! 連れていかれるって、そういう話があんの」
「誰が連れていかれたんだ? どこに連れていかれるんだ?」
「そ、それは知らないけど。城壁内警備の皆がそう言ってる。だから図書館の警備は皆サッと終わらすんだ」
「……」
「レイはそういうとこ、あんま考えなしでやるから。思慮が足りないというか、抜けてるというか、バカというか……」
「俺だって考えてる。大丈夫だ。鍵さえあれば俺一人で行ける。ノアは安全だ心配いらない」
「そういうことじゃないでしょ!! バカ!!!」

 ノアはレイに背を向けて歩き出した。

「なあ、ノア」
「……」
「でも俺は…… その…… まだ封印を解く場所まで読めなかった。それに最後まで知りたいんだ」
「……」
「ノア?」

 ノアが急に立ち止まって振り向いた。後ろを歩いていたレイがつんのめる。
 ノアは体勢の崩したレイの腹にグーパンチを入れた。
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