異世界転生を夢みる無職童貞ヒモニートが、トラックに乗って色んな人たちを異世界に飛ばす話

小糸咲希

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キルノート編

友人Aの場合

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「うーん……ここは……」

先程轢き殺された友人Aは暗闇に立っていた。

「確か……あいつに轢き殺されて……ここは死後の世界……? 」

黙って隅々を見渡す。ただ、闇が広がり続けるこの世界を。
どこに行こうともせずにただひたすら正面を見、何も考えずにその場に立っていた。

「フォフォフォ……お主、気が付きよったか」

背後からどこか聞き覚えのある奇妙な声が、背筋を凍らせるような低い声で耳を突く。

「お前……俺を殺して何がしたかったんだ! 」

友人Aは一瞬で自分を轢き殺した男だと確信し、大声で叫んだ。

「お主はこの神のイタズラで死んだ。申し訳ないと思っている。だからチート能力を授け、異世界転生させてやろうではないか……フォフォフォ」

「異世界転生……? は? 俺が? 冗談じゃないんか? 」

この出来事に理解をできていない様子であった。
正体に気付かれていないのであれば強引にしてしまえばいいでは無いかと考え、無理やり実行することにした。

「冗談ではない。貴様には今から世界を救ってもらう。この世紀末になっている廃れた世界を正して欲しい。お前にしか出来ないんだ。頼む」

彼は推しに弱いことを熟知していた。だからこそこういい転生させるように仕向ける。
これぞ、完全計画。

「俺にしか……出来ない……? ……そうか……やらせてくれ! というか……やらせろ! 」

「分かった。お前の意思は分かったぜ! 異世界で頑張れよ! 」

強く転生させる場所を念じると、何も考えないうちに世界がどんどんと虹色に光っていく。

目を閉じた。
光が強すぎて。

あれから何秒だっただろうか。
目を開けると友人の姿がなかった。
これは成功なのか?
まぁ、姿がないなだとしたら正解なんだろう。

「成功だ! よくやった」

目の前に例の神様が立っていた。
一瞬のうちに消えて、また現れた。

「そうか。それなら俺も見に行くか。で、どうするんだ? 」

「目を閉じて念じろ」

言われる通り、目を閉じた。
そして、目を開けると荒廃した世界が広がっていたのであった。
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