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07.決戦
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月が満ちる頃。
ここはどこかにある屋敷。
その一室にディアーナは両腕を頭上に縛られ、両足を鎖て繋がれている。
そしてそんな彼女の傍には彼女を連れてきた男、アーヴィングとその前方には椅子に腰かける長老がいた。
長老はディアーナを鋭い瞳で射抜く。
「久しいな。十二血族が1人、ディアーナよ。」
「えぇ。お久しぶりですね。長老様」
不敵に笑いながら鋭い瞳を見返した。
「随分と衰弱しているように見えるが」
「衰弱?いいえ…これがあるべき本来の姿なのです。力なんて必要ない。御二方は随分と肥えていらっしゃる」
小馬鹿にしたように笑ったディアーナをアーヴィングが平手で叩く。
パンッと乾いた音が響いた。
「それだけ元気なら問題なさそうですね」
「っつ」
「貴様のお陰で12人いた血族も、私とアーヴィング…そして貴様だけになってしまった……何が不満だと言うんだ」
溜息をつきながら長老は問う。
「……したから…」
「ん??」
「殺したでしょう。私の大切な人を…」
「あぁ、人のことか?そんなに大切な餌だったのか」
「人は餌では無いわ。私達と同じ感情がある生き物よ…これだけ私が行動にだしてもまだ分かってくれないのね」
「理解など到底出来ない。人は私達と同じでは無い食糧だ。家畜と同等だ…」
「違う!違う!!!」
しかしディアーナの訴えは届かない。
遥か昔からずっと。
相容れないのだこの思想の違いは。
「もういいわ。あなた達2人を殺せばバンパイアは衰退していくもの。」
バンパイアに生殖機能は無い。
子供が出来ないのだ。
長老から血を分け与えられた者が唯一、人をバンパイアに出来る能力を得る。それが十二血族。
そうやって増えてきたのだ。
だがしかし、それもこの2人を殺せば終わる。
「その状態でどうするのかね?」
口元に笑みを浮かべながらディアーナを見据える。
「っつ」
「さて…どう仕置をしてやろうか」
愉しそうに長老は顔をゆがめた。
「十二血族唯一の汚点だ。先に逝ってしまった者達の怨み、晴らそうぞ。痛め付けて最後は日の元に突き出してやろう。」
「っつ」
…………
朝。心地いい日差しか降り注ぐ。
「ディアーナの居場所なら分かる。」
イヴァンの言葉に玲音を始め、琴子、那由汰、彩芽はディアーナを助けるべくイヴァンを頼りに着いていく。
そうして辿りついたのは大きな御屋敷だった。
「あの…イヴァンさんは、日の光は大丈夫なんですか?」
琴子は日の光を浴びても平然としているイヴァンに疑問をぶつけてみた。
「俺はハーフだから大丈夫だよ。バンパイアだったらあっと言う間に燃えて灰になっちゃうね」
恐ろしい言葉をサラッと言ってのけたイヴァンだった。
「基本的にバンパイアは昼夜逆転生活…今はまだ眠っているはず」
屋敷から少し離れたところに一同は待機している。
「なら警備は手薄か?」
玲音の問いかけにイーグルアイを発動させた那由汰がこたえる。
「バンパイアは…みんな各部屋で眠っている。ただ防犯対策は強固だな。監視カメラがいくつも付けられてる、おそらく見つかったらバンパイア達が起きてくるだろうな。」
「ディアーナはどこにいる?」
心配そうに少し焦ったように言うイヴァンに那由汰はホークアイを共有した。
「いた…傷だらけだ…」
そうとう痛めつけられたのだろう、血が足りていないのか回復できずに傷が残っている。
今よりももっと深い傷を追っていたのかと思うとイヴァンは彼女を痛めつけたであろうアーヴィングと長老に怒りが湧き上がる。
ふつふつ…ふつふつと…。
「まずはディアーナを助けに行く」
「どうやって行く気?」
彩芽の言葉に沈黙するイヴァン。
「防犯カメラを死角から壊していこう。俺と琴子で防犯カメラを死角から壊していくから、那由多とイヴァン、彩芽はディアーナさんの救出を優先的に頼む」
その後に玲音は琴子の顔を見てできるよな?と聞いてきた。
そんな玲音に琴子は真剣な眼差しで頷いた。
それから2人は先に屋敷に忍び込むべく、那由多のホークアイを共有してどこにカメラがあるかを随時把握しながら屋敷に近づいて行く。
まずは正面の門の前。
玲音と琴子はカメラの死角に入り込む。
「琴子」
「はい。《凍てつけ》」
琴子が言葉を発するとカメラは凍りつき使い物にならなくなった。
「よし。」
そうして2人は中に侵入し、順調にかつ静かにカメラを壊していく。
その少しあとを那由汰、彩芽、イヴァンがついていく。
「ここだ」
玲音は1つのドアの前で立ち止まった。
「鍵がかかってます」
琴子の言葉に玲音は装備していた拳銃を構え撃った。
「隊長!!音!!!」
慌てる琴子に対し玲音はてへっと舌を出す。
「ま、気にすんなって!」
そうこうしてる間にイヴァン達が追いつきイヴァンは勢いよくドアを開けた。
中には中央に手を天井から吊るされ、足には重い枷を嵌められぐったりとしたディアーナがいた。
「イヴァン…どうして………」
こちらに気づいたディアーナは掠れる声でイヴァンの名を呼んだ。
「ディアーナっ!!!」
イヴァンは慌てて駆け寄り鎖を狂人的な力で引きちぎった。
流石バンパイアのハーフである。
そうしてディアーナを抱き下ろすと彼女の顔を自身の首筋に近付けた。
「飲んで…」
意識が朦朧としているディアーナは本能のままにイヴァンの首筋にかじりつき血を吸った。
「っつ…」
暫く吸血行為が続いた後、ディアーナは意識をしっかりと取り戻した。
「ありがとう…イヴァン。そして…ガーディアンの皆さん」
ディアーナは丁寧にお礼を言った。
さっきの傷は完全に回復していた。
そしてドアの外に視線を向ける。
「行かなくては…これが最後の戦いよ。」
「…分かってる」
すると突然銃声がしてきた。
ドアの前には4人のバンパイア達がいた。
「イヴァン掴まって、一気に抜けるわ」
ディアーナの言葉にイヴァンはディアーナを抱きしめる。
瞬間、2人は黒い霧になって消えた。
「なっ!隊長!!2人が!」
驚いたように彩芽が声を上げる。
「那由汰!」
「視えてる。」
「OK!んじゃ、さっさと片付けて追うか!!」
玲音は胸の前で拳を合わせた。
ここはどこかにある屋敷。
その一室にディアーナは両腕を頭上に縛られ、両足を鎖て繋がれている。
そしてそんな彼女の傍には彼女を連れてきた男、アーヴィングとその前方には椅子に腰かける長老がいた。
長老はディアーナを鋭い瞳で射抜く。
「久しいな。十二血族が1人、ディアーナよ。」
「えぇ。お久しぶりですね。長老様」
不敵に笑いながら鋭い瞳を見返した。
「随分と衰弱しているように見えるが」
「衰弱?いいえ…これがあるべき本来の姿なのです。力なんて必要ない。御二方は随分と肥えていらっしゃる」
小馬鹿にしたように笑ったディアーナをアーヴィングが平手で叩く。
パンッと乾いた音が響いた。
「それだけ元気なら問題なさそうですね」
「っつ」
「貴様のお陰で12人いた血族も、私とアーヴィング…そして貴様だけになってしまった……何が不満だと言うんだ」
溜息をつきながら長老は問う。
「……したから…」
「ん??」
「殺したでしょう。私の大切な人を…」
「あぁ、人のことか?そんなに大切な餌だったのか」
「人は餌では無いわ。私達と同じ感情がある生き物よ…これだけ私が行動にだしてもまだ分かってくれないのね」
「理解など到底出来ない。人は私達と同じでは無い食糧だ。家畜と同等だ…」
「違う!違う!!!」
しかしディアーナの訴えは届かない。
遥か昔からずっと。
相容れないのだこの思想の違いは。
「もういいわ。あなた達2人を殺せばバンパイアは衰退していくもの。」
バンパイアに生殖機能は無い。
子供が出来ないのだ。
長老から血を分け与えられた者が唯一、人をバンパイアに出来る能力を得る。それが十二血族。
そうやって増えてきたのだ。
だがしかし、それもこの2人を殺せば終わる。
「その状態でどうするのかね?」
口元に笑みを浮かべながらディアーナを見据える。
「っつ」
「さて…どう仕置をしてやろうか」
愉しそうに長老は顔をゆがめた。
「十二血族唯一の汚点だ。先に逝ってしまった者達の怨み、晴らそうぞ。痛め付けて最後は日の元に突き出してやろう。」
「っつ」
…………
朝。心地いい日差しか降り注ぐ。
「ディアーナの居場所なら分かる。」
イヴァンの言葉に玲音を始め、琴子、那由汰、彩芽はディアーナを助けるべくイヴァンを頼りに着いていく。
そうして辿りついたのは大きな御屋敷だった。
「あの…イヴァンさんは、日の光は大丈夫なんですか?」
琴子は日の光を浴びても平然としているイヴァンに疑問をぶつけてみた。
「俺はハーフだから大丈夫だよ。バンパイアだったらあっと言う間に燃えて灰になっちゃうね」
恐ろしい言葉をサラッと言ってのけたイヴァンだった。
「基本的にバンパイアは昼夜逆転生活…今はまだ眠っているはず」
屋敷から少し離れたところに一同は待機している。
「なら警備は手薄か?」
玲音の問いかけにイーグルアイを発動させた那由汰がこたえる。
「バンパイアは…みんな各部屋で眠っている。ただ防犯対策は強固だな。監視カメラがいくつも付けられてる、おそらく見つかったらバンパイア達が起きてくるだろうな。」
「ディアーナはどこにいる?」
心配そうに少し焦ったように言うイヴァンに那由汰はホークアイを共有した。
「いた…傷だらけだ…」
そうとう痛めつけられたのだろう、血が足りていないのか回復できずに傷が残っている。
今よりももっと深い傷を追っていたのかと思うとイヴァンは彼女を痛めつけたであろうアーヴィングと長老に怒りが湧き上がる。
ふつふつ…ふつふつと…。
「まずはディアーナを助けに行く」
「どうやって行く気?」
彩芽の言葉に沈黙するイヴァン。
「防犯カメラを死角から壊していこう。俺と琴子で防犯カメラを死角から壊していくから、那由多とイヴァン、彩芽はディアーナさんの救出を優先的に頼む」
その後に玲音は琴子の顔を見てできるよな?と聞いてきた。
そんな玲音に琴子は真剣な眼差しで頷いた。
それから2人は先に屋敷に忍び込むべく、那由多のホークアイを共有してどこにカメラがあるかを随時把握しながら屋敷に近づいて行く。
まずは正面の門の前。
玲音と琴子はカメラの死角に入り込む。
「琴子」
「はい。《凍てつけ》」
琴子が言葉を発するとカメラは凍りつき使い物にならなくなった。
「よし。」
そうして2人は中に侵入し、順調にかつ静かにカメラを壊していく。
その少しあとを那由汰、彩芽、イヴァンがついていく。
「ここだ」
玲音は1つのドアの前で立ち止まった。
「鍵がかかってます」
琴子の言葉に玲音は装備していた拳銃を構え撃った。
「隊長!!音!!!」
慌てる琴子に対し玲音はてへっと舌を出す。
「ま、気にすんなって!」
そうこうしてる間にイヴァン達が追いつきイヴァンは勢いよくドアを開けた。
中には中央に手を天井から吊るされ、足には重い枷を嵌められぐったりとしたディアーナがいた。
「イヴァン…どうして………」
こちらに気づいたディアーナは掠れる声でイヴァンの名を呼んだ。
「ディアーナっ!!!」
イヴァンは慌てて駆け寄り鎖を狂人的な力で引きちぎった。
流石バンパイアのハーフである。
そうしてディアーナを抱き下ろすと彼女の顔を自身の首筋に近付けた。
「飲んで…」
意識が朦朧としているディアーナは本能のままにイヴァンの首筋にかじりつき血を吸った。
「っつ…」
暫く吸血行為が続いた後、ディアーナは意識をしっかりと取り戻した。
「ありがとう…イヴァン。そして…ガーディアンの皆さん」
ディアーナは丁寧にお礼を言った。
さっきの傷は完全に回復していた。
そしてドアの外に視線を向ける。
「行かなくては…これが最後の戦いよ。」
「…分かってる」
すると突然銃声がしてきた。
ドアの前には4人のバンパイア達がいた。
「イヴァン掴まって、一気に抜けるわ」
ディアーナの言葉にイヴァンはディアーナを抱きしめる。
瞬間、2人は黒い霧になって消えた。
「なっ!隊長!!2人が!」
驚いたように彩芽が声を上げる。
「那由汰!」
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玲音は胸の前で拳を合わせた。
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