BLACK DiVA

宵衣子

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19.アンノウンジャマー

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ガーディアン第1部隊隊長の玲音は聖女の乗る車の後ろをバイクで走りながら護衛していた。
やはり敵が現れる。1台の黒いバイクと赤いバイクがそれぞれ道に立ち塞がる。
そのバイクに股がってる2人はその辺の雑魚とは違うようで強い殺気を放っていた。玲音はバイクの速度を上げると聖女の乗る車を追い越し真っ直ぐ2台のバイクに突っ込んでいく。
そうしてバイクでドリフトし2台のバイクを横薙ぎにする。
黒と赤のバイクに乗っていた2人はバイクから飛び降り玲音の横薙ぎをかわした。

「全く、運転が荒い」

1人の男がそう言いながら指を鳴らすとまた電磁フィールドが張られてしまった。
聖女の乗る車も、玲音のバイクも動かなくなってしまう。

「(何重の電磁フィールドだよ…)」

今回の電磁フィールドは何重にもなっていて…玲音は電磁フィールドを壊すのも大変そうだとため息をついた。

「黒い組織とレッドアイはグルか…概ね黒い組織が雇い主なんだろ…」

すると聖女の乗る車から水色の綺麗な髪を後ろに束ねた男が降りてきた。

「久しぶりだな、玲音」

「お?やっぱりいたか…伊咲凪イザナ

この美形な男は伊咲凪と言うらしい。伊咲凪は玲音がナイトだった時の同僚であり、幼なじみでもある。

「久しぶりに共闘だな!」

「そうだな」

玲音は楽しそうに笑いながら敵に向けて2丁の拳銃を構え、伊咲凪も銃剣を構えた。

一方、那由多と芽愛はスナイパーと戦っていた。

「もう!すぐ消えちゃうから攻撃が当てられないわ!!」

芽愛が困ったように声を上げる。

「リンクします」

那由多は芽愛と瞳を共有する。
芽愛の瞳も那由多のように黄色く光り、鷹の目のように鋭くなる。

「流石、那由多!見えるわ!!」

那由多の目を通してスナイパーの位置が分かる。
芽愛は茨で出来た鞭をスナイパーに向けて振り下ろした。
スナイパーは自分の位置がバレていないと思っていたのか鞭に弾かれ橋の骨組みから落ちる。
そのまま茨に巻き付かれ拘束された。

「捕まえた」

芽愛はニッコリ笑った。
見るとスナイパーは少女だった。歳は10代半ば~後半くらいだろうか。
芽愛が少女に近づこうとした時、突然拘束していた茨が切り裂かれ少女が消えた。

「なっ!?」

芽愛は一瞬動揺するも、少し離れたところに少女と少女を助けた少年がいた。
容姿も少女と似てることからきっと兄妹か双子なのだろう。

「大丈夫か?フェナ」

「うん、ありがとう、ミスカ」

ミスカとフェナはバイクにまたがる。

「足止めはもう十分だろ。行こう」

「うん!」

「ちょっ!!待ちなさい」

芽愛が手を伸ばすとミスカと呼ばれた少年が不敵に笑う。

「追いかけてこれるもんなら追いかけてきな!」

その言葉と同時に那由多と芽愛が乗っていたバイクが粉々に壊れてしまった。恐らくミスカの仕業なのだろう。その様子を一瞥しミスカとフェナはバイクに乗って走り去ってしまった。

「やられましたね…」

那由多はため息をついた。

…………

時は玲音達に戻る。
玲音と伊咲凪は目の前の敵と対峙していた。
先程、黒いバイクの方に乗っていた男が玲音を見てにっと楽しそうに笑う。

「その白金の髪にオッドアイの瞳…あんた…白金の停滞者か?」

その言葉に玲音は一瞬目を見開くと懐かしむように笑う。

「その呼び名…懐かしいな」

「結構有名だったからな、他国にまで知られてるぜその呼び名!」

そう言って紫の髪を後ろに三つ編みで結っている男はトングを手に玲音に向かってくる。
玲音はシルバーの拳銃を構えると男に向かって銃を撃つ。しかし男は銃弾をかわしていく。
三つ編みの男は玲音を知っていた。白金に輝く髪に端正な顔。そして彼の通った場所の物は全ての時が止まってしまったかのように動かなくなる事からついた呼び名が白金の停滞者だった。数年前に彼の国に皇女が視察に来た時に護衛のナイトの中に玲音はいた。
その時、三つ編みの男、瀏 静リュウ ジンはたまたまその場に居合わせたのだ。そして襲ってきた族をその通り名の如くあっという間に倒してしまったのが玲音だった。

「俺はあんたを知っている!」

あっという間に玲音の懐に入ってきてトングを振るう。一方の玲音は余裕そうに口元に笑みを浮かべていた。

「知っていて俺の懐に飛び込んできたのか?」

玲音は能力、スタンネーションを発動させる。
玲音の能力は銃弾だけでなく自身の半径1m以内に入ったものの動きを止めることが出来るのだ。

「もちろん!!」

やはり静も余裕そうに笑っていた。
玲音が能力を発動させたにも関わらず、静の動きは止まる気配がない。

「???」

異変を瞬時に察した玲音は後退する。
振り下ろされたトングは地面にクレーターを作った。

「察しがいいな」

静は不敵に笑みを浮かべた。

「どんなカラクリだよ…」

玲音はやれやれと言ったように溜め息をつく。

「無力化のユニークアイテムだよ」

「ユニークアイテム…?アンノウンジャマーか?」

それに、おそらく彼はアンノウンではない。
なぜならアンノウンの力の根源オーラを感じないからだ。アンノウンジャマーはオーラに働きかけ力を弱めるか全く発動しないように封じてしまうことが出来るのだろう。

「(どっかの国で開発されてるって言われてたけど、まさかポータブルでの開発がもうされていたとは…)」

今までそういう道具に出会ったことがない訳では無いし、ここエウスでもあるにはある…が乗用車くらいの大きさである事と対象を取り囲むことで完全にアンノウンの力を封じることが出来る。つまりアンノウンをそこに誘導しなくては行けなく、コスパも悪いのでよっぽどの事が無いと使われないのだ。

「あんたはどっかの国の使いなのか?」

「俺たちの目的はBLACKDiVAの保護及び繁殖だ。」

「へぇ~。そのためなら人攫いをしてもいいと?」

「お前達がBLACKDiVAを蔑ろに扱っているからだろう!?」

静はそう言うと再び玲音に向かってくる。
玲音は後退しながら拳銃を静に向かって撃つ。
どうやら能力を発動してしまえば封じられる事は無いようだ。彼の持っているアンノウンジャマーは恐らく発動範囲があるのだろう。その範囲に入らなければなんてことは無い。
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