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supplementary tuition番外編
秘密は蜜より甘く 1
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「この前は有都に追い返されちゃってさ、すっかり渡すの忘れていてね」
普段と変わらないその日の朝、夢月が有都を玄関で見送った30分後、インターホンが鳴った。
モニターには屈託のない笑顔を浮かべた悠都がいて、紙袋を顔の前に持ち上げて見せている。
有都にはアポなし訪問は追い返せ、と言われてはいるものの、夢月にはその強さが持てなかった。
「いやー、悪いね、突然」
玄関に招くなり、悠都が申し訳なさ気に瞳を細める。
困惑が顔に出てしまったのかと焦った夢月は、「いいえ」と小さく返した。
悠都は掴み所がなく軽率さが目立って見えるものの、その裏にはしっかりした気遣いや考えがあり、能く相手の表情を読み取る器用さがある。
その実力で企業の代表取締役の地位にいるのも頷ける。
「家に入れるなって有都に釘を刺されてるんだろ」
呆れたように鼻で息を吐き、悠都は眉を下げた。
そんな表情は何処となく有都に似ていて、夢月は思わず微笑む。
「悠都さんと二人っきりになるなって言われてます」
「私もね、話すたびに言われてるんだよ、ヤキモチ妬きで困った息子だよ」
「内緒にするんで、お茶飲んで行ってください」
夢月がリビングを指すと悠都がくしゃりと微笑んだ。
「ありがとね。いやー、有都が夢月ちゃんを独占したい気持ちが良く分かるなぁ」
悠都は有都に知れて心象を損ねる事は承知の上で来ているのだろう。
悠都はそれで有都からの苦情の電話が入る事すら楽しんでいるように見える。
息子に構いたいし構われたい、そんな親心が垣間見えてしまい、夢月からすると微笑ましく感じていた。
それに有都が危惧するような事は起こるわけもなく、杞憂に終わる。
大した事ではないと、夢月は思っていた。
「夢月、オレに隠し事してる?」
帰宅した有都がリビングに入るなり後ろから夢月の腰へと手を回す。
有都の甘えるような尋問は、その都度甘さを増し腕を上げている。
髪を避けるように首筋へと唇が寄せられ、甘い問いかけが肌をくすぐった。
悠都には内緒とは言ったものの、隠し通せるものではないと分かってはいた。
だけれど、こんなに早い時点で見透かされるとは予想外だっただけに、夢月の胸はどきりと跳ねた。
「…………誰か、家に入れた?」
疾しい事などしてはいないが、低く静かに囁く有都の声に夢月の胸に罪悪感が芽生えていく。
「ごめんなさい……………………」
夢月は弱々しく呟いて、体に回されている有都の腕へと手を置いた。
今にも素肌に喰いつかれそうな唇の気配に切なくなる。
罪悪感が芽生えるのなら、それは充分に疾しいものだと気付かされた。
「…………悠都さんが来て、腹帯を持ってきてくれたの」
「やっぱな、この匂い」
悠都がつけるコロンの残り香を嗅ぎつけたらしい。
有都の深く長い溜め息が夢月の胸元にまで届いた。
少しお茶をして、短い時間で帰すつもりだったが、香りを残すくらいに悠都は留まっていたのだ。
最初は本当に腹帯を受け取っただけだった。
──── 清水蓮の話をされるまでは。
普段と変わらないその日の朝、夢月が有都を玄関で見送った30分後、インターホンが鳴った。
モニターには屈託のない笑顔を浮かべた悠都がいて、紙袋を顔の前に持ち上げて見せている。
有都にはアポなし訪問は追い返せ、と言われてはいるものの、夢月にはその強さが持てなかった。
「いやー、悪いね、突然」
玄関に招くなり、悠都が申し訳なさ気に瞳を細める。
困惑が顔に出てしまったのかと焦った夢月は、「いいえ」と小さく返した。
悠都は掴み所がなく軽率さが目立って見えるものの、その裏にはしっかりした気遣いや考えがあり、能く相手の表情を読み取る器用さがある。
その実力で企業の代表取締役の地位にいるのも頷ける。
「家に入れるなって有都に釘を刺されてるんだろ」
呆れたように鼻で息を吐き、悠都は眉を下げた。
そんな表情は何処となく有都に似ていて、夢月は思わず微笑む。
「悠都さんと二人っきりになるなって言われてます」
「私もね、話すたびに言われてるんだよ、ヤキモチ妬きで困った息子だよ」
「内緒にするんで、お茶飲んで行ってください」
夢月がリビングを指すと悠都がくしゃりと微笑んだ。
「ありがとね。いやー、有都が夢月ちゃんを独占したい気持ちが良く分かるなぁ」
悠都は有都に知れて心象を損ねる事は承知の上で来ているのだろう。
悠都はそれで有都からの苦情の電話が入る事すら楽しんでいるように見える。
息子に構いたいし構われたい、そんな親心が垣間見えてしまい、夢月からすると微笑ましく感じていた。
それに有都が危惧するような事は起こるわけもなく、杞憂に終わる。
大した事ではないと、夢月は思っていた。
「夢月、オレに隠し事してる?」
帰宅した有都がリビングに入るなり後ろから夢月の腰へと手を回す。
有都の甘えるような尋問は、その都度甘さを増し腕を上げている。
髪を避けるように首筋へと唇が寄せられ、甘い問いかけが肌をくすぐった。
悠都には内緒とは言ったものの、隠し通せるものではないと分かってはいた。
だけれど、こんなに早い時点で見透かされるとは予想外だっただけに、夢月の胸はどきりと跳ねた。
「…………誰か、家に入れた?」
疾しい事などしてはいないが、低く静かに囁く有都の声に夢月の胸に罪悪感が芽生えていく。
「ごめんなさい……………………」
夢月は弱々しく呟いて、体に回されている有都の腕へと手を置いた。
今にも素肌に喰いつかれそうな唇の気配に切なくなる。
罪悪感が芽生えるのなら、それは充分に疾しいものだと気付かされた。
「…………悠都さんが来て、腹帯を持ってきてくれたの」
「やっぱな、この匂い」
悠都がつけるコロンの残り香を嗅ぎつけたらしい。
有都の深く長い溜め息が夢月の胸元にまで届いた。
少しお茶をして、短い時間で帰すつもりだったが、香りを残すくらいに悠都は留まっていたのだ。
最初は本当に腹帯を受け取っただけだった。
──── 清水蓮の話をされるまでは。
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