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1話 とある夢
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まただ。 この夢。 白い世界にいる一人の女性と俺。 その他は何も無い。その女性は、 白い髪で、白いワンピースが特徴的だ。 でも、姿はぼんやりとしか見えない。それでも俺は、後ろ姿を見ているだけでも美しいと感じた。 だが、あの人の言っていた意味が分からないままだった。
「貴方の色で私を染めて―・・・」
とても透き通った声だった。
俺が「なんだよそれ」とか「どういう事だよ」とか言っても、何も答えない。顔すら見せてくれない。それだけ言い残して、女性はどこかへ歩いていってしまう。俺が「待てよ!」って言ってもその人は待たず、白の中へと消えていってしまう。そこで俺の夢は終わり。 いつもこれがオチ。そして、朝を迎える―。
「また今日も見たなぁ…あの夢」
俺は、ぼんやりと目を開けながらぽつりと呟いた。 季節は春。 日差しが暖かくて、眩しい。
「あっ、今日学校だわ。 ぼんやりしてられねー」
俺は、まだ少し重い瞼を擦りながら、居間へ降りていった。
「あら、夢羽。今日は起きるの遅かったわね」
「ん、まぁ」
「今日も学校なんだから、早く支度して遅れないように行きなさいね」
「はーい」
俺は、手軽に朝食を済ませ、支度をした。
「じゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい。 気を付けるのよー」
「うん」
そして俺は、家を出た。近所の家の犬がワンワンと元気よく吠えていた。子供が何か話している声も聞こえてくる。俺は、そんな日常的な音を聞きながら、いつもの2人と会う。
「東雲ー! おはようなのじゃー!」
「お。ふわ、おはよう」
如月ふわ。髪は、少し茶色がかった感じの 2つの団子結び。 いつも元気で活発的な性格。口調が特徴的で、語尾に「じゃ」と付けていることが多い。 俺と同じ高校で、高校1年のA組。「俊足の女王様」とか言われるほど足が速いらしい。
「元気か?」
「おう。俺は、元気だぜ。 ふわは?」
「わしも元気じゃ!」
と笑いながらふわは言った。笑顔が眩しい。太陽みたいだ。
俺とふわは、世間話をしながらあいつの家へ向かった。
「・・・なぁ、ふわ。遊起きてると思うか?」
「ううん。思わないのじゃ」
「だよなー・・・」
紫ノ宮 遊。髪は、黒でショート。頼りがいのある優しい性格。俺と同じ高校で、高校3年のB組。こいつはとにかくモテる。女子なんて朝からこいつを見ると「キャー♡」「ワー♡」とか甲高い声上げてる。正直引くくらい…ちなみに俺と遊は幼なじみで、仲がいい。
「あ、そう言えば。 ふわ、まだこいつの事好きなの?」
俺は、ニヤニヤしながらふわに遊の写真を見せた。ふわは、少し前から遊に片思いしていた。
「なっ・・・/// 東雲っ・・・」
ふわは、写真を見る度にみるみると顔をタコのように赤く染めていった。
「そいつなんか、嫌いじゃ・・・」
「えぇ~? またまたぁ~」
「う、うるさいのじゃ!わしの気持ちも知らんくせに・・・このぅ・・・」
ふわは、頬をぷくーと膨らまし、俺をべしべし叩いてきた。
「ちょ、痛い、痛い」
「痛くないくせにぃー!!」
「君たち、人の家の前で何やってるのかな?」
「「あ」」
遊は、俺らの方を見てニッコリと笑いながら言った。ふわの顔もタコからだんだんと青ざめていった。こいつ、怒るとやばいくらい怖い。遊は、冷たい瞳でナイフを刺すかのようにこう言った。
「はぁー・・・ 全く君たちは何をしているのか・・・ 朝からわー、きゃー、わー、きゃー五月蝿いわ」
「ごめん・・・」
「ごめんなさいなのじゃ・・・」
「ま、いいんだけどさっ」
遊は、急にパッと明るい笑顔になった。
いつもこんな小芝居を見られて、おまけに「やっぱり、演劇部向いてるよな!」とか言われる。なんかこう… もっと深く感情を入れなきゃいけないと思うけど。俺は、演劇部ではないから分からないが、でも、確かに怖いくらいに、機械みたいに感情、表情がころころ変わる。多重人格とも思うような奴だ。
そんな人達の間に挟まれて、俺。
東雲 夢羽。髪は、黒だが前髪の一部が白色。少し長いから結んでいる。
性格は、マイペースとかのんびり屋とかって言われてる。高校3年のB組。中1の時は、髪のことでいじめられたこともあった。そんな中、助けてくれたのは、遊だった。今でもあのことは忘れられなかった。あの真剣な瞳で傷まみれだけど、勇ましい勇者のような姿を。
「なぁ、俺さ、髪切った方がいいと思うかな」
「わしは、その髪型でいいの思うのじゃ! バッサリ切ったら慣れないしのぅ…」
「遊は…?」
「ふわと同意見」
「そっか」
朝は、この3人で学校に登校している。
髪のいじめがあった事を知っているのは、ふわと遊と「夢月」だけだった。
如月 夢月
俺が、好きだった人。返事は、もう貰えないだろう。幼なじみで、ふわの姉。
ふわとは対象的な性格で、物静かでしっかり者。白く、長い髪が特徴的だった。
夢月は、「この髪は生まれつきなの」っておしとやかに微笑みながら言っていた。あの笑顔は、忘れられないほど美しかった。
「― おーい、夢羽ー。さっきからボーッとしてるぞー 大丈夫かー?」
「ん?あぁ、ごめん。ちょいと考え事してて」
「東雲~ また夢月の事考えてたじゃろ~」
「はぁ?何言って…」
「顔が赤いのじゃ! 図星だったんじゃろ~」
「あ!本当じゃん!夢羽、タコみたい」
「確かになのじゃ!」
この2人にとっては、俺がいじられキャラになってる。夢月がいたときは、それを見て、母親のような目で笑いながら見ていた。夢月は、交通事故で亡くなった。だから、あの時の返事はもう貰えない。俺は、ずっと傍で泣くことしか出来なかった。1日中、夢月の手を握って。生きていることを願って―。
「ターコ、ターコ」
「お、おい、からかうのはやめろ…」
「さっきまで散々わしのことをタコ、タコ言ってたくせに!! 自分のときだけ…」
「そーだ、そーだ」
毎朝こんな感じで登校している。学校までは、あっという間に着く。こいつらといるときは、楽しすぎて時間を忘れてさせてくれるくらいだった。
学校の門まで着いた。桜葉高校。俺達が通っている高校で、人数はあまり多くはない。俺達が歩いていると、「ねぇ… あれって、遊くんじゃない…?」
「くんじゃない、遊様よ…!!」
あぁ、今日も聞こえてきた。前を歩いていた女子達がこちらを見て、ヒソヒソと話していた。俺は、遠目でその女子達を見ていた。
「えっ…!? 遊様…!?」
「遊様ー!!♡」 「こっち見てー!♡」
その話を聞きつけた女子達もつられてこちらを見てくる。それがだんだんと広がっていき、とうとう遊の周りを囲まれてしまった。業界のハリウッドスターでも通っているかのように、女子の黄色い声が聞こえてくる。俺とふわは、毎回同じような顔をしているだろう。
「今日もなのじゃ…」
「あぁ… 毎回、毎回… 遊は、疲れないのだろうか…」
俺は、遊をチラッと横目で見た。遊は、爽やかな笑顔で周りの女子達に、「おはよう」と言い、手をひらひらと振っていた。
「キャァァァー!!!♡」「ワァァァァー!!!♡」
女子達の歓声は、増すばかり。俺とふわは、ぽかんと口をあけたまま、遊と女子達を見ていた。そして1人の女子が自分の腕時計を見て、ハッとした顔で「あ!そろそろチャイムが鳴る時間だー!!」と大声で言った。他のの女子達も一斉に時計を見て「あ!!」と声を上げていた。
「急がなきゃ!!」「遊くーん! また後でねー!!」「クラスでねー!」と口々に言ったあと、女子達は走りながらこの場を去って行った。台風のような歓声が通り過ぎたあと、俺と遊とふわは、3人疲れたような顔を見合わせ、遊が「行こうか…」と疲れ切った笑顔で言った。
遊がドアを開けると、凄まじく光る女子の目がちらほらと見えた。
「遊くーん!!」「わぁぁ! きゃぁぁぁ!」
遊は、ふぅと軽くため息をつき、さっきの笑顔で「おはよう」と言った。女子の歓声も上がる、上がる。台風再来。ここのクラスは、男子よりも女子の方が多い。とりあえず俺は、自分の席に着いた。準備を済ませ、チャイムが鳴る3分くらいの間、本を読んだ。小さい頃から本を読むことが好きだった。読んでいるうちに、それぞれの本の世界に入り込めるような感じがするからだ。ちらりと時計を見た。「もう少しでチャイムが鳴るかな…」本に栞を挟み、俺は窓の外を眺めた。俺は、1番後ろの席の左側だ。今日もいい天気だな~ と思いながら、横目で隣の席を見た。そこには、ぼろぼろに疲れ果てた遊の姿があった。机に頬をつけ、ぐったりしていた。
「朝から疲れた… なんで周りの女子達は、俺に近づいてくるんだか」
「とりあえずお疲れ。それは、遊がイケメンだからじゃないの?」と俺は、頬杖をつき、外をぼーっと眺めながら言った。
「そうなのかぁ…? お前が女だったらどう思うんだよ」
「さぁ…? 俺、女じゃないから分かんないわ。とりあえず姿勢正しなよ。先生来るよ」そんなことを適当に呟き、俺は、姿勢を正し、先生が来るのを待った。
ガラガラ…
「皆さん、おはようございます」
「おはようございます」
俺達のクラスの担任の先生、佐藤麗先生が入ってきた。おしとやかで優しく、清楚な先生だ。
「では、HRを始めましょう」
「はい」
HRも終わり、午前中の授業は、瞬く間に終わった。意識がどこかに飛んでいたせいか、それとも居眠りしていたのかよく分からないが、授業の内容は、毎回しっかりノートに書いている。他の生徒が居眠りしていたら、先生に怒られるが、俺は、別に怒られない。だから、ちゃんと授業に集中してるのかな。それとも見つかっていないのか。どうなんだろう。
―俺は、そんなことを遊とふわに話した。
今は、昼食の時間。俺と遊とふわは、いつも屋上で食べている。沢山の人がいる訳でもないし、景色の見晴らしもいいからいつもここで食べている。俺は、家から持ってきたサンドイッチとパックのコーヒー牛乳を食べながら、訳もなく、午前中の授業について話した。2人から最初に返ってきた反応は、「は?」だった。
「夢羽… お前、本の読みすぎなんじゃねーの…?」遊は、目を薄めてそう言った。
「わしは、かたつむりのようにゆっくーりと進んでいる気がするのじゃが」ふわは、口を尖らせながら言った。
「やっぱりそう思うよなぁー…」俺は、コーヒー牛乳をストローで吸いながら答えた。
「夢羽、今日も放課後、図書館に行くのか?」
「うん。てか、俺部活入ってないし、それに毎日行ってる」
「東雲は、なんで図書館に行ってるのじゃ? 普通に学校にも図書室あるから、そこで本とか読めばいいんじゃないのか?」
「俺は… あの図書館の方がいい」
俺達の高校のすぐそばに、大きな時計が目立つ、古ぼけた図書館があった。木でできていて、大きい。時計の針はちょうど12時で止まっているままだ。中は、がらんとしていて、室内の隅々に蜘蛛の巣がかかっている。係の人も居ないし、客も来ない。俺だけが行っている場所だ。
「ふ~ん、今日の話といい、東雲も変なやつじゃなぁ~」
「変なやつで結構だよ」
俺達は、昼食を終え、自分の教室へと戻った。
午後の授業は、やっぱり眠くなる。いっつもそうだ。午前の調子はどこへ行ったんだ。俺は、睡魔と闘いながら授業を受けた。
なんだかんだで放課後になり、遊は、美術部に、ふわは、陸上部へとそれぞれ行った。部活に行く前に遊は俺に「じゃあな」と言った。俺は「頑張って」と手を振りながら言った。遊は「おう」と笑顔で言いい、他の部員達と一緒に歩いていった。俺は、1人で学校を出た。外は薄暗かった。グラウンドの方を見るとふわが準備運動をしてるところだった。ふわは、ちらっと俺の方を見た。俺に気付き、笑顔で大きく手を振っていた。俺もふわの方を見て、手を振り返した。そして、1人であの古ぼけた図書館へと向かった。道中は静かだった。遊とふわがいないせいか、妙に1秒、1秒時間が過ぎるのが遅く感じた。
俺が歩いていると大きな時計が目立つ図書館が見えてきた。俺は、そこまで走っていった。近くで見ると、屋根には烏が止まっていて、俺を迎えるかのようにカァカァ鳴いていた。俺は、烏にこいこいと手を招くと、烏は、バサッと音を立て、俺の頭に着地した。「おー、毎回俺の頭に乗るの辞めないかー?」
烏丸。俺がいつも図書館行くときには屋根の上に止まっている。いつもかもしれないが。
それがいつの間にか懐いて… 最終的に俺のペットのようなものになった。名前は、俺が適当に付けた名前だが、今は愛着が湧いている。俺は、烏丸を頭から離し、抱えて持つようにして、図書館のドアを開けた。
ギィィィイという鈍い音を立て、ドアは開いた。やはり中は電気がついていないので、暗い。俺は、バッグから懐中電灯を取り出し、何か面白い本はないかと探した。歩く度に床は微かにギシギシと音を立てた。それも当然。結構昔から出来ていた建物だ。親から聞いた情報だが。すると、烏丸が何かを発見したように「カァ」と鳴いて、俺の手から離れていった。「なんだ、なんだ」俺は、烏丸に懐中電灯の光をあて、追いかけた。そして烏丸は、とある本棚の前に止まり「カァ!」と鳴いた。俺は、鳴いた方に歩いていき、その本棚の前に着いた。俺は、目の前の本に手をかけた。そして、題名を見て、ハッとした。「白の…世界…?」烏丸は、「カァ」と鳴き、俺の頭の上に飛び乗ってきた。本の表紙には何も書いておらず、背表紙だけに題名が書かれていた。著者名は、薄れていてよく見えなかった。俺は、いつも見るあの夢を思い出した。「あれと何か関係があるのか…? そんなことないか」と独り言のように呟いた。でも気になったのでその本を借りることにした。
図書館を出ると、外は少し雨が降っていた。烏丸は、俺の頭を飛び立ち、また屋根の上に飛んで行った。俺は、烏丸に「じゃあな」と言って、傘を開き、家に向かって歩きだした。少し歩いたところで俺は、借りた本を再び見た。表紙の色など煤けた感じの白色で、厚い本だ。ページをパラパラとめくってみると、ところどころ折れていたり、破けていたりしていた。俺がワクワクしているせいか、いつもよりも歩く速さが少し速い気が自分でもした。
そして家に着き、すぐさま2階の自分の部屋に行き、さっき借りた本を読もうとした。いつもは宿題優先だが、今日は、本を読みたい気持ちの方が強かった。そして俺は、期待しながらページをめくった。だが、「…あれ?」文字が煤けていてよく読めない。「さっきめくった時もそうだったか…?」どのページをめくっても、何が書いてあるのか分からなかった。ただ、はっきりと書かれていた文があった。それも、1番最初のページに。
貴方の色で私を染めて―…
「…は?」俺は、どこかで聞いたことがあるような響きの言葉だと思い、今までのことを懸命に思い出した。それほど突っかかる言葉なのか、今までにないくらい必死だった。「あ」俺が思い当たったのは、そう、あの白い世界に佇む女性のことだった。あの女性が1番最初に夢の中で放った言葉。「…まさか… 俺の夢のことが書かれているのか…?」いや、でも分からない。ただ単に言葉が被ってしまっただけかもしれないし。そもそも、俺の夢じゃない確率の方が高いだろう。「いや、これだけでは断定出来ないしなー…」俺は、伸びをしながら言った。とりあえず、本を机の中にしまい、勉強に取り掛かることにした。今は、この夢もそろそろ途切れるだろう、この本も内容がよく分からないから、すぐに返そうかとしていた。でも、後に分かることになる。この夢は、まだ始まったばかりだということを―…
「貴方の色で私を染めて―・・・」
とても透き通った声だった。
俺が「なんだよそれ」とか「どういう事だよ」とか言っても、何も答えない。顔すら見せてくれない。それだけ言い残して、女性はどこかへ歩いていってしまう。俺が「待てよ!」って言ってもその人は待たず、白の中へと消えていってしまう。そこで俺の夢は終わり。 いつもこれがオチ。そして、朝を迎える―。
「また今日も見たなぁ…あの夢」
俺は、ぼんやりと目を開けながらぽつりと呟いた。 季節は春。 日差しが暖かくて、眩しい。
「あっ、今日学校だわ。 ぼんやりしてられねー」
俺は、まだ少し重い瞼を擦りながら、居間へ降りていった。
「あら、夢羽。今日は起きるの遅かったわね」
「ん、まぁ」
「今日も学校なんだから、早く支度して遅れないように行きなさいね」
「はーい」
俺は、手軽に朝食を済ませ、支度をした。
「じゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい。 気を付けるのよー」
「うん」
そして俺は、家を出た。近所の家の犬がワンワンと元気よく吠えていた。子供が何か話している声も聞こえてくる。俺は、そんな日常的な音を聞きながら、いつもの2人と会う。
「東雲ー! おはようなのじゃー!」
「お。ふわ、おはよう」
如月ふわ。髪は、少し茶色がかった感じの 2つの団子結び。 いつも元気で活発的な性格。口調が特徴的で、語尾に「じゃ」と付けていることが多い。 俺と同じ高校で、高校1年のA組。「俊足の女王様」とか言われるほど足が速いらしい。
「元気か?」
「おう。俺は、元気だぜ。 ふわは?」
「わしも元気じゃ!」
と笑いながらふわは言った。笑顔が眩しい。太陽みたいだ。
俺とふわは、世間話をしながらあいつの家へ向かった。
「・・・なぁ、ふわ。遊起きてると思うか?」
「ううん。思わないのじゃ」
「だよなー・・・」
紫ノ宮 遊。髪は、黒でショート。頼りがいのある優しい性格。俺と同じ高校で、高校3年のB組。こいつはとにかくモテる。女子なんて朝からこいつを見ると「キャー♡」「ワー♡」とか甲高い声上げてる。正直引くくらい…ちなみに俺と遊は幼なじみで、仲がいい。
「あ、そう言えば。 ふわ、まだこいつの事好きなの?」
俺は、ニヤニヤしながらふわに遊の写真を見せた。ふわは、少し前から遊に片思いしていた。
「なっ・・・/// 東雲っ・・・」
ふわは、写真を見る度にみるみると顔をタコのように赤く染めていった。
「そいつなんか、嫌いじゃ・・・」
「えぇ~? またまたぁ~」
「う、うるさいのじゃ!わしの気持ちも知らんくせに・・・このぅ・・・」
ふわは、頬をぷくーと膨らまし、俺をべしべし叩いてきた。
「ちょ、痛い、痛い」
「痛くないくせにぃー!!」
「君たち、人の家の前で何やってるのかな?」
「「あ」」
遊は、俺らの方を見てニッコリと笑いながら言った。ふわの顔もタコからだんだんと青ざめていった。こいつ、怒るとやばいくらい怖い。遊は、冷たい瞳でナイフを刺すかのようにこう言った。
「はぁー・・・ 全く君たちは何をしているのか・・・ 朝からわー、きゃー、わー、きゃー五月蝿いわ」
「ごめん・・・」
「ごめんなさいなのじゃ・・・」
「ま、いいんだけどさっ」
遊は、急にパッと明るい笑顔になった。
いつもこんな小芝居を見られて、おまけに「やっぱり、演劇部向いてるよな!」とか言われる。なんかこう… もっと深く感情を入れなきゃいけないと思うけど。俺は、演劇部ではないから分からないが、でも、確かに怖いくらいに、機械みたいに感情、表情がころころ変わる。多重人格とも思うような奴だ。
そんな人達の間に挟まれて、俺。
東雲 夢羽。髪は、黒だが前髪の一部が白色。少し長いから結んでいる。
性格は、マイペースとかのんびり屋とかって言われてる。高校3年のB組。中1の時は、髪のことでいじめられたこともあった。そんな中、助けてくれたのは、遊だった。今でもあのことは忘れられなかった。あの真剣な瞳で傷まみれだけど、勇ましい勇者のような姿を。
「なぁ、俺さ、髪切った方がいいと思うかな」
「わしは、その髪型でいいの思うのじゃ! バッサリ切ったら慣れないしのぅ…」
「遊は…?」
「ふわと同意見」
「そっか」
朝は、この3人で学校に登校している。
髪のいじめがあった事を知っているのは、ふわと遊と「夢月」だけだった。
如月 夢月
俺が、好きだった人。返事は、もう貰えないだろう。幼なじみで、ふわの姉。
ふわとは対象的な性格で、物静かでしっかり者。白く、長い髪が特徴的だった。
夢月は、「この髪は生まれつきなの」っておしとやかに微笑みながら言っていた。あの笑顔は、忘れられないほど美しかった。
「― おーい、夢羽ー。さっきからボーッとしてるぞー 大丈夫かー?」
「ん?あぁ、ごめん。ちょいと考え事してて」
「東雲~ また夢月の事考えてたじゃろ~」
「はぁ?何言って…」
「顔が赤いのじゃ! 図星だったんじゃろ~」
「あ!本当じゃん!夢羽、タコみたい」
「確かになのじゃ!」
この2人にとっては、俺がいじられキャラになってる。夢月がいたときは、それを見て、母親のような目で笑いながら見ていた。夢月は、交通事故で亡くなった。だから、あの時の返事はもう貰えない。俺は、ずっと傍で泣くことしか出来なかった。1日中、夢月の手を握って。生きていることを願って―。
「ターコ、ターコ」
「お、おい、からかうのはやめろ…」
「さっきまで散々わしのことをタコ、タコ言ってたくせに!! 自分のときだけ…」
「そーだ、そーだ」
毎朝こんな感じで登校している。学校までは、あっという間に着く。こいつらといるときは、楽しすぎて時間を忘れてさせてくれるくらいだった。
学校の門まで着いた。桜葉高校。俺達が通っている高校で、人数はあまり多くはない。俺達が歩いていると、「ねぇ… あれって、遊くんじゃない…?」
「くんじゃない、遊様よ…!!」
あぁ、今日も聞こえてきた。前を歩いていた女子達がこちらを見て、ヒソヒソと話していた。俺は、遠目でその女子達を見ていた。
「えっ…!? 遊様…!?」
「遊様ー!!♡」 「こっち見てー!♡」
その話を聞きつけた女子達もつられてこちらを見てくる。それがだんだんと広がっていき、とうとう遊の周りを囲まれてしまった。業界のハリウッドスターでも通っているかのように、女子の黄色い声が聞こえてくる。俺とふわは、毎回同じような顔をしているだろう。
「今日もなのじゃ…」
「あぁ… 毎回、毎回… 遊は、疲れないのだろうか…」
俺は、遊をチラッと横目で見た。遊は、爽やかな笑顔で周りの女子達に、「おはよう」と言い、手をひらひらと振っていた。
「キャァァァー!!!♡」「ワァァァァー!!!♡」
女子達の歓声は、増すばかり。俺とふわは、ぽかんと口をあけたまま、遊と女子達を見ていた。そして1人の女子が自分の腕時計を見て、ハッとした顔で「あ!そろそろチャイムが鳴る時間だー!!」と大声で言った。他のの女子達も一斉に時計を見て「あ!!」と声を上げていた。
「急がなきゃ!!」「遊くーん! また後でねー!!」「クラスでねー!」と口々に言ったあと、女子達は走りながらこの場を去って行った。台風のような歓声が通り過ぎたあと、俺と遊とふわは、3人疲れたような顔を見合わせ、遊が「行こうか…」と疲れ切った笑顔で言った。
遊がドアを開けると、凄まじく光る女子の目がちらほらと見えた。
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「朝から疲れた… なんで周りの女子達は、俺に近づいてくるんだか」
「とりあえずお疲れ。それは、遊がイケメンだからじゃないの?」と俺は、頬杖をつき、外をぼーっと眺めながら言った。
「そうなのかぁ…? お前が女だったらどう思うんだよ」
「さぁ…? 俺、女じゃないから分かんないわ。とりあえず姿勢正しなよ。先生来るよ」そんなことを適当に呟き、俺は、姿勢を正し、先生が来るのを待った。
ガラガラ…
「皆さん、おはようございます」
「おはようございます」
俺達のクラスの担任の先生、佐藤麗先生が入ってきた。おしとやかで優しく、清楚な先生だ。
「では、HRを始めましょう」
「はい」
HRも終わり、午前中の授業は、瞬く間に終わった。意識がどこかに飛んでいたせいか、それとも居眠りしていたのかよく分からないが、授業の内容は、毎回しっかりノートに書いている。他の生徒が居眠りしていたら、先生に怒られるが、俺は、別に怒られない。だから、ちゃんと授業に集中してるのかな。それとも見つかっていないのか。どうなんだろう。
―俺は、そんなことを遊とふわに話した。
今は、昼食の時間。俺と遊とふわは、いつも屋上で食べている。沢山の人がいる訳でもないし、景色の見晴らしもいいからいつもここで食べている。俺は、家から持ってきたサンドイッチとパックのコーヒー牛乳を食べながら、訳もなく、午前中の授業について話した。2人から最初に返ってきた反応は、「は?」だった。
「夢羽… お前、本の読みすぎなんじゃねーの…?」遊は、目を薄めてそう言った。
「わしは、かたつむりのようにゆっくーりと進んでいる気がするのじゃが」ふわは、口を尖らせながら言った。
「やっぱりそう思うよなぁー…」俺は、コーヒー牛乳をストローで吸いながら答えた。
「夢羽、今日も放課後、図書館に行くのか?」
「うん。てか、俺部活入ってないし、それに毎日行ってる」
「東雲は、なんで図書館に行ってるのじゃ? 普通に学校にも図書室あるから、そこで本とか読めばいいんじゃないのか?」
「俺は… あの図書館の方がいい」
俺達の高校のすぐそばに、大きな時計が目立つ、古ぼけた図書館があった。木でできていて、大きい。時計の針はちょうど12時で止まっているままだ。中は、がらんとしていて、室内の隅々に蜘蛛の巣がかかっている。係の人も居ないし、客も来ない。俺だけが行っている場所だ。
「ふ~ん、今日の話といい、東雲も変なやつじゃなぁ~」
「変なやつで結構だよ」
俺達は、昼食を終え、自分の教室へと戻った。
午後の授業は、やっぱり眠くなる。いっつもそうだ。午前の調子はどこへ行ったんだ。俺は、睡魔と闘いながら授業を受けた。
なんだかんだで放課後になり、遊は、美術部に、ふわは、陸上部へとそれぞれ行った。部活に行く前に遊は俺に「じゃあな」と言った。俺は「頑張って」と手を振りながら言った。遊は「おう」と笑顔で言いい、他の部員達と一緒に歩いていった。俺は、1人で学校を出た。外は薄暗かった。グラウンドの方を見るとふわが準備運動をしてるところだった。ふわは、ちらっと俺の方を見た。俺に気付き、笑顔で大きく手を振っていた。俺もふわの方を見て、手を振り返した。そして、1人であの古ぼけた図書館へと向かった。道中は静かだった。遊とふわがいないせいか、妙に1秒、1秒時間が過ぎるのが遅く感じた。
俺が歩いていると大きな時計が目立つ図書館が見えてきた。俺は、そこまで走っていった。近くで見ると、屋根には烏が止まっていて、俺を迎えるかのようにカァカァ鳴いていた。俺は、烏にこいこいと手を招くと、烏は、バサッと音を立て、俺の頭に着地した。「おー、毎回俺の頭に乗るの辞めないかー?」
烏丸。俺がいつも図書館行くときには屋根の上に止まっている。いつもかもしれないが。
それがいつの間にか懐いて… 最終的に俺のペットのようなものになった。名前は、俺が適当に付けた名前だが、今は愛着が湧いている。俺は、烏丸を頭から離し、抱えて持つようにして、図書館のドアを開けた。
ギィィィイという鈍い音を立て、ドアは開いた。やはり中は電気がついていないので、暗い。俺は、バッグから懐中電灯を取り出し、何か面白い本はないかと探した。歩く度に床は微かにギシギシと音を立てた。それも当然。結構昔から出来ていた建物だ。親から聞いた情報だが。すると、烏丸が何かを発見したように「カァ」と鳴いて、俺の手から離れていった。「なんだ、なんだ」俺は、烏丸に懐中電灯の光をあて、追いかけた。そして烏丸は、とある本棚の前に止まり「カァ!」と鳴いた。俺は、鳴いた方に歩いていき、その本棚の前に着いた。俺は、目の前の本に手をかけた。そして、題名を見て、ハッとした。「白の…世界…?」烏丸は、「カァ」と鳴き、俺の頭の上に飛び乗ってきた。本の表紙には何も書いておらず、背表紙だけに題名が書かれていた。著者名は、薄れていてよく見えなかった。俺は、いつも見るあの夢を思い出した。「あれと何か関係があるのか…? そんなことないか」と独り言のように呟いた。でも気になったのでその本を借りることにした。
図書館を出ると、外は少し雨が降っていた。烏丸は、俺の頭を飛び立ち、また屋根の上に飛んで行った。俺は、烏丸に「じゃあな」と言って、傘を開き、家に向かって歩きだした。少し歩いたところで俺は、借りた本を再び見た。表紙の色など煤けた感じの白色で、厚い本だ。ページをパラパラとめくってみると、ところどころ折れていたり、破けていたりしていた。俺がワクワクしているせいか、いつもよりも歩く速さが少し速い気が自分でもした。
そして家に着き、すぐさま2階の自分の部屋に行き、さっき借りた本を読もうとした。いつもは宿題優先だが、今日は、本を読みたい気持ちの方が強かった。そして俺は、期待しながらページをめくった。だが、「…あれ?」文字が煤けていてよく読めない。「さっきめくった時もそうだったか…?」どのページをめくっても、何が書いてあるのか分からなかった。ただ、はっきりと書かれていた文があった。それも、1番最初のページに。
貴方の色で私を染めて―…
「…は?」俺は、どこかで聞いたことがあるような響きの言葉だと思い、今までのことを懸命に思い出した。それほど突っかかる言葉なのか、今までにないくらい必死だった。「あ」俺が思い当たったのは、そう、あの白い世界に佇む女性のことだった。あの女性が1番最初に夢の中で放った言葉。「…まさか… 俺の夢のことが書かれているのか…?」いや、でも分からない。ただ単に言葉が被ってしまっただけかもしれないし。そもそも、俺の夢じゃない確率の方が高いだろう。「いや、これだけでは断定出来ないしなー…」俺は、伸びをしながら言った。とりあえず、本を机の中にしまい、勉強に取り掛かることにした。今は、この夢もそろそろ途切れるだろう、この本も内容がよく分からないから、すぐに返そうかとしていた。でも、後に分かることになる。この夢は、まだ始まったばかりだということを―…
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弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
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でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
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