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第二怪
拝み屋業はつらいよ2
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警察の仕事って早いなぁ、それが今回の感想である。
銃口を向けてきた金髪君、ゼリーを啜り終わり、駄菓子の入った紙袋に仕舞うと、おもむろに携帯を取り出し、110番をする彼方。
あとはご察しの通りである。
そんなこともあり、私と彼方はと言うと事情聴取の為に一応署まで、という何とも締まらない召集を受けていた。
話を大まかに(とはいえ本当に特に話すことは無いレベルなのだが)話し終え、取調室?から出ると廊下に用意されたベンチに見慣れた銀髪のお兄さんが座っていた。
「よう、やっと終わったか」
「あ、道さん」
そう、彼の名は道野命。我らが河井荘に住む住人の一人である。なんでも、隣町のサーカスで団長さんを務めているらしく、昼間のエンカウントは少なめだ。ちなみに、禁句は「みっちー」らしい。
「管理人からお前らを迎えに行ってこいって言われてな」
「わざわざありがとうございます……道さん今からお仕事?」
「いや、今日は休みだ。というか、他に手の空いてるやつが居なかったのもあるんだがな」
「それはそれでせっかくのお休みに……」
彼は気にすんな、と一言、私の頭をくしゃり、と撫でた。
「そういや、西洋の拝み屋だったんだって?」
帰り道、ソースカツの袋を開けてクジの中身を確認しながら道さんは言った。どうやらハズレだったらしく、そのまま中身を口に運ぶ。
「ああ、どちらかというと巣立ちしてすぐのひよっこって感じのやつだったぜ。いきなり銃を向けてきた辺り、こっちの事はまるっきしだろうよ」
「そりゃあそうじゃなきゃ、あんな大通りであんな事はしないだろうなぁ」
彼方とそんな話をしている道さんを見てふと、疑問を感じる。
「道さんって、妖怪なんですか?」
そう聞けば彼は困った様に笑い、
「ド直球だな、残念ながら、俺は妖怪ではないなぁ」
と頭を掻く。
「みんな妖怪だからてっきり」
「俺はあいつらほど長生きしてねぇな。今年で26だ」
「道野はほぼほぼ人間だな」
「ほぼ?」
彼方の言葉に私はオウム返しをしてしまう。
「世の中にゃ妖怪以外のものもいるのは知ってるよな?」
「うん、先祖返りとか色々と……でもあれも妖怪の血が混ざってるって事じゃなかったっけ?」
「そりゃあ日本の事だろ?外の国にはそれ以外にも居るのさ」
「えっ、道さんハーフなの?」
「どうなんだろうな……?俺もあまり自分の出自に詳しくなくてな」
「日本人だとずっと思ってたけど違った……?うーん……?」
「こらこら、話がズレたぞ。要は道野は人間だが、しかし血筋にそれ以外が混じってる。そういう事だ」
多少の脱線はあったが要約すると、道さんは人ではあるが人ではないものの血が混ざっている、という事で、その能力を受け継いでしまった人間、という事だ。
陰陽師、という家庭柄、そういう人は今までにも何度か見たことはある。そういう人たちを見た時、人間でありながらどこか違和感を感じることが多い。と、私は思っている。
とはいえ彼らも薄まっているとはいえ、人間離れした能力に頭を悩ませ、我々を頼ってくることが多い。聞いた話によれば自分がそういった存在である、と気が付かないまま生きている人も割と沢山いるらしい。
「何やかんや言ったとしても、日常生活に支障なけりゃそれで良し。あるならお前達の出番、そうだろ?」
「なぁ」と私に語りかける彼方の目が少し細められる。彼女の目はオッドアイである。普段は右目は髪で隠れているため、分からない。私が、それを知ったのはたまたま一緒の時間にお風呂になり、浴場で髪を洗っている時だったのだが、右目が金、左目は赤というなんとも彼女らしい色合いなのだ。猫の姿をしていても、目の色は変わらないらしく、同じ色なのだと言っていた。
キラキラした、綺麗な色なのだ。
銃口を向けてきた金髪君、ゼリーを啜り終わり、駄菓子の入った紙袋に仕舞うと、おもむろに携帯を取り出し、110番をする彼方。
あとはご察しの通りである。
そんなこともあり、私と彼方はと言うと事情聴取の為に一応署まで、という何とも締まらない召集を受けていた。
話を大まかに(とはいえ本当に特に話すことは無いレベルなのだが)話し終え、取調室?から出ると廊下に用意されたベンチに見慣れた銀髪のお兄さんが座っていた。
「よう、やっと終わったか」
「あ、道さん」
そう、彼の名は道野命。我らが河井荘に住む住人の一人である。なんでも、隣町のサーカスで団長さんを務めているらしく、昼間のエンカウントは少なめだ。ちなみに、禁句は「みっちー」らしい。
「管理人からお前らを迎えに行ってこいって言われてな」
「わざわざありがとうございます……道さん今からお仕事?」
「いや、今日は休みだ。というか、他に手の空いてるやつが居なかったのもあるんだがな」
「それはそれでせっかくのお休みに……」
彼は気にすんな、と一言、私の頭をくしゃり、と撫でた。
「そういや、西洋の拝み屋だったんだって?」
帰り道、ソースカツの袋を開けてクジの中身を確認しながら道さんは言った。どうやらハズレだったらしく、そのまま中身を口に運ぶ。
「ああ、どちらかというと巣立ちしてすぐのひよっこって感じのやつだったぜ。いきなり銃を向けてきた辺り、こっちの事はまるっきしだろうよ」
「そりゃあそうじゃなきゃ、あんな大通りであんな事はしないだろうなぁ」
彼方とそんな話をしている道さんを見てふと、疑問を感じる。
「道さんって、妖怪なんですか?」
そう聞けば彼は困った様に笑い、
「ド直球だな、残念ながら、俺は妖怪ではないなぁ」
と頭を掻く。
「みんな妖怪だからてっきり」
「俺はあいつらほど長生きしてねぇな。今年で26だ」
「道野はほぼほぼ人間だな」
「ほぼ?」
彼方の言葉に私はオウム返しをしてしまう。
「世の中にゃ妖怪以外のものもいるのは知ってるよな?」
「うん、先祖返りとか色々と……でもあれも妖怪の血が混ざってるって事じゃなかったっけ?」
「そりゃあ日本の事だろ?外の国にはそれ以外にも居るのさ」
「えっ、道さんハーフなの?」
「どうなんだろうな……?俺もあまり自分の出自に詳しくなくてな」
「日本人だとずっと思ってたけど違った……?うーん……?」
「こらこら、話がズレたぞ。要は道野は人間だが、しかし血筋にそれ以外が混じってる。そういう事だ」
多少の脱線はあったが要約すると、道さんは人ではあるが人ではないものの血が混ざっている、という事で、その能力を受け継いでしまった人間、という事だ。
陰陽師、という家庭柄、そういう人は今までにも何度か見たことはある。そういう人たちを見た時、人間でありながらどこか違和感を感じることが多い。と、私は思っている。
とはいえ彼らも薄まっているとはいえ、人間離れした能力に頭を悩ませ、我々を頼ってくることが多い。聞いた話によれば自分がそういった存在である、と気が付かないまま生きている人も割と沢山いるらしい。
「何やかんや言ったとしても、日常生活に支障なけりゃそれで良し。あるならお前達の出番、そうだろ?」
「なぁ」と私に語りかける彼方の目が少し細められる。彼女の目はオッドアイである。普段は右目は髪で隠れているため、分からない。私が、それを知ったのはたまたま一緒の時間にお風呂になり、浴場で髪を洗っている時だったのだが、右目が金、左目は赤というなんとも彼女らしい色合いなのだ。猫の姿をしていても、目の色は変わらないらしく、同じ色なのだと言っていた。
キラキラした、綺麗な色なのだ。
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