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32 導きの神

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「はぁ…はぁ…と、飛んでる痕跡が残るから良いけど…素で走ったらぜんっぜん追いつかない!ヴィラン!」

«おうよ!»

「飛びながら八咫烏を追いかけて!」

«一直線に突っ切るぜ!»

この方向は…なんだっけ、どこかで見たような気が…

「あれ、この塔…」

«カァ»

「これって…うっ…頭が…」

«おいおい、大丈夫か?»

「う、うん…この記憶って…ローズマリーの?」

『え…私ですか?私は知らないですよ?』

「…いや、思い出した…ここ…ローズのお母さんの墓がある場所だ…」

『私のお母さん…ですか?』

「…そう、
恋愛ゲームハードコアモード…通称:死にゲー
ローズマリーが主人公となるゲームモードだけど、言動1つで直ぐに死んでしまうモードなんだけど…唯一、死なないモードがあるんだよね…それが…ローズマリーの本当の居場所にたどり着くこと。
そして、この塔は…お母さんの墓であると共にの道に導いてくれる場所…」

「ろ…ローズマリー!何故お前がここに居る!」

「…ヴィラン、気絶させて頂戴」

«ああ»

「…どうする?今なら、ローズ自身に変われる」

『…この塔に入った後、もう一度ここへ戻ってこれますか?』

「うん、結局はローズマリーがどういった未来を描くかが問題だからね」

『…分かりました、変わってください』

「うん」


「…それで、ここからはどうすれば?」

『この塔は魔力で扉が開くんだけど、ローズマリーのお母さんが登録した人しか入れない。そして…それは、そこの気絶させたお父さんともう1人…そう、血が繋がった家族であるローズマリー、君だ』

「…なら、この扉を開ければ…」

『さぁ、入ろうか』

「…ええ」

と言っても…ここからは本当にどうなるか分からない。
原作では、転移魔法で強制的に母の居る国に飛ばされた後、真っ白の画面に金色の文字で
~Happy End~
と流れて終わる。
そのため、戻れるかどうかは分からない…

「…え…こ、この絵…」

『そう、これこそがローズマリーの本当のお母さんで…
名前はイヴ・アリステラ。
そして…その転移後の国は…』

〖ようこそ、『神国』へ〗

「え…」

…ああ、やっぱり…転移させられるのはどうやらローズだけみたいだね。そして…干渉が入った。

「…ふふ、あははは!いいわ、受けてたってあげる…八咫烏、ローズマリーが帰国を願った場合、【私たちの姫】ローズマリーを護衛しつつ命を掛けてでも帰国させなさい」

«カァァァ!»

「…ふふ、いつまで隠れているつもりかしら?」
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