BLACK DiVA

宵衣子

文字の大きさ
7 / 42

07.決戦

しおりを挟む
月が満ちる頃。
ここはどこかにある屋敷。
その一室にディアーナは両腕を頭上に縛られ、両足を鎖て繋がれている。
そしてそんな彼女の傍には彼女を連れてきた男、アーヴィングとその前方には椅子に腰かける長老がいた。
長老はディアーナを鋭い瞳で射抜く。

「久しいな。十二血族が1人、ディアーナよ。」

「えぇ。お久しぶりですね。長老様」

不敵に笑いながら鋭い瞳を見返した。

「随分と衰弱しているように見えるが」

「衰弱?いいえ…これがあるべき本来の姿なのです。力なんて必要ない。御二方は随分と肥えていらっしゃる」

小馬鹿にしたように笑ったディアーナをアーヴィングが平手で叩く。
パンッと乾いた音が響いた。

「それだけ元気なら問題なさそうですね」

「っつ」

「貴様のお陰で12人いた血族も、私とアーヴィング…そして貴様だけになってしまった……何が不満だと言うんだ」

溜息をつきながら長老は問う。

「……したから…」

「ん??」

「殺したでしょう。私の大切な人を…」

「あぁ、人のことか?そんなに大切な餌だったのか」

「人は餌では無いわ。私達と同じ感情がある生き物よ…これだけ私が行動にだしてもまだ分かってくれないのね」

「理解など到底出来ない。人は私達と同じでは無い食糧だ。家畜と同等だ…」

「違う!違う!!!」

しかしディアーナの訴えは届かない。
遥か昔からずっと。
相容れないのだこの思想の違いは。

「もういいわ。あなた達2人を殺せばバンパイアは衰退していくもの。」

バンパイアに生殖機能は無い。
子供が出来ないのだ。
長老から血を分け与えられた者が唯一、人をバンパイアに出来る能力を得る。それが十二血族。
そうやって増えてきたのだ。
だがしかし、それもこの2人を殺せば終わる。

「その状態でどうするのかね?」

口元に笑みを浮かべながらディアーナを見据える。

「っつ」

「さて…どう仕置をしてやろうか」

愉しそうに長老は顔をゆがめた。

「十二血族唯一の汚点だ。先に逝ってしまった者達の怨み、晴らそうぞ。痛め付けて最後は日の元に突き出してやろう。」

「っつ」

…………

朝。心地いい日差しか降り注ぐ。

「ディアーナの居場所なら分かる。」

イヴァンの言葉に玲音を始め、琴子、那由汰、彩芽はディアーナを助けるべくイヴァンを頼りに着いていく。
そうして辿りついたのは大きな御屋敷だった。

「あの…イヴァンさんは、日の光は大丈夫なんですか?」

琴子は日の光を浴びても平然としているイヴァンに疑問をぶつけてみた。

「俺はハーフだから大丈夫だよ。バンパイアだったらあっと言う間に燃えて灰になっちゃうね」

恐ろしい言葉をサラッと言ってのけたイヴァンだった。

「基本的にバンパイアは昼夜逆転生活…今はまだ眠っているはず」

屋敷から少し離れたところに一同は待機している。

「なら警備は手薄か?」

玲音の問いかけにイーグルアイを発動させた那由汰がこたえる。

「バンパイアは…みんな各部屋で眠っている。ただ防犯対策は強固だな。監視カメラがいくつも付けられてる、おそらく見つかったらバンパイア達が起きてくるだろうな。」

「ディアーナはどこにいる?」

心配そうに少し焦ったように言うイヴァンに那由汰はホークアイを共有した。

「いた…傷だらけだ…」

そうとう痛めつけられたのだろう、血が足りていないのか回復できずに傷が残っている。
今よりももっと深い傷を追っていたのかと思うとイヴァンは彼女を痛めつけたであろうアーヴィングと長老に怒りが湧き上がる。
ふつふつ…ふつふつと…。

「まずはディアーナを助けに行く」

「どうやって行く気?」

彩芽の言葉に沈黙するイヴァン。

「防犯カメラを死角から壊していこう。俺と琴子で防犯カメラを死角から壊していくから、那由多とイヴァン、彩芽はディアーナさんの救出を優先的に頼む」

その後に玲音は琴子の顔を見てできるよな?と聞いてきた。
そんな玲音に琴子は真剣な眼差しで頷いた。
それから2人は先に屋敷に忍び込むべく、那由多のホークアイを共有してどこにカメラがあるかを随時把握しながら屋敷に近づいて行く。
まずは正面の門の前。
玲音と琴子はカメラの死角に入り込む。

「琴子」

「はい。《凍てつけ》」

琴子が言葉を発するとカメラは凍りつき使い物にならなくなった。

「よし。」

そうして2人は中に侵入し、順調にかつ静かにカメラを壊していく。
その少しあとを那由汰、彩芽、イヴァンがついていく。

「ここだ」

玲音は1つのドアの前で立ち止まった。

「鍵がかかってます」

琴子の言葉に玲音は装備していた拳銃を構え撃った。

「隊長!!音!!!」

慌てる琴子に対し玲音はてへっと舌を出す。

「ま、気にすんなって!」

そうこうしてる間にイヴァン達が追いつきイヴァンは勢いよくドアを開けた。
中には中央に手を天井から吊るされ、足には重い枷を嵌められぐったりとしたディアーナがいた。

「イヴァン…どうして………」

こちらに気づいたディアーナは掠れる声でイヴァンの名を呼んだ。

「ディアーナっ!!!」

イヴァンは慌てて駆け寄り鎖を狂人的な力で引きちぎった。
流石バンパイアのハーフである。
そうしてディアーナを抱き下ろすと彼女の顔を自身の首筋に近付けた。

「飲んで…」

意識が朦朧としているディアーナは本能のままにイヴァンの首筋にかじりつき血を吸った。

「っつ…」

暫く吸血行為が続いた後、ディアーナは意識をしっかりと取り戻した。

「ありがとう…イヴァン。そして…ガーディアンの皆さん」

ディアーナは丁寧にお礼を言った。
さっきの傷は完全に回復していた。
そしてドアの外に視線を向ける。

「行かなくては…これが最後の戦いよ。」

「…分かってる」

すると突然銃声がしてきた。
ドアの前には4人のバンパイア達がいた。

「イヴァン掴まって、一気に抜けるわ」

ディアーナの言葉にイヴァンはディアーナを抱きしめる。
瞬間、2人は黒い霧になって消えた。

「なっ!隊長!!2人が!」

驚いたように彩芽が声を上げる。

「那由汰!」

「視えてる。」

「OK!んじゃ、さっさと片付けて追うか!!」

玲音は胸の前で拳を合わせた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

二重のカーテン (スカートの下の黒い意志)

MisakiNonagase
青春
洗濯物の隙間に隠したのは、母としての祈りと、娘のプライド。 かつて、女子高生という生き物はもっと無防備で、自由だった。 44歳の主婦、愛子が朝のベランダで手にするのは、娘たちが毎日履き替える漆黒のオーバーパンツ、通称「黒パン」。それは、令和を生きる娘たちが自らの尊厳を守るために身に着ける、鉄壁の「鎧」だった。 小学校時代のママ友たちとのランチ会。そこで語られるのは、ブルセラショップに下着を売っていた奔放な50代、無防備なまま凛と歩くしかなかった40代、そして「見せないこと」に命を懸ける10代の、あまりに深い断絶。さらには、階段で石像のように固まる父、生徒の背後に立たないよう神経を削る教師……。 一枚の黒い布を通して浮き彫りになる、現代社会の歪さと、その根底にある不器用なまでの「優しさ」。 ベランダに干された黒いカーテンの向こう側に、あなたは何を見ますか?

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。 その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。 全7話

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

処理中です...