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第三章 富国編
第3話 新元帥の策略
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リブル川を挟んで対陣していたサミュエル軍とウェスタディア軍だったが、サミュエル軍の撤退によって戦況の変化が生じていた。
「ウェスタディア軍が追撃する構えのようです」
敵情視察をおこなっていた兵が元帥モーリスに報告をもたらす。
「ご苦労様でした。あなたは戦列に戻ってください」
モーリスは兵士をねぎらい、隣を進むマルコス中将に目を向ける。
「罠にかかりましたな」
マルコスは不敵な笑みを浮かべている。モーリスも心なしか嬉しそうである。
「半分が川を渡り終えるタイミングを見計らいって反転します」
「ははっ」
モーリスからの命令に最も喜んだのはリエラ大将である。
「リエラ大将閣下、元帥閣下からの伝言です」
モーリスの伝令を聞いたリエラは燃え上がらんばかりの闘志を前面に押し出す。
「そうかい!あたしゃ暴れたくてうずうずしてたからね。先陣は任せてもらうよ」
「はっ、元帥閣下もリエラ大将閣下にお任せするとのことでした」
「さすがはモーリス、わかってるねえ」
モーリスを呼び捨てにしているが、注意する人は誰もいない。リエラはこういう人であることを知らない人はいないからだ。リエラは愛用の剣を抜き、天高く掲げる。
「おまえたち、あたしらの強さを存分に見せつけるよ!」
「「「おおぉぉー!」」」
ーーーーー
サミュエル軍が偽装撤退をしているなど考えてすらいないノイエ率いるウェスタディア軍は、着々とリブル川を渡り始めていた。リブル川は腰までつかる程度で徒歩でも渡ることが可能である。とはいえ、水に足を取られ、否が応でも進軍速度は遅くなる。10万もの兵が渡るのであればなおさらである。中には足を滑られせて溺れる者、流される者もいたが、限りなく少数であった。
その一方、ミネバ公爵率いる20万のウェスタディア軍は、サミュエル連邦のウスター城を包囲していた。モーリスの放つ斥候網に引っかからないよう、迂回しつつリブル川を超えていたのである。ウスター城を守るサミュエル軍は、目の前に現れたウェスタディア軍がモーリス率いる援軍を撃破してここまで来たと思い込んでおり、目に見えて士気が下がっていた。
「ミネバ様」
「待っておりましたわ」
ミネバのいる本陣に立派な体躯の男が入ってくる。その男は、首を携えていた。
「これが敵将の首にございます」
「ソルダートの働き、さすが我が家随一ですわ!」
ソルダートと呼ばれる男はウスター城の守将の首を差し出し、ミネバはそれを絶賛している。ウスター城を守る兵力は数千程度で、約20万のウェスタディア帝国にとっては一息で踏みつぶせる城だった。将の質という面で見ても、ソルダートはミネバ配下の勇将であり、その名前はウェスタディア帝国内でも知れ渡っている。それを考えればサミュエル軍の分が悪かった。
「ナサニエル、次はどうするのだ」
「このまま進軍し、ハンスタントン城を攻める」
ソルダートの質問にナサニエルが即答する。ミネバも承知しているとばかりに頷く。
「かしこまりました。それでは出陣の準備に取り掛かります」
「お願いしますわ」
ミネバ率いるウェスタディア軍は、ウスター城を数日のうちに陥落させると、ハンスタントン城へ向けて進軍を開始するのであった。
ーーーーー
話を再びプレストン城側に戻すと、ノイエ率いるウェスタディア軍は約半数がリブル川を渡り終えようとしていた。
「元帥閣下、半数が渡り終えました」
モーリスは報告に頷き、馬首を反転させる。
「全軍反転!ウェスタディア帝国の息の根を止めましょう!」
「「「おーーー!」」」
あえてノロノロと撤退していたサミュエル軍は反転し、リブル川に向かって全力で動き始める。
「おまえら、あたしに遅れるなよ!」
サミュエル軍の先頭を進むのリエラである。手に剣を持ち、颯爽と駆けるその姿は戦女神に見紛うばかりだ。リエラに続く部下たちの士気もあがる。リエラはよく言えばさっぱり、悪く言えば粗暴な性格だが、その親分肌な気質は配下の兵士たちに大人気であった。そのため、リエラ率いる一軍はどの戦場にあっても目立つ働きをするのである。
「大将閣下に遅れたら笑いものだぞ!」
「「「おおぉぉー!」」」
リエラ率いる一軍の速さは他の部隊の比ではなく、モーリスを始めとした本隊と距離が開きつつあった。
「大将閣下、後続が見えなくなりましたっ」
「とろい奴なんか置いていきな!あたしらは先にいくよ!」
リエラは後続との距離などお構いなしである。しばらく進むと、リブル川を渡っているウェスタディア軍が見えてきた。
「おまえたち、準備はいいね!」
「「「おおぉぉー!」」」
「突撃だよぉおお!」
「「「うおおぉぉぉー!」」」
前方から物凄い勢いで迫ってくるサミュエル軍にウェスタディア軍が浮足立つ。
「なぜサミュエル軍がいるのだ!」
「そんなの知るかっ、急いで準備するんだ!」
川を渡り終え、服を乾かしていた前方の部隊は戦闘準備に入る。
「いいねぇ、敵はやる気だよっ!あたしらの力を見せつけるのさ」
リエラ率いる一軍は颯爽と先陣目がけて突撃を敢行する。
ザシュ
サミュエル軍の前方を塞いでいた者はすぐさま死体に変わる。
ザシュ
ドシュッ
「ウェスタディア軍はこんなもんなのかい?もっと頑張りなよっ」
リエラの挑発する声が戦場に響く。
ザシュ
「ひ、ひいいぃぃぃぃ」
「あの赤髪強すぎだろ」
ウェスタディア軍の先陣にいた兵士たちが次第に押され始める。しかし、後方はまだ渡河している最中である。撤退するにも撤退できない。そんな状況でもお構いなくリエラは武力という圧力をかけていく。その結果、ウェスタディア軍は前方からの圧力に耐えきれず、川に落ちる者が出てきたのだった。
「おい、退くなっ!仲間を殺すことになるぞ」
その間にもリエラ率いる一軍は獲物を求める獣のように暴れ続ける。
「あはははは、あんたたちの血、もっとあたしに見せておくれよ」
リエラは顔に血を浴びても平然と斬り続ける。赤髪に血で染まった顔、血まみれの剣という狂気じみた姿は、兵士たちの恐怖を余計に煽るのであった。さらに不幸だったのは、後方からモーリス率いる本隊が出現したことである。
「お、おい・・・あれを見ろ!」
「もう終わりだ・・・」
サミュエル軍本隊の出現に、ウェスタディア軍の兵士たちはさらに及び腰になる。
「あははははは、もっと!もっとだよ!」
その間にもリエラは兵士をばっさばっさと斬り続ける。いままさにリブル川を渡ろうとしていたノイエ侯爵は、突然の出来事に狼狽していた。そもそもウェスタディア帝国は数年ぶりの戦いである。それに対するサミュエル連邦は、シャルナーク王国やツイハーク王国と何度も渡り合ってきた。兵士の練度と経験値は、サミュエル連邦と比べてウェスタディア帝国が大きく劣っていた。
「なぜ敵がいるのだ!引き返せ!引き返すんだ!」
ノイエは早々に渡河を断念する。総大将が岸に戻っていく様子は前線の兵士たちにも筒抜けである。
「総大将が戻っていくぞ」
誰かが不用意に発した一言をきっかけに士気が崩壊する。
「俺たちは見捨てられた」
「もう無理だ」
「やってられるか!」
リブル川の対岸にいたウェスタディア軍は、我先にリブル川を渡ろうとする。その結果、川へ転落する者が続出したのである。いくら腰までしかつからないと言っても、鎧を付けた兵士がバランスを崩したら流されてもおかしくない。鎧の重さに水圧が加わり、バランスを立て直すことが困難になるのである。
「弓隊と魔導士隊は構えな!川にいる敵を射殺すのさっ!」
陸にいた敵をほぼ一掃し、川縁に到達したリエラは遠距離での攻撃を指示する。
ギリギリ・・・パシュンパシュン
弓が引かれ、矢が放たれる。魔導士は杖を掲げて火矢や氷矢を放つ。サミュエル軍はウェスタディア軍に容赦なく矢や魔法による追撃を加えていた。その結果、無事にプレストン城側の岸へ戻れたのはわずか5万5千であった。大半は何かしらの傷を負っていた。また、約7万人がリブル川を渡り切っていることを考えれば、残り1万5千は溺死か討ち死である。リブル川で起こったサミュエル軍とウェスタディア軍の戦いは、サミュエル軍の一方的な勝利で幕を閉じた。
「なぜだ・・・なぜこうなったのだ」
「ノイエ様、ここは大人しくプレストン城の守りを固めましょう」
ノイエは机を何度も叩き、悔しそうにしていたが、部下の進言に力なく頷くことしかできなかった。その一方で、サミュエル軍の先陣を任されていたリエラは総大将のモーリスと今後の方針を話し合っていた。
「モーリス!プレストン城を取り返すかい?」
「それは危険です。本日は少し離れたところで野営することにしましょう」
「まあいいさ、わかったよ」
サミュエル軍はそれ以上の深追いをしなかった。勝利したとはいえ、ウェスタディア軍8万は健在である。今度はこちらが川を渡らなければならず、相手に同様の奇襲をやり返されては元も子もない。また、敵の行方知れずとなった10万もまた気がかりであった。
「マルコス中将、敵の残り10万がどこへ行ったのか探してもらえますか」
「かしこまりました」
事態を対処するには敵の動向の把握が必要不可欠である。そう考えたモーリスは、マルコス中将に残る10万のウェスタディア軍を捜索するよう命じることにした。だが、ミネバ率いる別働隊がサミュエル連邦の城を攻めていたという事実は、すぐにもたらされることはなかった。探索の範囲を超えた動きをしていたからである。
「ウェスタディア軍が追撃する構えのようです」
敵情視察をおこなっていた兵が元帥モーリスに報告をもたらす。
「ご苦労様でした。あなたは戦列に戻ってください」
モーリスは兵士をねぎらい、隣を進むマルコス中将に目を向ける。
「罠にかかりましたな」
マルコスは不敵な笑みを浮かべている。モーリスも心なしか嬉しそうである。
「半分が川を渡り終えるタイミングを見計らいって反転します」
「ははっ」
モーリスからの命令に最も喜んだのはリエラ大将である。
「リエラ大将閣下、元帥閣下からの伝言です」
モーリスの伝令を聞いたリエラは燃え上がらんばかりの闘志を前面に押し出す。
「そうかい!あたしゃ暴れたくてうずうずしてたからね。先陣は任せてもらうよ」
「はっ、元帥閣下もリエラ大将閣下にお任せするとのことでした」
「さすがはモーリス、わかってるねえ」
モーリスを呼び捨てにしているが、注意する人は誰もいない。リエラはこういう人であることを知らない人はいないからだ。リエラは愛用の剣を抜き、天高く掲げる。
「おまえたち、あたしらの強さを存分に見せつけるよ!」
「「「おおぉぉー!」」」
ーーーーー
サミュエル軍が偽装撤退をしているなど考えてすらいないノイエ率いるウェスタディア軍は、着々とリブル川を渡り始めていた。リブル川は腰までつかる程度で徒歩でも渡ることが可能である。とはいえ、水に足を取られ、否が応でも進軍速度は遅くなる。10万もの兵が渡るのであればなおさらである。中には足を滑られせて溺れる者、流される者もいたが、限りなく少数であった。
その一方、ミネバ公爵率いる20万のウェスタディア軍は、サミュエル連邦のウスター城を包囲していた。モーリスの放つ斥候網に引っかからないよう、迂回しつつリブル川を超えていたのである。ウスター城を守るサミュエル軍は、目の前に現れたウェスタディア軍がモーリス率いる援軍を撃破してここまで来たと思い込んでおり、目に見えて士気が下がっていた。
「ミネバ様」
「待っておりましたわ」
ミネバのいる本陣に立派な体躯の男が入ってくる。その男は、首を携えていた。
「これが敵将の首にございます」
「ソルダートの働き、さすが我が家随一ですわ!」
ソルダートと呼ばれる男はウスター城の守将の首を差し出し、ミネバはそれを絶賛している。ウスター城を守る兵力は数千程度で、約20万のウェスタディア帝国にとっては一息で踏みつぶせる城だった。将の質という面で見ても、ソルダートはミネバ配下の勇将であり、その名前はウェスタディア帝国内でも知れ渡っている。それを考えればサミュエル軍の分が悪かった。
「ナサニエル、次はどうするのだ」
「このまま進軍し、ハンスタントン城を攻める」
ソルダートの質問にナサニエルが即答する。ミネバも承知しているとばかりに頷く。
「かしこまりました。それでは出陣の準備に取り掛かります」
「お願いしますわ」
ミネバ率いるウェスタディア軍は、ウスター城を数日のうちに陥落させると、ハンスタントン城へ向けて進軍を開始するのであった。
ーーーーー
話を再びプレストン城側に戻すと、ノイエ率いるウェスタディア軍は約半数がリブル川を渡り終えようとしていた。
「元帥閣下、半数が渡り終えました」
モーリスは報告に頷き、馬首を反転させる。
「全軍反転!ウェスタディア帝国の息の根を止めましょう!」
「「「おーーー!」」」
あえてノロノロと撤退していたサミュエル軍は反転し、リブル川に向かって全力で動き始める。
「おまえら、あたしに遅れるなよ!」
サミュエル軍の先頭を進むのリエラである。手に剣を持ち、颯爽と駆けるその姿は戦女神に見紛うばかりだ。リエラに続く部下たちの士気もあがる。リエラはよく言えばさっぱり、悪く言えば粗暴な性格だが、その親分肌な気質は配下の兵士たちに大人気であった。そのため、リエラ率いる一軍はどの戦場にあっても目立つ働きをするのである。
「大将閣下に遅れたら笑いものだぞ!」
「「「おおぉぉー!」」」
リエラ率いる一軍の速さは他の部隊の比ではなく、モーリスを始めとした本隊と距離が開きつつあった。
「大将閣下、後続が見えなくなりましたっ」
「とろい奴なんか置いていきな!あたしらは先にいくよ!」
リエラは後続との距離などお構いなしである。しばらく進むと、リブル川を渡っているウェスタディア軍が見えてきた。
「おまえたち、準備はいいね!」
「「「おおぉぉー!」」」
「突撃だよぉおお!」
「「「うおおぉぉぉー!」」」
前方から物凄い勢いで迫ってくるサミュエル軍にウェスタディア軍が浮足立つ。
「なぜサミュエル軍がいるのだ!」
「そんなの知るかっ、急いで準備するんだ!」
川を渡り終え、服を乾かしていた前方の部隊は戦闘準備に入る。
「いいねぇ、敵はやる気だよっ!あたしらの力を見せつけるのさ」
リエラ率いる一軍は颯爽と先陣目がけて突撃を敢行する。
ザシュ
サミュエル軍の前方を塞いでいた者はすぐさま死体に変わる。
ザシュ
ドシュッ
「ウェスタディア軍はこんなもんなのかい?もっと頑張りなよっ」
リエラの挑発する声が戦場に響く。
ザシュ
「ひ、ひいいぃぃぃぃ」
「あの赤髪強すぎだろ」
ウェスタディア軍の先陣にいた兵士たちが次第に押され始める。しかし、後方はまだ渡河している最中である。撤退するにも撤退できない。そんな状況でもお構いなくリエラは武力という圧力をかけていく。その結果、ウェスタディア軍は前方からの圧力に耐えきれず、川に落ちる者が出てきたのだった。
「おい、退くなっ!仲間を殺すことになるぞ」
その間にもリエラ率いる一軍は獲物を求める獣のように暴れ続ける。
「あはははは、あんたたちの血、もっとあたしに見せておくれよ」
リエラは顔に血を浴びても平然と斬り続ける。赤髪に血で染まった顔、血まみれの剣という狂気じみた姿は、兵士たちの恐怖を余計に煽るのであった。さらに不幸だったのは、後方からモーリス率いる本隊が出現したことである。
「お、おい・・・あれを見ろ!」
「もう終わりだ・・・」
サミュエル軍本隊の出現に、ウェスタディア軍の兵士たちはさらに及び腰になる。
「あははははは、もっと!もっとだよ!」
その間にもリエラは兵士をばっさばっさと斬り続ける。いままさにリブル川を渡ろうとしていたノイエ侯爵は、突然の出来事に狼狽していた。そもそもウェスタディア帝国は数年ぶりの戦いである。それに対するサミュエル連邦は、シャルナーク王国やツイハーク王国と何度も渡り合ってきた。兵士の練度と経験値は、サミュエル連邦と比べてウェスタディア帝国が大きく劣っていた。
「なぜ敵がいるのだ!引き返せ!引き返すんだ!」
ノイエは早々に渡河を断念する。総大将が岸に戻っていく様子は前線の兵士たちにも筒抜けである。
「総大将が戻っていくぞ」
誰かが不用意に発した一言をきっかけに士気が崩壊する。
「俺たちは見捨てられた」
「もう無理だ」
「やってられるか!」
リブル川の対岸にいたウェスタディア軍は、我先にリブル川を渡ろうとする。その結果、川へ転落する者が続出したのである。いくら腰までしかつからないと言っても、鎧を付けた兵士がバランスを崩したら流されてもおかしくない。鎧の重さに水圧が加わり、バランスを立て直すことが困難になるのである。
「弓隊と魔導士隊は構えな!川にいる敵を射殺すのさっ!」
陸にいた敵をほぼ一掃し、川縁に到達したリエラは遠距離での攻撃を指示する。
ギリギリ・・・パシュンパシュン
弓が引かれ、矢が放たれる。魔導士は杖を掲げて火矢や氷矢を放つ。サミュエル軍はウェスタディア軍に容赦なく矢や魔法による追撃を加えていた。その結果、無事にプレストン城側の岸へ戻れたのはわずか5万5千であった。大半は何かしらの傷を負っていた。また、約7万人がリブル川を渡り切っていることを考えれば、残り1万5千は溺死か討ち死である。リブル川で起こったサミュエル軍とウェスタディア軍の戦いは、サミュエル軍の一方的な勝利で幕を閉じた。
「なぜだ・・・なぜこうなったのだ」
「ノイエ様、ここは大人しくプレストン城の守りを固めましょう」
ノイエは机を何度も叩き、悔しそうにしていたが、部下の進言に力なく頷くことしかできなかった。その一方で、サミュエル軍の先陣を任されていたリエラは総大将のモーリスと今後の方針を話し合っていた。
「モーリス!プレストン城を取り返すかい?」
「それは危険です。本日は少し離れたところで野営することにしましょう」
「まあいいさ、わかったよ」
サミュエル軍はそれ以上の深追いをしなかった。勝利したとはいえ、ウェスタディア軍8万は健在である。今度はこちらが川を渡らなければならず、相手に同様の奇襲をやり返されては元も子もない。また、敵の行方知れずとなった10万もまた気がかりであった。
「マルコス中将、敵の残り10万がどこへ行ったのか探してもらえますか」
「かしこまりました」
事態を対処するには敵の動向の把握が必要不可欠である。そう考えたモーリスは、マルコス中将に残る10万のウェスタディア軍を捜索するよう命じることにした。だが、ミネバ率いる別働隊がサミュエル連邦の城を攻めていたという事実は、すぐにもたらされることはなかった。探索の範囲を超えた動きをしていたからである。
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