ある日突然家のクローゼットが悪の秘密結社に繋がった話

浅木宗太

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クローゼットが悪の秘密結社に繋がっています。

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 事件の終わりは奇妙な顛末だった。
 報道では、とある任侠組織による、組織的な犯罪だったと伝えられた。きっと事実を知っているのは警察、それも零課の刑事達と、一部の上層部のみだろう。事件を公表するとなると、零課の存在とか、ヒーローが怪人になりうることとか、偉い人たちにとって都合の悪い情報が多いようだ。現に私も口止めをされている。お父さんから直々に言われた事でもあったのだが、話をするお父さんの顔は色んな感情が混ざり合っていた。
 人の噂も七十五日と言うが、このご時世の世間の事件への興味の薄れ方は一週間も経たず。まだ数日だと言うのに、既にやれ誰が離婚しただの政治家が信用ならないだの、好き勝手、あれこれと話している。私はと言うと、今日も怪人達と一緒に夕食を囲んでいる。そう言えば、例の彼はあの経理の元でビシバシと鍛えられているらしい。裁判とか、刑法とか、難しいことは分からないが、更生施設的な扱いで経理の人の下で働かされているのだと言う。
「そう言えば、助けに来てくれて、ありがとうございました。」
「いいって、ゆくゆくはフジカにはうちの受付で働いてもらう予定だからな。」
「受付で働いてもらう?」
 味噌汁を啜るボスの言葉に私は思わず聞き返す。
「ほら、うちの女性陣、みんな受付向きの顔じゃねーからな。商談前に帰られても困るし……。まぁ、うちは完全週休二日制、夏休み、冬休み付きで昇給制度有り。ボーナスも年に2回でるし、研修期間三ヶ月の超ホワイトだし?」
 めちゃめちゃいい条件だろ?と得意げなボス。それどころか一緒に食事をしていたリリィさんもテレビさんも、私が就職する体で話を私そっちのけで進めている。
「と!とにかく!就職に関しては大学出てから自分で決めます!だから」
 これからもよろしくお願いします。そう言えば彼らは一瞬、ぽかんとしたような顔をしたが、すぐに口角を上げた。
「こちらこそ。」
 世界には、日に当たる、昼間のような世界があれば、誰も深くは知らない、知ろうとしない、夜のような世界も存在している。しかし、光があれば、影があるように、確かに彼らは存在している。すぐ近くに、確実に。そしてやはり、クロゼットの奥には彼らがいる。これからも彼らとの奇妙なクローゼット越しの関係は続くようだ。
「悪いんだけど、後でちょっと匿ってくんない?」
「仕事はきちんと終わらせたほうが良いですよ、ボス」
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