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第5章 メテオストライク

メテオストライク 18

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 それから数ヶ月、図書館の奥で二人だけの時間が何度か静かに流れた。

 子供の幽霊はその後、出てこなかったが、ノアのお供えしたリンゴやオレンジが消えた。どうやら、果物が好きみたいだ。悲しいことに、レイのもっていった風車は回らず、ほかのおもちゃで遊ばれることもなく、いつも少し悲しい顔をしておもちゃを持ち帰るレイであった。
 
 その数ヶ月の間で情勢はいろいろ移り変わった。テト地区に侵略してきていたトゥーバルを押し返したシエンナ騎士団は、そのまま国境沿いに要塞を作ることになり、ルッカ、ロッカは、その地に残ることとなった。ビルバ、モーラはイーリアの城砦都市を警備し、ランスはモンペリ直属の別働隊として活動することとなった。サンタンは相変わらず、アヌシビの命じた謎の任務についており音沙汰がなかった。

 トゥーバルが侵攻してくる以前の日常が戻りつつあったが、人材不足は響き城壁外の見回りは2人体勢となり、レイはトーブ、アルマーマ、あるは他の者一緒に警備する日が続いていた。変わったことは、ストラスブル隊長が帰ってきて復帰したこと、ブルズブートキャンプの筋トレが進化し始まったこと、そして1番の変化は、そこにアルマーマも参加したことだ。

「何があった?」
「……別に」とアルマーマは横を向いた。
「いいじゃねえかレイ、仲間が増えたんだ。行こうぜ天国コース」

 トーブが嬉しそうに声をあげた。
 トーブとアルマーマは魔法部隊での訓練も始まったこともあり、どうやらそちらが影響しているようだった。
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