現実世界でも異世界でも最弱の俺が最強として扱われているのはどう考えてもおかしい。

友樹 みこと

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異世界への転生

【異世界】猫に引っかかれただけで異世界に来てしまうなんて、どう考えてもおかしい。

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「アリスさん、今日はどの子と寝ますか??」

「誰とも寝ない!たまには1人で寝かせてくれ!」

「えー、あたしと寝てよ!」

「いやいや、こんなちびっ子よりも私の方が大人の魅力があっていいでしょう?」

「はぁ!?大人の魅力?胸があるだけじゃない!!?」

「胸の大きさは魔力の大きさに比例するのよ?」

「それは持論でしょ!?あたしの方が強いもん!」

きらびやかな赤を基調とした城内の国王室で、メイド服を着た細目の女性が俺に問いかけ、背の低い桃色ツインテールの少女が俺に言いより、緑の長髪の色々と大人っぽい女が俺を誘惑していた。

こんな風に俺に言い寄る2人だが、2人とも相当な実力者だ。

桃色ツインテールの彼女は、魔界ランキング2位。
緑のエロいお姉さんは、魔界ランキング1位。
メイドさんは、空間を操るスペシャリスト。


チート級の彼女達は 全員国王の部下だったりする。


こんな状況になったのには、当たり前だが理由がある。俺はこんな美人や美少女や、夢にまでみたメイドさんに仕えてもらったりする器ではない。


現役高校生だった俺が、異世界の国王になるまでの話をまず聞いてほしい。

これからの事はそれから話そうと思う。


                     ***

2016年1月1日午前9時 とある神社にて

「友達からゴミと言われませんように、姉から死ねば?と言われませんように、今年こそ母親にハーゲンダッツ買ってもらえますように……ああもういっそこの世界からいなくなりたい」

なんで正月からこんな気持ちにならなきゃいけないんだ。

アリスこと有栖川りょうは毒づいた。ダウンジャケットに手を入れ、他の参拝客の邪魔にならないように、肩をぶつけて絡まれないようにひらりひらりと人を避けて歩く。

無意識のうちに神社の端に来てしまった有栖川は茂みが、がさがさと動いたのに気づいた。

「なんだ? 猫か?」

目をこらすと3匹の黒猫がこちらをじっと見ているのが見える。

「なんだよ、黒猫か…新年早々ついてねぇ……」

有栖川ははっきりいって、ブサイクだ。
キモオタ日本代表のようなフォルムと容姿はクラスメイトから無条件に避けられ世間から拒絶されていた。

せめて、普通の生活がしたい。
そんな願いを今日は祈りに来たのだが……。
新年早々黒猫を見てしまった。

「はぁ……」

「はっ?何ため息ついてんの、キモ」

「あっ、姉貴!?」

同じく初詣に来ていたりょうの姉、有栖川ありすがジト目で話しかけた。
ありすは学生モデルでブログを書いて収入を得ている。それも、両親と変わらない額を稼いでいた。

「そんな汚物を見るような目で人を見ないでください」

「いや、普通に無理でしょ。何で美男美女の子どもなのにそんなブサイクに生まれて来れるの?」

「それはこっちが聞きたい」

有栖川ありすは、弟であるりょうを心底嫌っていた。
不細工で、いつも下を向き、ため息をつくりょうを視界にいれるだけで、ストレスが溜まる。

「ブサイクなのはしょうがないとしても、それ以外もくそなんだよ。成績最下位、運動神経なし、美術的センスもなしな上、ゲームセンスすらもない。もういっそ死んで生まれ変われば??」

新年早々この世の終わりのような気持ちになったありすは、その苛立ちを余すことなく姉にぶつけ始める。

「俺だってそうしたいよ!!姉貴と変わってほしいってどれほど願ったか!!?」

「あんたと変わる!?はぁ!?絶対無理!」

 ミャア!!!

茂みの中から猫が突如襲いかかり、りょうの左手を3匹同時に引っ掻いた。

「いって!」

「あはは!黒猫にひっかかれてやんの!ついてねぇなぁ!お前!」

ありすは、弟が猫に引っかかれるのを見て笑った。
ざまぁみろと思った。
しかし、本当に目の前からいなくなるとは思っていなかった。

突如、はじめからいなかったかのようにりょうは消え、猫もいなくなった。

「消えた……??」

ありすは、辺りを見回すが何も無い。
何が起きたのか、わからなかった。


                   ***


りょうは左手を押さえ、傷口を見る。
荒々しく引っかかれた傷口からは予想以上の血が流れ出ていた。

ふと、姉の声が遠のいたことに気付く。
それだけではない。
初詣に来ていた人達の喧騒もなくなった。

夕焼けが辺りを照らし、日が落ちかけていた。
川の流れる音と、鳥のさえずりが聞こえる。

「はは、やっと死ねたか」

猫に引っ掻かれただけで死ぬなんて、身体の耐久力までみじんこクラスとは思わなかった。
有栖川りょうは潤んだ目元を拭き、顔を上げ景色を見た。

「ん、ほんとに死んだ?」

有栖川りょうが立っていたのは、渓谷だった。
崖には木々が生え川に沿うように永遠と続いている。川は、はるか向こうに見える大きな滝から流れて来ているようで滝の上には白い西洋の城が建っていた。

「どこだここ?全くわからん。」

腕を組んで考えると、ピコンと軽快な音がなり、見覚えのある画面がポップアップした。

「ゲームなのか……?」
画面は半透明で、ゲームでよく見られるものに似ている。
ステータス欄、アイテム欄、スキル欄、装備欄があり、それぞれタップすると開くようだ。

「異世界での俺のステータスがもう決められているのか……」

理不尽な現実だと受け取ってもいい所だが、りょうは違った。

「ふっ、まぁ生きてた頃以下なんてありえねぇよな」

逃げたかった現実から逃げれた。
前世以下のステータスは考えられない。ゴミだから。
今までの自分を捨てることが出来たならなんでもよかったのだ。

「妄想でも夢でもいい!せめてこの世界だけでも俺を……!!」


チート級の強さにしてくれええええええ!!!!


有栖川は決死の思いでステータス欄をtapした…。
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