15年後のスターチス

小糸咲希

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最終章「スターチスの節」

001#再開から知ったこと

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この世界では、ある特定の花言葉は全く違う意味ということはわかっていた。
ただ、理由は分かっていない。
あるひとつの神話が、この世界にはあった。
スターチスの花を知るものは、将来恵まれるということに。
この話は嘘か本当かは分からないが、瞬く間に噂が広がっていき、各国で戦争が起こるほどだった。
ある日、世界のどこかしらからも突然ひとつの花が消えた。
誰もかもがその花を戦争の火種とし、争いをしていたというのに突然だ。 
誰からの記憶も消え、残されたであろう文献からもほぼ抹消されていた。

「人の私利私欲の花は消える。これは、ある意味教訓なのかもな」

ジョンは、ポケットからパイプを取り出し吸い始めた。

「これは、世界のためなんだ。さっきロイスにも同じ話をしてきたところだ。キロル、もう会えないんだ。君たちは」

断言をしていた。
彼がどういう経緯でこの決断に至ったかは分からない。
それでも、なにか理由はあるのではないかと思い黙って聞くことにした。

「今、この国はゼラニウム国との全面戦争中だ。それも君とロイスを狙ってだ。なぜ君たちを必要にしているのかは分からない」

辺りには煙草が漂い初め、うっすらと煙で包まれ始めていた。

「キロル、今から起こる事は今までの世界と比べて段違いだと思う。それでも、俺と一緒に着いてきてくれないか? 」

ジョンは煙草を口から外し、地面に置くと頭を下げていた。

「何言ってるの? 僕達親友だろ? 困った時はお互い様だ。それで、リリは今なにしている? 」

肩を叩き、リリの安全具合を確かめる。
もし、ゼラニウム国の人がこの異世界転生に何かしらの関係があるとしたらリリや自分は消しておきたいと考えるであろう。

「リリは今、山の隠れ家にいる。この戦いが終わったら、会われると思う」

ジョンは、腰に掛けていた2本の剣をひとつ自分にへと渡してきた。

「戦いは避けられない。だから、俺と一緒に戦ってくれ! 」

剣を手渡しし、腰へと掛ける。
ひとつ大きな息を吸うと、ひとつ大きな声を出した。

「ジョン、僕はまた戦うよ。相手がもし……あいつなら……尚更。怖いけど、でも愛する人のためなら……! 」

ジョンを引っ張り、自分にとって約5年ぶりの外へと足を運んだのであった。
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