28 / 28
ダコウ運転。
しおりを挟む「ーーーー・・つぅ...みんな無事か?」
「...うぅ....は、はいぃ。クゥさん助かりました。」
『...クゥ』
ピンピンしている才亮からの確認に、時雨はぼんやりと赤いライトが点っているこの空間に目を萎めながらそう答えると、スライム配管の苦手な残り香に目に悪い空間を嫌に思ったクゥさんは深淵の中へと帰ってしまった。
「...ここは一体。」
溶けかけた腕や足元の患部をウロコムシで応急処置をし、玄道は回復薬を飲みながら所々目を慣らしつつ周囲を見渡していた。
落下した先はほったらかしの廃材や建築機材が散乱しており、音が響く程の高い天井に縦長に道路が通っている空間であり考えられるのはそれであった。
「...廃駅だ。」
ジリジリと赤いライトを灯す石灯が鳴る中、落ちてきた上の穴を見つめ、削った部分が修復されているのを確認しながら才亮は短くそう答えた。
「どうしてこんなところ...」
「モモテツのお陰だな。」
「え、海賊版ですか?」
用意していたかのような回答にそれ以上は聞かなかった玄道とは対照的に、時雨はてっきりMODの類を想起した。
「時雨、多分今のはジョークだと..」
「あぁー....たはは」
「おい、愛想笑いやめろ」
ビジネス笑いが板についてきた彼女は空笑いで受け流そうとしていた。
「...玄道だ。あぁ、全員無事だ。」
そんな彼らを他所に玄道はスピーカーをオンにして地上で待機していた西東京警察部隊へと連絡を入れていた。
『召喚獣はどこへ?』
「ボスに代わる。ボスっ!」
玄道はスピーカーをオンにしたままゴツい携帯を才亮に渡した。
「発信機とこれまでの傾向から、蛇行しながらおそらく八王子浅川沿いのポカポカ温泉へ向かっている。」
受け取った携帯を自身の腕時計型ウェアラブル端末に映るホログラムにスライドさせて、情報共有を行った。
『了解した。こちらはポカポカ温泉にて蛇型召喚獣捕縛へ移行する。』
同期した情報と才亮の推察を受けた電話先の警察側の現場責任者は方針を固めた。
ーーーー( ^ω^ )<それからどしたの
人払いが終わったポカポカ温泉施設の屋上にて、警察、召喚獣管理官で構成された討伐隊が待機していた。
「...本当に来んのか?」
罠や捕縛への万全な体制が整ってから、数十分程待機しており若い召喚獣管理官の男が前のめりにそう呟いた。
「あぁ、螺旋状にうねりながらここに向かっている。」
「っ...了解した。」
少し席を外していた才亮は彼の後ろからそう言って補足すると、若い管理官は顔を伏せて持ち場へと戻った。
「才亮さん。汐留さんは呼ばないのですか?」
「俺も今夜は駐勤にせよ、汐留は夜に温存させておく。」
「っ....わかりました。」
汐留とバンヨースライムがいれば、どんな予測不可能な事態が起きようとも柔軟に対処できるため、出来れば来て欲しかったが横須賀への応援後の疲労回復のため憚られた。
「...スゥ、状況は?」
そうこうしていると、治療を受けているはずの玄道はギリギリ間に合わせて戻って来た。
「....大丈夫なのか?」
「あぁ、見た目ほど問題ない。」
才亮は少し大袈裟に撒かれた透明な包帯越しに、玄道の上腕の表皮が溶けているのを一瞥するが、玄道は短くそう答えて小手にウロコノムシを装着した。
「うっ...深部には到達しませんでした?」
「あぁ、表層だけだ。スライム配管の消化液故感染症の問題もない。」
「そ...そう、なんです...か」
患部を見た時雨はギョッとして思わず聞いてしまうが、玄道が言うとなんでも問題ないように見えてしまっていた。
「時雨、何か気になったことはあるか?」
玄道が本当に無茶している時は微妙な機微でわかる才亮は件の蛇型召喚獣ウミヘビについて軽く目を通し、彼女にも意見を求めた。
「うーん.....そもそも、ウミヘビはこんな長時間地上で生きれるんですかね」
ーーーウミヘビ。
浅瀬の海でゆったりと泳いでいる大人しい性格の蛇型召喚獣。地上でも生息は可能であるが、滅多に地上には上がらない。
「本来なら、ない。地上で確認されているのは砂浜か海から近い地点になる。」
才亮が一般的なウミヘビの生態から認知した時点から今まで地上で生きれている点はおかしいと感じていた。
「変種、亜種の可能性か、新たな進化分岐か....その辺は後か」
玄道は今回のウミヘビは通常のウミヘビとは異なると考えを進めるが、その辺りは捕縛してからの話であった。
「....スライム配管への侵入で、皆ピリついているな」
指揮権は既に捕縛作戦立案を行なっていた壮年の召喚獣管理官が保有しており、即応科らは補助的な立ち位置となっており、そこから見たここは国家インフラに支障をきたす可能性のある召喚獣相手に使命感が帯同していた。
(蛇型...ウミヘビ...地上では長く生きれない.....粘液...なんか....どこか...」
そんな中、こういう現場にも関わらず時雨は即応科科長と副科長二人に囲まれているためか、思考を深く巡らせていた。
「.....しぐ」
その様子を感じ取った才亮は彼女の独自の視点からの気づきを引き出そうとした。
「全員配置につけーっ!!!」
が、彼女の気づきを深ぼろうとした所で建物は激しく揺れ、年長者の壮年の管理官が号令する。
『....グガハァぁぁぁぁぁぁー!!』
そして地響きとが厚くなると共に、標的の蛇温泉施設の階を突き破って蛇型召喚獣ウミヘビが屋上へと昇り慟哭を叫ぶ。
「...っ」
「....ぅ」
心臓まで震わせるその慟哭に耳を塞ぎながら、彼らは捕縛の合図を待っていた。
『....グゥゥ....グゥゥ』
空中へと飛び出したつぶらな瞳をしたウミヘビはポカポカ温泉八王子支店の名物である屋上の一面露天風呂へと着水し、囲っている管理官や警察官らを気配を感じ、大雑把に威嚇をしていた。
「....っ、目が慣れていない。展開しろっ!!」
事前情報から薄暗いスライム配管内で行進していたという点から、壮年の召喚獣管理官は号令を放った。
『....グゥっ?!ガァァァ!!』
三重に網状に放たれた捕縛幕は露天風呂に蓋をするようにウミヘビに絡まり、威嚇をするがパッチテスト程の細やかな針を通して鎮静剤が投入されようとしていた。
「....うしっ!」
「...鎮静剤...とうっ」
捕縛主導者の警察官はガッツポーズを握り、最終フェーズへと移行しようとした。
「ぁ....あーっ!捕獲やめてくださいーっ!!」
が、新人の即応科隊員が待ったをかけた。
「あぁ?!」
「黒瀬さん....中止ですか?!」
土壇場でタイミングよく異なる指令が行き交ってしまい、投薬役は一度判断を躊躇った。
「いやっ...続..」
「才亮さんっ!才亮さんっ!!」
ウミヘビが捕縛網内で暴れ散らかっている中、時雨は温泉施設とはいえ人工的故に香るはずのない硫黄の匂いと、混乱しているとはいえその表面粘度が低下して網から逃れていない所を指差した。
「あ?...っ!...おいっ!止めろ!!」
時雨に服を引っ張られ、彼女が指を差した先を見ると確かにウミヘビの粘液が干上がっているのを確認し即座に止めに入った。
「...はぁ?!どういうつもりか知らねぇが、邪魔するなっ!!」
壮年の管理官はでしゃばってきた金髪の男と新人に迫られ、どんな意図であろうと作戦を妨害してきていると確信し、寄生している植物型召喚獣ショクチュウで彼らを一時的に丸呑みしようとした。
「あいつは想定とは違う!」
「おまっ...この野郎っ!」
ショクチュウを糸で無力化すると、彼は携帯型捕縛用対召喚獣装備ミノムシを使って才亮を捕縛しようとしていた。
「っ...玄道っ!」
「了解。」
装備を糸で没収した才亮はタイムリミットからこいつを抑えている間にと、阿吽の呼吸で玄道に指令を下した。
ーーーーーパァァーン!!
「....っ!!」
玄道が自身の負傷部位に装備していたウロコノムシの緑鱗を解除し、すでに展開し固定化していた超合金ファイバー捕縛網へと鋭利に変形させ波状紋に分断した。
『....グヌゥ....』
体力的にも無理をして抵抗していたウミヘビは捕縛網が解かれると、露天温泉に全身を浸からせてゆっくりと息を吐いた。
「...ぐぬぅ...ぅ」
「全員っ屋外で待機!即応科と捕縛班だけ残れ!」
才亮にミイラにされた壮年の管理官を下に、才亮は他の管理官らにそう号令して人払いをした。
そして、勢いで現場の主導権が彼へと移ったため、人払いは迅速に完了して数分経った頃、時雨らは露天温泉内で身を休めているウミヘビのすぐ近くへと向かった。
「....はい。この子、ウミヘビじゃないですね。」
「変異種か?」
「うーん、いくら変異種とはいえ蛇は粘液なんて出さないですし、ウナギとかそっちの部類ですね。」
露天温泉の縁に跳ねて飛んできた粘液を指先でヌルヌルしながら、時雨は冷静に分析していた。
「こいつはウナギ型になるのか?」
「そこなんですよね。初め、地中に沿って適応したかと思ったんですけど、目は退化してないんですよね。まるっきり蛇型の目ですし」
「なら、元は蛇型で、スライム配管に作用したか、海洋召喚獣の胃のなかでスライムにも消化されない粘液の膜を獲得した具合か」
「あー...そっちの方が確度が高そうですね。」
才亮と時雨の分析を聞いていた玄道がそう聞くと、彼らは別の可能性を指摘した。
「...うむ。して...こやつは死んでないのか」
彼らの分析にいくばくか納得していると、玄道は露天温泉に可能な限り浸かっている蛇型召喚獣へ視線を流した。
「あー、この子はちゃんと生きてますよ。鎮静剤も投下前に止められたので眠ってもないです。」
「ん...こいつはこのまま放っておいて良いのか」
「んー...そろそろだと思います。」
「あぁ」
いまいち蛇型召喚獣の扱いにピンと来ていなかった玄道がそう聞くが、才亮と時雨には既にわかりきっていた事であった。
「ん?」
『....グゥ....グググググ...』
玄道が眉間に皺を深めていると、蛇型召喚獣の表層が粒状に蠢き胎動音が屋上に鳴り響いた。
「....捕縛班!飛んできても傷つけるなよ!」
「...っ」
「「は、はい!」」
彼の指令からなんとなく察しがついていた捕縛班らは身構えていると、ゆっくりと仮ウミヘビは噴水のように顔を直角に見上げた。
『....コポ
すると、こ気味良い音で仮ウミヘビの口の中から丸っこい何かが空中へと飛び出され、それらは順々に露天温泉へと着水した。
『ピギィっ!!』
『ピチッ...ピギゥ...』
『ピギッ....ピギィ!』
それらは二頭身くらいのミニチュアのウミヘビの子供で、口をパクパクとさせながら温泉上で生を初体験していた。
『...コポポポポポポ!!』
絶えず、仮ウミヘビの口から噴水のように空中に飛び出し、太陽の光に洗礼を受けて生まれ元気に躍動する子供らは、召喚獣の生命の神秘を表しているようにどこまでも
「....なんか、あんまり感動しませんね。」
「.....うん」
「うむ。」
仮ウミヘビの見た目がサンドワームみたいなせいか、子供らもミニチュアサンドワームのような見た目でベタつく粘液にドロドロになっているため、彼らは淡白な感情を元に一向に止みそうにない生命の噴水を見上げていた。
ーーーーーーー( ^ω^ )<それからどしたの
その後、途中で強引に指揮権を継承した才亮は今回事案の責任者として、今回事案で損害を受けたポカポカ温泉八王子支店の清掃と事後処理を一任し、それらが事務方に引き継がれる辺りになる頃には、途切れなく夜の駐勤を迎えていた。
ーーーカツ...カツ...カツ
梅雨前、まだ夜の湿度がカラッとしている空気をすいに屋上へと階段を登る。
『....クゥー』
「...おう、ちゃんと持ってきたぜ」
『クゥゥー』
出会ったファーストインプレッションのせいか、完全に夜に即応科棟の屋上にくればウッシーの大腿肉を焼いてくれる人とされている才亮は食糧庫から持ってきた真空パックされた肉を掲げると、ツキヨノは後頭部の花を青白く煌めかせながら嬉しそうな声で彼に擦り寄る。
『...クゥゥウ』
「ふっ....スゥゥ..」
レア気味が好みなツキヨノに合わせ、焼き加減を調節したウッシー肉を「やっぱ最高やねー」とうまそうに食っているツキヨノを背に、才亮はイッタンモンメンに隠していた書類を開ける。
ーーーー件名:蛇型召喚獣(通称:ダコウ)の特異的生殖行動に関する調査概略
当該事案において観測された蛇型召喚獣(以下、ダコウ)は、その形態的特徴よりウミヘビから派生・進化した種である蓋然性が極めて高い。 しかしながら、今般の露天温泉施設内における分娩事例に関しては、当該個体に生殖器の存在が認められず、加えて本来卵生であるはずの同種が胎生へと生殖様式を変化させた要因も特定されていない。 これらは既存の生態データと矛盾する未解明の事象であり、観測史上初の特異事例として報告する。
召喚獣研究局 爬虫類型召喚獣研究所 特化蛇型召喚獣研究室 主任 卯月 征四郎。
「.....」
そして、もう一方のファイルへと目を移す。
それはA級以上の権限パスが無しでは閲覧不可の検閲なしのウッシー事案時の調査報告書であり、そこには牛舎内に映る0.001秒間に辛うじて写っていたその微かな影がカメラ映像の映写限度を破壊して激写されていた。
それと今回の事案の資料報告書を照らし合わせ、月光へとかざし揺れ靡くのを見つめて、才亮は夜空に長い長い息を吐いた。
「....スゥゥゥ...逃さねぇぞ」
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
九尾と契約した日。霊力ゼロの陰陽師見習いが大成するまで。
三科異邦
ファンタジー
「霊力も使えない。術式も出せない。
……西園寺玄弥、お前は本当に陰陽師か?」
その言葉は、もう何度聞いたか分からない。
霊術学院の訓練場で、俺はただ立ち尽くしていた。
周囲では炎が舞い、水がうねり、風が刃のように走る。
同年代の陰陽師たちが、当たり前のように霊を操っている。
――俺だけが、何もできない。
反論したい気持ちはある。
でも、できない事実は変わらない。
そんな俺が、
世界最強クラスの妖怪と契約することになるなんて――
この時は、まだ知る由もなかった。
これは――
妖怪の王を倒すべく、九尾の葛葉や他の仲間達と力を合わせて成長していく陰陽師見習いの物語。
日本列島、時震により転移す!
黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。
【もうダメだ!】貧乏大学生、絶望から一気に成り上がる〜もし、無属性でFランクの俺が異文明の魔道兵器を担いでダンジョンに潜ったら〜
KEINO
ファンタジー
貧乏大学生の探索者はダンジョンに潜り、全てを覆す。
~あらすじ~
世界に突如出現した異次元空間「ダンジョン」。
そこから産出される魔石は人類に無限のエネルギーをもたらし、アーティファクトは魔法の力を授けた。
しかし、その恩恵は平等ではなかった。
富と力はダンジョン利権を牛耳る企業と、「属性適性」という特別な才能を持つ「選ばれし者」たちに独占され、世界は新たな格差社会へと変貌していた。
そんな歪んだ現代日本で、及川翔は「無属性」という最底辺の烙印を押された青年だった。
彼には魔法の才能も、富も、未来への希望もない。
あるのは、両親を失った二年前のダンジョン氾濫で、原因不明の昏睡状態に陥った最愛の妹、美咲を救うという、ただ一つの願いだけだった。
妹を治すため、彼は最先端の「魔力生体学」を学ぶが、学費と治療費という冷酷な現実が彼の行く手を阻む。
希望と絶望の狭間で、翔に残された道はただ一つ――危険なダンジョンに潜り、泥臭く魔石を稼ぐこと。
英雄とも呼べるようなSランク探索者が脚光を浴びる華やかな世界とは裏腹に、翔は今日も一人、薄暗いダンジョンの奥へと足を踏み入れる。
これは、神に選ばれなかった「持たざる者」が、絶望的な現実にもがきながら、たった一つの希望を掴むために抗い、やがて世界の真実と向き合う、戦いの物語。
彼の「無属性」の力が、世界を揺るがす光となることを、彼はまだ知らない。
テンプレのダンジョン物を書いてみたくなり、手を出しました。
SF味が増してくるのは結構先の予定です。
スローペースですが、しっかりと世界観を楽しんでもらえる作品になってると思います。
良かったら読んでください!
異世界ビルメン~清掃スキルで召喚された俺、役立たずと蔑まれ投獄されたが、実は光の女神の使徒でした~
松永 恭
ファンタジー
三十三歳のビルメン、白石恭真(しらいし きょうま)。
異世界に召喚されたが、与えられたスキルは「清掃」。
「役立たず」と蔑まれ、牢獄に放り込まれる。
だがモップひと振りで汚れも瘴気も消す“浄化スキル”は規格外。
牢獄を光で満たした結果、強制釈放されることに。
やがて彼は知らされる。
その力は偶然ではなく、光の女神に選ばれし“使徒”の証だと――。
金髪エルフやクセ者たちと繰り広げる、
戦闘より掃除が多い異世界ライフ。
──これは、汚れと戦いながら世界を救う、
笑えて、ときにシリアスなおじさん清掃員の奮闘記である。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
現代社会とダンジョンの共生~華の無いダンジョン生活
シン
ファンタジー
世界中に色々な歪みを引き起こした第二次世界大戦。
大日本帝国は敗戦国となり、国際的な制約を受けながらも復興に勤しんだ。
GHQの占領統治が終了した直後、高度経済成長に呼応するかのように全国にダンジョンが誕生した。
ダンジョンにはモンスターと呼ばれる魔物が生息しており危険な場所だが、貴重な鉱物やモンスター由来の素材や食材が入手出来る、夢の様な場所でもあった。
そのダンジョンからモンスターと戦い、資源を持ち帰る者を探索者と呼ばれ、当時は一攫千金を目論む卑しい職業と呼ばれていたが、現代では国と国民のお腹とサイフを支える立派な職業に昇華した。
探索者は極稀にダンジョン内で発見されるスキルオーブから特殊な能力を得る者が居たが、基本的には身一つの状態でダンジョン探索をするのが普通だ。
そんなダンジョンの探索や、たまにご飯、たまに揉め事などの、華の無いダンジョン探索者のお話しです。
たまに有り得ない方向に話が飛びます。
一話短めです。
オッサン齢50過ぎにしてダンジョンデビューする【なろう100万PV、カクヨム20万PV突破】
山親爺大将
ファンタジー
剣崎鉄也、4年前にダンジョンが現れた現代日本で暮らす53歳のおっさんだ。
失われた20年世代で職を転々とし今は介護職に就いている。
そんな彼が交通事故にあった。
ファンタジーの世界ならここで転生出来るのだろうが、現実はそんなに甘く無い。
「どうしたものかな」
入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
注意事項3 お話と表紙はなんの関係もありません。
魔物に嫌われる「レベル0」の魔物使い。命懸けで仔犬を助けたら―実は神域クラスしかテイムできない規格外でした
たつき
ファンタジー
魔物使いでありながらスライム一匹従えられないカイルは、3年間尽くしたギルドを「無能」として追放される。 同世代のエリートたちに「魔物避けの道具」として危険な遺跡に連れ出され、最後は森の主(ヌシ)を前に囮として見捨てられた。
死を覚悟したカイルが崩落した壁の先で見つけたのは、今にも息絶えそうな一匹の白い仔犬。 「自分と同じように、理不尽に見捨てられたこの子だけは助けたい」 自分の命を顧みず、カイルが全魔力を込めて「テイム」を試みた瞬間、眠っていた真の才能が目覚める。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる