異世界転生を夢みる無職童貞ヒモニートが、トラックに乗って色んな人たちを異世界に飛ばす話

小糸咲希

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キルノート編

転生させる力

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あー15年ぶりの外だっていうのに早速労働とか聞いてないんだが。
まあ、こんな精液まみれのクレイジー野郎なんかを雇ってくれる奴なんていないんだろう。
この点ばかりは俺の友人に感謝をするしかないのかと思ってしまった。
15年ぶりにする運転。
緊張するぜ。

えーとこっちがブレーキだな。とりあえずブレーキを踏んで行くぞ!

「今からブレーキ踏むぞ! 」

「おう! 」

友人が目の前にたっている状況でブレーキを踏んだ。
踏んだはずだった。

ギュイイイイイアイイイイ!!!!!

猛烈なエンジンとともにひとつの断末魔が聞こえた。

なにが起こった……?
恐る恐るトラックから降りるとそこにはケチャップを被った友人が倒れていた。
しかも息をしていない。

「俺の人生……オワタ……」

その瞬間、目の前が真っ暗になる。

「……ここは……? 」

意味のわからない白い世界の中心に立っていた。
ふと閃光がひとつ、鳴り響いたあと、目の前に10歳ぐらいの男の娘が突っ立っていた。

「私は神だ。貴様に異世界転生の能力をやろう」

自称神は微笑みながら言った。
俺はなんだクソガキと思いながらも、異世界転生という言葉に感銘を受けてしまった。
何せ若い頃から異世界転生に夢を持っていたからだ。
ただ、こんなひょんなことから出来てしまったということが嬉しい。

「遂に俺も異世界転生できるのか……」

余韻に浸っていた俺に釘を刺すような言葉が舞い込んできた。

「いや……お前がこれから異世界転生させる側の神になるんだよ」

「……は? 」

「だからお前が神になるんだ。分かる? 」

「転生して神になるんじゃなくて……? 」

「ああ、転生するんじゃない。よくいる手違いで人を殺して異世界に飛ばすあいつらだ」

「……ファ!? 」

「ふふふ。驚いてるね。きみにはそういう資質があるのさ」

「資質とは? 」

「見た瞬間確信したんだ。そのトラックに乗った時の黄金比。全てが震えるほどの震えるほどのハーーーーーモニィイイイイイイイイ!!! トラックと君は融合し、資質という名の神の力を手に入れたのさ!」

「なるほど。訳が分からない」

「ふはははは! そのうち理解出来るさ! 」

話が一向に通じない神と対話をし、早1時間。
俺はどうすればいいのかわからなかった。
知ったことと言えばこの神は困っていて色んな人を転生させて世界を救って欲しいらしい。
そのためには生きた人間をトラックで轢き殺し、資質を持った人間の力を使って異世界転生させるしかないとか。
色々聞いてデタラメなところもあるのではないかと考えることもあった。
ただ、この力は本物なんだということしか。
それぐらいはいいだろう。 
とりあえず、人の異世界転生した後にどうなるかを知りたい。

「神。異世界転生させたそいつを見ることはできるのか? 」

「出来るさ。そいつの生涯を見ることがな」

これは強い。
ということは、今からさっき轢き殺したやつの転生したあとの人生が始まるって訳か。

「最後に言っておく。力をさずけるのも全てお前次第だ。たくさん転生させて色んな人に夢を与え、世界を救うがいい! 」

神は刃渡り1000mのナイフを俺に突き出し、そのまま暗闇へと放り投げたのであった。
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