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第一話 夢のマイホーム

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「ケンターッ!!!」
営業部長フリハラの怒号が飛ぶ。
ここ異世界でも不動産事情は厳しく、みんな住むところがなくて困っていた。
「また、オマエが営業成績ビリだ!まったくどういうつもりだ!!!」
老舗の不動産屋(萬寿堂)は今日も家を求める客で賑わっていた。
「味噌汁で顔🥸🥸🥸洗って出直して来い!!!」
「ハッ、ハイ」
ケンタが素直に味噌汁で顔を🥸🥸🥸🥸を洗った。
「バッカモーン!本当に洗ってどうするんだ!」
「チャンチャン」
ケンタがおどける。
「チャンチャンじゃない!もういい、席に着け」
フリハラに命令されて席に着き、シュンとなるケンタ。
「フリハラなんてブン殴ってやればいいのに」
右隣の席から同僚のシズカが威勢の良い事を言った。
「そっ、そんな。そんな恐ろしいことできるわけないだろ」
ケンタが両手を激しく振って否定した。
「そうだよ。ケンタは気が弱すぎるよ」
左隣の席から同じく同僚のレイジがシズカに同調した。
「ケンターッ!お客さんだ。オマエジキジキのご指名だからな。成績上げろよ!頑張れよー♪♪ありがとうございます😊😭😭」
フリハラが泣きながら深いお辞儀を繰り返す。
ケンタは恐る恐る、客のオンナに近づいて行った。
オンナはミンクのコート🧥🧥をまとった、見るからに👀👁👁お金持ちといった風情の若いオンナだった。
「一億円ほどの物件ですね」
ケンタが決めつけると、
「15円の物件あります?」
オンナがそう言ってひとつ咳をした。
「ぺっ?」
ケンタが意外そうに変な声を出した。
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