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本編

上級ポーション、追放

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「…よし、着いた。取り敢えず部屋に行ってポーションを作るぞ」

«急いでもあんま変わらないぞ?»

「…いや、多分この後ちょっと面倒な事になるからその準備も必要なんだ」

«面倒なこと?»

「…てかさ、お前俺の未来見たら良いんじゃないのか?」

«あー、すまんがお前の未来は見えねぇんだわ»

「そうなのか?」

«予言ってのは、どっちかと言うと干渉を元にしているんだ。んで、予言が干渉しているのは相手の加護。それに干渉してその加護を元にその先の運命を覗く…感じなんだがな。お前には加護がないらしいんだよ。いや、もしかしたら既存の神以外の加護がある可能性もあるが…»

「…なるほど、まあそんなことは別に良い」

…こっから窓に直接飛んだ方が早いな。

「よっと…さて、それじゃあ作るか」

«…んー…お、未来が変わったな»

「誰の未来だ?」

«お前の親の未来だ»

「…?」

«加護のある奴の加護は見えるんだ。んー…助かるのは助かるが…傷が残ってしまうようだな»

「ん?その助ける時って俺も映ってるのか?」

«あー…ん、どうなんだろうな。いや、一応居る…のか?お前を見る時は黒いモヤが被って見えなくなる»

「…まあ、助かるなら良いか。よし、出来た」

«…服の準備なんてしてどうしたんだ?»

「この家から追放された時用の物だ」

«追放?あれがお前を追放なんてしないぞ?そんな未来見えないし»

「あるんだよなぁこれが…さて、それじゃあポーションを掛けてと…」

«お、ちゃんと戻ってるな。後は、安静にして血が戻るのを待てばすっかり元通りっていう事になるだろ»

「…忌み子、貴方をここから追放します。貴方が来てから不幸なことが起こっている。もう、我々を犠牲にする必要性はないと判断し、代理人として追放とします」

«…な?言ったろ?追放されるって»

「ニコッ…分かりました。荷物を纏めて出ていきましょう」

«いつ気付いたんだ?»

「最初から。どうせこうなるだろうなって思ってたからな。ま、これのおかげであの人もこれからは何にも縛られず自由に恋愛とか出来るんじゃないか?」

«…なぁ、お前って本当に感情があるのか?»

「勿論あるぞ?俺だって泣く時だってあるし怒る時だってある。だが、今回に関しては既にもう分かってたから、別になんとも思わないだけだ。
…さて、それじゃあ荷物も纏まったしさっさとこの家から出ていくぞ」

«はいはい。それで、これからどうするんだ?»

「んー、取り敢えず森に入って家を建てる」

«…ん?街に泊まるんじゃないのか?»

「いや、街に行ったらあの人が起きたらまず間違いなくそこを探すんだからしばらくの間は森に住む。それに、その方が魔力の訓練も手早く出来るしな」

«色々考えてるんだな»

「馬鹿にしてるのか?」

«いやいや、感心してんだよ»

「ま、どうでも良い。取り敢えず、家を建てるのは時間も掛かるだろうから一旦野営できる所を探そう」

«あの森だと火を起こしたら魔物がそれに気付いて集まってくるぞ?»

「金に変えられる物が増えるし一石二鳥だろ」

«それもそっか»

「んー、それにしても…一気に気が楽になったな」

«肩の荷が降りたってか?»

「そんな所。取り敢えず、ゴブリンの巣は1つは潰したがあそこ以外にもあるから、取り敢えず潰した所に住むか。あそこなら、結構な広さがあるだろうしな」
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