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第一章

1の39 第二王子的には事故

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グイッ!


(‥‥ッ!?)


モーレイは、突然、第二王子に腕を掴まれ、バルコニーの端に置かれたベンチに押し倒されると、一言も言葉を交わさないまま、口付けも無しに激しく抱かれる。


酷い事をされているという意識は無く、痛みと悦びに震えながら訴える。



「私は、あなただけ‥‥
最初からあなただけを見詰め、お慕いしています」



『私にとってあなたは二番手ではない』という囁きも、第二王子には響かない。


(皆、私にそう言う。
ッ、そう言われれば私が喜ぶと思っているところが忌々しい!)


行為の最中に、行為を盛り上げる為にそんな事を言って来る女には辟易していた。

第二王子は行為が終わればこの女とは二度と会わないと決め、その後は手で女の口を塞ぎながら腰を振り、サッサと済ませた。

行為の後、女が、行為を盛り上げる為ではなく、本気で『お慕いしています』と言っていた様だと気付き、驚きと困惑で眉を顰める。


困ったな‥‥

と第二王子は思う。


私は私に好意を持っている女には絶対に手を出さない主義だ。

好意に応えられないからだ。


だから遊び慣れた大人の女性しか相手にしない。

互いに体の遊びだけと割り切れる世慣れた女しか。

それか娼婦か。


目の前でいまだに体を震わせている女もそうだと思って、抱いた。

暗くてよく見えなかったし、いきなりの行為に抵抗も無く体を開くから、貴族狙いの高級娼婦かと思った。


「私、モーレイといいますッ」

行為の後に初めて名乗るとか、やっぱり、普通の令嬢ではない‥‥

うん、まぁ、とにかくコレは事故だ。

誠心誠意謝罪して、二度と会わない事にしよう。

そう決めて、第二王子はモーレイに誠心誠意謝罪し、その後は会うのを拒否した。


面倒事は避けなければならない。
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