日本国 召喚獣管理省 関東庁 召喚獣総合事案即応科。

wakaba1890

文字の大きさ
27 / 28

一か八か。

しおりを挟む


 そうして、ちょくちょく話ていた点検用のスライムとすれ違いながら数十分ほど歩いた所で、少し環境に慣れて先頭をライトを照らしながら歩いていた時雨は突然立ち止まった。

「.....ん?」

「どうした時雨」

「...あれ、ここ、行き止まりですね」

 才亮がそう聞くと、時雨は進行方向の壁に手を当ててながら彼らの方を向いた。

「ん....っ!時雨!逃げるぞ!!」

「うわっ?!...え、なんで....」

 才亮は玄道が照らした壁の上方を見て、時雨の首根っこを掴んで来た道を逆走した。

「いいから!耳塞げ!!」

「うぇ?!...はい」

ーーーーーズザァァァァーー!!!!

 スライム配管内で、戦闘機の通過音に似た逃れようのない叫び声が鳴り響く。

「わぁぁぁぁっ!なんですか!なんなんですか?!あれーっ!!!」

 瞑っていた目をすぐに開くと、目の前にはサンドワームのような丸呑み食い気の蛇がうねりながら、こちらに向かってきた。


「ボス!何か策は?!」

「目当てのやつだが、とにかく逃げるぞ!!」

「はぃぃぃ!!」

 首根っこを掴んでいた時雨を前へ進行方向に投げて、とにかくガンガン逃げる事に集中した。

「これじゃねぇ、いや、これでもねぇっ....あったぁぁっ!!」

 防護服の関係でろくな道具を持って来れなかった彼は、防護服の腕部分を解除して懐内の道具から唯一使えそうな道具を取り出し投げた。

『グガぁぁぁ....』

 赤い閃光が配管内に煌めくとそれをモロに食らった蛇型召喚獣は一瞬怯みを見せた。

「ん...止まった?」

「あー、ピット器官までは麻痺らねぇやつだった...」

 走りつつ見返す時雨であったが、蛇特攻の道具には十分でなかった。

『ギュガァぁぁぁぁ!!!』

「ヤァぁぁぁ、怒っちゃいましたよ!」

「面目ねぇ..」

 バチキレた蛇型召喚獣は、さらに速度を上げてこちらに向かってきた。

 その後、10分ほど他の道具も蛇型召喚獣に投げてはみるが、特殊な発信機を付けれた以外は効果は見えずに、怒りは衰えるところを知らずに蛇型召喚獣は加速し続けて彼らのケツに迫りつつあった。

「...スライムはなぜアレを吸収しない?」

「奴の表面は削れてる...が、すぐに再生してるせいだな」

 玄道が才亮にそう聞くと、チラチラと蛇型召喚獣を観察していた彼は再生持ちであると断定した。

「勝手口はまだ先か...」

「あと10分か...それまで逃げ切るしか....っ!」

 防護服の関係で思うように反撃できない彼らは打開しあぐねていると、才亮は何かに気づいたようだった。

「才亮さんっ!何か策があるんですか!」

「あぁ....」

 切羽詰まっている空気の中から光を感じ取った時雨にそう聞かれながら、才亮はうる覚えの記憶を頼りに頭を回す。

 スピードは落とせない。
 落とした時点で、すぐに奴の腹の中に入ってしまう。
 スライム配管を削って外に出るにも地中のため余った空間がなく、土を掘るにしても時間が足りない。
 扉に着くまで、10分は要する....

 .....10分...

....っ!!

「玄道っ!一瞬で良い!鱗で配管せき止めろ!!」

「了解した。」
 
 玄道は脊髄反射で了承し、拳を突き合わせ、腕先から防護服を突き破ってウロコノムシの鱗を展開した。

『....グギィ?!』

 突如目の前に現れた緑鱗の薄壁に勢いそのままに突っ込んだ蛇型召喚獣は体をのけぞらせて反動を分散させる。

「...っ....ぐっ」

 防護服を突き破り、足元に緑鱗を纏い踏ん張る玄道はその衝撃をモロに受け、足元の鱗は既に溶け始めている。

「っ...玄道さっ...」

「時雨っ!ここを深淵で削れ!」

 明らかに無茶している玄道に思わず声を上げそうになるが、才亮が彼女を呼び彼がいる数歩前の地点を指差す。

「っ...りょう、かいっ!!クゥさん!」

「..スン...プサァ」

 保護服の中でも耐え難い匂いに耐えながら、阿吽の呼吸で才亮が指差した地点を深淵で削り取った。

「...一か八か」

「玄道さん!こっちです!」

「...っ...あぁ!!」

 他部位の防護服が衝撃ではち切れる中、玄道は彼女の掛け声と共に鱗のバリケードを据え置きして出来た数秒で彼女の方へと走り、深淵で削られた穴の中へと滑り込んだ。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

九尾と契約した日。霊力ゼロの陰陽師見習いが大成するまで。

三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。 ……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」 その言葉は、もう何度聞いたか分からない。 霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。 周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。 同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。 ――俺だけが、何もできない。 反論したい気持ちはある。 でも、できない事実は変わらない。 そんな俺が、 世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて―― この時は、まだ知る由もなかった。 これは―― 妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

老衰で死んだ僕は異世界に転生して仲間を探す旅に出ます。最初の武器は木の棒ですか!? 絶対にあきらめない心で剣と魔法を使いこなします!

菊池 快晴
ファンタジー
10代という若さで老衰により病気で死んでしまった主人公アイレは 「まだ、死にたくない」という願いの通り異世界転生に成功する。  同じ病気で亡くなった親友のヴェルネルとレムリもこの世界いるはずだと アイレは二人を探す旅に出るが、すぐに魔物に襲われてしまう  最初の武器は木の棒!?  そして謎の人物によって明かされるヴェネルとレムリの転生の真実。  何度も心が折れそうになりながらも、アイレは剣と魔法を使いこなしながら 困難に立ち向かっていく。  チート、ハーレムなしの王道ファンタジー物語!  異世界転生は2話目です! キャラクタ―の魅力を味わってもらえると嬉しいです。  話の終わりのヒキを重要視しているので、そこを注目して下さい! ****** 完結まで必ず続けます ***** ****** 毎日更新もします *****  他サイトへ重複投稿しています!

バイトで冒険者始めたら最強だったっていう話

紅赤
ファンタジー
ここは、地球とはまた別の世界―― 田舎町の実家で働きもせずニートをしていたタロー。 暢気に暮らしていたタローであったが、ある日両親から家を追い出されてしまう。 仕方なく。本当に仕方なく、当てもなく歩を進めて辿り着いたのは冒険者の集う街<タイタン> 「冒険者って何の仕事だ?」とよくわからないまま、彼はバイトで冒険者を始めることに。 最初は田舎者だと他の冒険者にバカにされるが、気にせずテキトーに依頼を受けるタロー。 しかし、その依頼は難度Aの高ランククエストであることが判明。 ギルドマスターのドラムスは急いで救出チームを編成し、タローを助けに向かおうと―― ――する前に、タローは何事もなく帰ってくるのであった。 しかもその姿は、 血まみれ。 右手には討伐したモンスターの首。 左手にはモンスターのドロップアイテム。 そしてスルメをかじりながら、背中にお爺さんを担いでいた。 「いや、情報量多すぎだろぉがあ゛ぁ!!」 ドラムスの叫びが響く中で、タローの意外な才能が発揮された瞬間だった。 タローの冒険者としての摩訶不思議な人生はこうして幕を開けたのである。 ――これは、バイトで冒険者を始めたら最強だった。という話――

【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜

KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。 ~あらすじ~ 世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。 そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。 しかし、その恩恵は平等ではなかった。 富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。 そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。 彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。 あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。 妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。 希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。 英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。 これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。 彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。 テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。 SF味が増してくるのは結構先の予定です。 スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。 良かったら読んでください!

異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~

松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。 異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。 「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。 だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。 牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。 やがて彼は知らされる。 その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。 金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、 戦闘より掃除が多い異世界ライフ。 ──これは、汚れと戦いながら世界を救う、 笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活

シン
ファンタジー
 世界中に色々な歪みを引き起こした第二次世界大戦。  大日本帝国は敗戦国となり、国際的な制約を受けながらも復興に勤しんだ。  GHQの占領統治が終了した直後、高度経済成長に呼応するかのように全国にダンジョンが誕生した。  ダンジョンにはモンスターと呼ばれる魔物が生息しており危険な場所だが、貴重な鉱物やモンスター由来の素材や食材が入手出来る、夢の様な場所でもあった。  そのダンジョンからモンスターと戦い、資源を持ち帰る者を探索者と呼ばれ、当時は一攫千金を目論む卑しい職業と呼ばれていたが、現代では国と国民のお腹とサイフを支える立派な職業に昇華した。  探索者は極稀にダンジョン内で発見されるスキルオーブから特殊な能力を得る者が居たが、基本的には身一つの状態でダンジョン探索をするのが普通だ。  そんなダンジョンの探索や、たまにご飯、たまに揉め事などの、華の無いダンジョン探索者のお話しです。  たまに有り得ない方向に話が飛びます。    一話短めです。

処理中です...