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第三章 富国編
第8話 西園寺道泰
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これはニクティスが若いころの話である。ニクティスは親友のイリスと共に父であるサイオンジ・ミチヤスの部屋を訪れていた。
「おお、よく来たな」
部屋に入るとミチヤスは嬉しそうにニクティスたちを迎え入れた。
「父上、お加減はよろしいのでしょうか」
「先生、どうかご無理なさらず」
家で療養していたミチヤスをニクティスとイリスが思い思いに気遣う。ミチヤスは元帥を勇退後、自身の家で私塾を開いていた。趣味兼実益を兼ねた活動だ。なお、イリスはその塾生のため、先生と呼んでいる。
「なに、単なる風邪だよ。しかし、私ももう歳をとってしまった」
すっかり高齢者となったミチヤスは遠い目をする。その目にどのような想いが詰まっているかは若い2人にはわからない。そして、老人特有のボヤキにニクティスとイリスはまだまだお元気ですと励ましの言葉をかける。ミチヤスは微笑むとポツリポツリと話し始めた。
「この先を考えると、こうして二人とゆっくり話せる機会はそうないかもしれない。だからこそいまのうちに話しておこうと思う」
ミチヤスの前置きがニクティスとイリスは姿勢を正す。
「私はサミュエル連邦に様々な労力を払ってきた」
「「おっしゃる通りです」」
ニクティスとイリスが同意する。
「だが、人を殺すための道具は決して作らなかった」
ミチヤスはサミュエル連邦のために様々な事柄を考案している。清酒を始めとした食料品、さらには共和制という政治体制、紙幣までと実に幅広い。しかし、そんなミチヤスが頑として手を出さなかったのが軍事兵器である。
「先生、私も不思議に思っておりました。それはどうしてでしょうか」
イリスが前々から思ってましたとばかりに質問する。
「それはな、開発してしまえば人が多く死んでしまうからだよ」
ミチヤスはこの国に来る前のことを語り始めた。前世ということは一言も口に出さないものの、その話はニクティスとイリスの想像をはるかに超えていた。
ーーーーー
1945年5月29日 大日本帝国領 横浜
ざんぎり頭を叩いてみれば、文明開化の音がする。明治以降、日本の玄関口として広く外国の文化を取り入れてきた港町横浜。ああ悲しいかな。この時代に横浜を訪れるのは、異国の船ではなく爆撃機であった。
ブロロロロロ、ブロロロロロ
ヒューン、ドガーン
横浜の上空を何機ものB-29が旋回し、次々に爆弾を落としていく。
ヒューン、ドガーン
まだ空の明るい真昼間にアメリカ軍が襲ってきた。爆撃機の襲来を見極めにくい夜間ではなく、白昼堂々の攻撃である。そんな時間に堂々と空襲が出来るほど、当時の大日本帝国の対空防御は衰えていた。
アメリカの対日本戦線爆撃機集団である第21爆撃機集団を率いる指揮官はルメイ少将である。そして、この日は横浜の都市機能の喪失を狙って「絨毯爆撃」という戦法を採用していた。作戦決行にあたり、横浜へ3航空団に相当する517機もの爆撃機B-29を投入されていた。
「通泰!早く防空壕へ行きましょう!」
横浜の本牧地域に住んでいた青年の西園寺道泰は、家を離れ母親と共に防空壕へと向かう。西園寺道泰青年は、本牧からそう遠くない山下公園まで足を伸ばし、海を眺めることが大好きだった。しかし、大好きな港町横浜は、戦争によってその姿を大きく変えることになった。学校の同級生たちは戦地へ赴き、その動向はなしのつぶてだった。高官の息子であった西園寺道泰はどういうわけか赤紙を受け取ることなく、実家からこの国の行く末を見守っていた。日夜、勉強を好み、その博識ぶりは帝国大学の教授をうならせるほどだった。
「今日はB-29が多いですね」
通泰は周囲を観察する。防空壕に入るまでに見たアメリカ軍の爆撃機B-29の数は想像を絶していた。けたたましく鳴り響くサイレンと通過する大量のB-29。その日が異常な日であることは明らかであった。幸か不幸か、横浜はこれまでに大きな空襲に見舞われなかった。しかし、この日は大きく違った。
「全機は私の指示通りの場所に爆弾を投下せよ」
その日、ルメイ少将によって的確な命令が下されていた。ルメイ少将は横浜を攻略するために、約2カ月にわたる綿密な計画を練っていたのである。当初は同年3月に空襲をおこなう予定だったが、横浜の土地が広く人の少ない丘陵地や農村部を抱えている地形を見て断念した。闇雲に爆撃をおこなってもこのような特殊な地形ではあまり大きな成果は見込めない。それではどのように攻略するべきか。その答えは至ってシンプルだった。火を用いたのだ。
ドガーン、ドガーン
ミチヤスの隠れる防空壕の周りに着弾する音が鳴り響く。防空壕だから大丈夫。そう思っていたのは大きな間違いだった。ルメイ少将はこの日のために、着火・延焼に特化した爆弾を用いてたのである。
「お母様・・・」
防空壕の外側は見る見るうちに火で包まれ、防空壕の中の人に向けて近所の人が声をかけてくれた。
「おーい、防空壕から出ろ!焼け死ぬぞ!」
「火に包まれるぞー!蒸し焼きになりたいのか!」
防空壕へ避難していた人々がその声に従って外へ出る。防空壕にいた通泰も外へと向かうが、あまりにも今日はおかしかった。B-29が大量に飛来しており、さらには闇雲に爆撃をおこなっていない。通泰は着弾音からそう判断していた。アメリカ軍が通常とは異なる目的を持っているようにしか思えてならなかった。
「お母様、行きましょう」
母親の手を引いて防空壕を出た通泰は、周辺のあまりにも変わってしまった景色にぞっとした。火の竜巻がありとあらゆるものが燃やしつくしていた。そう、火炎旋風である。通泰の知る美しい港町横浜はもうどこにもなかった。
「どこにも逃げ場がないじゃないか・・・」
通泰の周囲は火の柱で埋め尽くされていた。声をかけてくれたご近所さんも少し先にいったところで火に囲まれていた。その様子を見て通泰は膝をつく。そして、そんな通泰の手を母親は強く握りしめていた。もう逃げ場がないことを悟った母は通泰を抱きしめる。火の竜巻が徐々に2人へ迫る。そして、ついにその時が来た。通泰の周囲の酸素が火に吸われ、徐々に息苦しくなる。そして、ふっと意識を失ったのである。ルメイ少将は実に周到だった。計画された火炎旋風は瞬く間に横浜を飲み込み、一酸化炭素中毒で多数の人が死を迎えた。もし、これが計画的な火災でなければ・・・きっとこれほどの人が死ぬことはなかっただろう。
横浜大空襲を検証した横浜市総務局の資料によると、1945年5月29日に発生した横浜大空襲の死者は約3,900人とされている。出撃したB29は517機であり、およそ2,300万㎡が罹災した。主な被害地域は、現在の横浜駅・吉野町・本牧・平沼辺りであり、山手地区・山下公園地区および湾岸地域を除き、ほとんどが燃え尽きた。その被害地域は丘陵地の多い横浜における数少ない平地に集中していた。
西園寺道泰の最期は、あまりにもあっけなかった。迫りくる炎を前に意識を失い、そのまま灰になった。そのあり余る才能を活かすことなく死んでしまったのだ。しかし、そんな彼にも救いはあった。
(西園寺道泰よ。おぬしを必要としておる人がいるのじゃ。今度はそこで存分にその才能を活かすがよい)
西園寺道泰の脳に聞き覚えのない老人の声が響く。そして目を覚ました彼は驚愕した。まったく見知らぬ世界で、見知らぬ姿の人間として生きていたことに。
そしてミチヤスは運命の人と出会った。サミュエル連邦の始祖、サミュエル公その人である。サミュエル公と出会ってからのミチヤスの活躍は周知のとおりである。
ーーーーー
「というわけだ。こうして無事に寿命を迎えることが出来る私は幸せ者だ。そして、この話は二人の胸に閉まっておきなさい」
ニクティスとイリスは茫然としていた。あまりにも突拍子もない話だから無理もない。しかし、嘘だとはとても思えなかった。ミチヤスは話を続ける。
「火が噴きあがるような不思議な武器を見たら逃げなさい。それは火薬というものだ。そんなものがこの世界で使われ始めれば、きっと多くの人が死ぬ。私はそれを決して望んではいない。いいか、もしそういう武器をみたらそれを使う国へ降伏してもいい。逃げてもいい。決して命を無駄にしないでくれ」
人と人とがぶつかる戦において、全滅することは滅多に起こらない。人が多く怪我をすれば、その介抱に人が必要となり、戦闘要員を失った軍から撤退または総崩れとなるからだ。しかし、化学兵器は一瞬で人々の命を刈り取ってしまう。圧倒的な力の前に、人が生きることを許さないのだ。
ミチヤスは火薬の恐ろしさを説き、2人に生きることの大切さを伝えた。幸せなことに、イリスは火薬を見ることなくこの世を去った。しかし、隠居同然の暮らしをしていたニクティスのもとに、その時が訪れてしまった。ニクティス自身はその武器を見ていないが、きっとミチヤスの話していた武器に違いない。そして、父上の遺志を伝えるのが私の使命だろう。そう考えたニクティスは親類縁者を呼び、ミチヤスの遺言同然の言葉を伝えるに至った。ミチヤスの遺志はちゃんと子どもらに受け継がれていたのである。
ミチヤスの話を聞き終えたニクティスとイリスの2人は黙々と部屋を出た。それ以降、2人は終生ミチヤスの過去話を口にしなかった。それはミチヤス・サイオンジとの約束を固く守ることにほかならない。
【参考文献】
・今井清一(1995a)「焼夷弾攻撃地域と横浜大空襲」『湘南国際女子短期大学紀要』 (3), 1-23。
・今井清一(1995b)『新版大空襲5月29日』有隣堂。
・横浜市総務局(1995)『写真で見る横浜大空襲』横浜市。
「おお、よく来たな」
部屋に入るとミチヤスは嬉しそうにニクティスたちを迎え入れた。
「父上、お加減はよろしいのでしょうか」
「先生、どうかご無理なさらず」
家で療養していたミチヤスをニクティスとイリスが思い思いに気遣う。ミチヤスは元帥を勇退後、自身の家で私塾を開いていた。趣味兼実益を兼ねた活動だ。なお、イリスはその塾生のため、先生と呼んでいる。
「なに、単なる風邪だよ。しかし、私ももう歳をとってしまった」
すっかり高齢者となったミチヤスは遠い目をする。その目にどのような想いが詰まっているかは若い2人にはわからない。そして、老人特有のボヤキにニクティスとイリスはまだまだお元気ですと励ましの言葉をかける。ミチヤスは微笑むとポツリポツリと話し始めた。
「この先を考えると、こうして二人とゆっくり話せる機会はそうないかもしれない。だからこそいまのうちに話しておこうと思う」
ミチヤスの前置きがニクティスとイリスは姿勢を正す。
「私はサミュエル連邦に様々な労力を払ってきた」
「「おっしゃる通りです」」
ニクティスとイリスが同意する。
「だが、人を殺すための道具は決して作らなかった」
ミチヤスはサミュエル連邦のために様々な事柄を考案している。清酒を始めとした食料品、さらには共和制という政治体制、紙幣までと実に幅広い。しかし、そんなミチヤスが頑として手を出さなかったのが軍事兵器である。
「先生、私も不思議に思っておりました。それはどうしてでしょうか」
イリスが前々から思ってましたとばかりに質問する。
「それはな、開発してしまえば人が多く死んでしまうからだよ」
ミチヤスはこの国に来る前のことを語り始めた。前世ということは一言も口に出さないものの、その話はニクティスとイリスの想像をはるかに超えていた。
ーーーーー
1945年5月29日 大日本帝国領 横浜
ざんぎり頭を叩いてみれば、文明開化の音がする。明治以降、日本の玄関口として広く外国の文化を取り入れてきた港町横浜。ああ悲しいかな。この時代に横浜を訪れるのは、異国の船ではなく爆撃機であった。
ブロロロロロ、ブロロロロロ
ヒューン、ドガーン
横浜の上空を何機ものB-29が旋回し、次々に爆弾を落としていく。
ヒューン、ドガーン
まだ空の明るい真昼間にアメリカ軍が襲ってきた。爆撃機の襲来を見極めにくい夜間ではなく、白昼堂々の攻撃である。そんな時間に堂々と空襲が出来るほど、当時の大日本帝国の対空防御は衰えていた。
アメリカの対日本戦線爆撃機集団である第21爆撃機集団を率いる指揮官はルメイ少将である。そして、この日は横浜の都市機能の喪失を狙って「絨毯爆撃」という戦法を採用していた。作戦決行にあたり、横浜へ3航空団に相当する517機もの爆撃機B-29を投入されていた。
「通泰!早く防空壕へ行きましょう!」
横浜の本牧地域に住んでいた青年の西園寺道泰は、家を離れ母親と共に防空壕へと向かう。西園寺道泰青年は、本牧からそう遠くない山下公園まで足を伸ばし、海を眺めることが大好きだった。しかし、大好きな港町横浜は、戦争によってその姿を大きく変えることになった。学校の同級生たちは戦地へ赴き、その動向はなしのつぶてだった。高官の息子であった西園寺道泰はどういうわけか赤紙を受け取ることなく、実家からこの国の行く末を見守っていた。日夜、勉強を好み、その博識ぶりは帝国大学の教授をうならせるほどだった。
「今日はB-29が多いですね」
通泰は周囲を観察する。防空壕に入るまでに見たアメリカ軍の爆撃機B-29の数は想像を絶していた。けたたましく鳴り響くサイレンと通過する大量のB-29。その日が異常な日であることは明らかであった。幸か不幸か、横浜はこれまでに大きな空襲に見舞われなかった。しかし、この日は大きく違った。
「全機は私の指示通りの場所に爆弾を投下せよ」
その日、ルメイ少将によって的確な命令が下されていた。ルメイ少将は横浜を攻略するために、約2カ月にわたる綿密な計画を練っていたのである。当初は同年3月に空襲をおこなう予定だったが、横浜の土地が広く人の少ない丘陵地や農村部を抱えている地形を見て断念した。闇雲に爆撃をおこなってもこのような特殊な地形ではあまり大きな成果は見込めない。それではどのように攻略するべきか。その答えは至ってシンプルだった。火を用いたのだ。
ドガーン、ドガーン
ミチヤスの隠れる防空壕の周りに着弾する音が鳴り響く。防空壕だから大丈夫。そう思っていたのは大きな間違いだった。ルメイ少将はこの日のために、着火・延焼に特化した爆弾を用いてたのである。
「お母様・・・」
防空壕の外側は見る見るうちに火で包まれ、防空壕の中の人に向けて近所の人が声をかけてくれた。
「おーい、防空壕から出ろ!焼け死ぬぞ!」
「火に包まれるぞー!蒸し焼きになりたいのか!」
防空壕へ避難していた人々がその声に従って外へ出る。防空壕にいた通泰も外へと向かうが、あまりにも今日はおかしかった。B-29が大量に飛来しており、さらには闇雲に爆撃をおこなっていない。通泰は着弾音からそう判断していた。アメリカ軍が通常とは異なる目的を持っているようにしか思えてならなかった。
「お母様、行きましょう」
母親の手を引いて防空壕を出た通泰は、周辺のあまりにも変わってしまった景色にぞっとした。火の竜巻がありとあらゆるものが燃やしつくしていた。そう、火炎旋風である。通泰の知る美しい港町横浜はもうどこにもなかった。
「どこにも逃げ場がないじゃないか・・・」
通泰の周囲は火の柱で埋め尽くされていた。声をかけてくれたご近所さんも少し先にいったところで火に囲まれていた。その様子を見て通泰は膝をつく。そして、そんな通泰の手を母親は強く握りしめていた。もう逃げ場がないことを悟った母は通泰を抱きしめる。火の竜巻が徐々に2人へ迫る。そして、ついにその時が来た。通泰の周囲の酸素が火に吸われ、徐々に息苦しくなる。そして、ふっと意識を失ったのである。ルメイ少将は実に周到だった。計画された火炎旋風は瞬く間に横浜を飲み込み、一酸化炭素中毒で多数の人が死を迎えた。もし、これが計画的な火災でなければ・・・きっとこれほどの人が死ぬことはなかっただろう。
横浜大空襲を検証した横浜市総務局の資料によると、1945年5月29日に発生した横浜大空襲の死者は約3,900人とされている。出撃したB29は517機であり、およそ2,300万㎡が罹災した。主な被害地域は、現在の横浜駅・吉野町・本牧・平沼辺りであり、山手地区・山下公園地区および湾岸地域を除き、ほとんどが燃え尽きた。その被害地域は丘陵地の多い横浜における数少ない平地に集中していた。
西園寺道泰の最期は、あまりにもあっけなかった。迫りくる炎を前に意識を失い、そのまま灰になった。そのあり余る才能を活かすことなく死んでしまったのだ。しかし、そんな彼にも救いはあった。
(西園寺道泰よ。おぬしを必要としておる人がいるのじゃ。今度はそこで存分にその才能を活かすがよい)
西園寺道泰の脳に聞き覚えのない老人の声が響く。そして目を覚ました彼は驚愕した。まったく見知らぬ世界で、見知らぬ姿の人間として生きていたことに。
そしてミチヤスは運命の人と出会った。サミュエル連邦の始祖、サミュエル公その人である。サミュエル公と出会ってからのミチヤスの活躍は周知のとおりである。
ーーーーー
「というわけだ。こうして無事に寿命を迎えることが出来る私は幸せ者だ。そして、この話は二人の胸に閉まっておきなさい」
ニクティスとイリスは茫然としていた。あまりにも突拍子もない話だから無理もない。しかし、嘘だとはとても思えなかった。ミチヤスは話を続ける。
「火が噴きあがるような不思議な武器を見たら逃げなさい。それは火薬というものだ。そんなものがこの世界で使われ始めれば、きっと多くの人が死ぬ。私はそれを決して望んではいない。いいか、もしそういう武器をみたらそれを使う国へ降伏してもいい。逃げてもいい。決して命を無駄にしないでくれ」
人と人とがぶつかる戦において、全滅することは滅多に起こらない。人が多く怪我をすれば、その介抱に人が必要となり、戦闘要員を失った軍から撤退または総崩れとなるからだ。しかし、化学兵器は一瞬で人々の命を刈り取ってしまう。圧倒的な力の前に、人が生きることを許さないのだ。
ミチヤスは火薬の恐ろしさを説き、2人に生きることの大切さを伝えた。幸せなことに、イリスは火薬を見ることなくこの世を去った。しかし、隠居同然の暮らしをしていたニクティスのもとに、その時が訪れてしまった。ニクティス自身はその武器を見ていないが、きっとミチヤスの話していた武器に違いない。そして、父上の遺志を伝えるのが私の使命だろう。そう考えたニクティスは親類縁者を呼び、ミチヤスの遺言同然の言葉を伝えるに至った。ミチヤスの遺志はちゃんと子どもらに受け継がれていたのである。
ミチヤスの話を聞き終えたニクティスとイリスの2人は黙々と部屋を出た。それ以降、2人は終生ミチヤスの過去話を口にしなかった。それはミチヤス・サイオンジとの約束を固く守ることにほかならない。
【参考文献】
・今井清一(1995a)「焼夷弾攻撃地域と横浜大空襲」『湘南国際女子短期大学紀要』 (3), 1-23。
・今井清一(1995b)『新版大空襲5月29日』有隣堂。
・横浜市総務局(1995)『写真で見る横浜大空襲』横浜市。
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