人魚姫とよばれた美少女は、王子様を助けた為に魔女にゴブリンにされましたが全く問題ありません

ハートリオ

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第一章

1の49 その通訳、ウソついてま~す 2

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何故、シレーヌ姫が突然ブルーフィン王国語を話した!?

シレーヌ姫はブルーフィン王国語を話せなかったはずだ。

だから通訳を用意したのだ。

それなのに!?



皆の痛いほどの視線を受け、困った様に苦笑してシレーヌが口を開く。



「私の拙いブルーフィン王国語でお耳汚しで申し訳ございません。
実は、ちゃんと話せているか不安に思っております」

「いや、素晴らしい!
見事なものだ!
だが、どういう事だ?
本当は話せるのに話せないフリをしていたのか?」

「まぁ、まさか!
騙したり致しません。
ラメールからの旅の間に、耳で覚えたのです」



たった2週間程で?

そんな事が可能なのだろうか?

そんな空気を感じて、シレーヌはさらに説明する。



「ラメール人は、母国語の他にボニート王国語とテュナ王国語を話します。
ブルーフィン王国語はテュナ王国語を基にしているようで、よく似ています。
既に下地があったのです。
旅に同行されていた(お爺ちゃん)通訳様から借りた辞書も大いに役立ちました」



特に、馬車の中、体調不良で横になるシレーヌの向かい側には3人の侍女が侍った。

彼女達の絶え間ないお喋りで、シレーヌは短期で見事にブルーフィン王国語を身につける事が出来たのだ。

ついでに言えば、第二王子がいかに女性にだらしないか、日替わりどころか朝・昼・晩で抱く女を替えるだの何だのも聞いてしまい、シレーヌの中で第二王子は既に終わっている。



「はぁ‥‥
確かに、ざっくり言えばテュナ王国語を簡素化したものがブルーフィン王国語だ。
それにしても凄いな。
‥‥‥ハッ!
い、いや、違う!
話を戻すが、私は不本意だとか仕方なくだとか思っていない!
そんな事一言も言ってはいないぞ!?」



第二王子は必死な顔をシレーヌへ向ける。

シレーヌは歩きながら蒼白な顔でジリジリとドア方向へ移動していた通訳の進行方向を塞ぎ、同時に第二王子の視線を通訳へと誘導する。



「ですがこちらの通訳の方が殿下の言葉としてその様に通訳しました。
私の理解と大きく離れていますが、私はまだブルーフィン王国語に不慣れ‥‥
まだまだブルーフィン王国語への理解が未熟ゆえの事でしょう。
ボニート王国語はほぼ母国語と同じ様に話せますので、ボニート王国語への理解不足はございません」



シレーヌに向けられていた熱いミントグリーンの瞳は、通訳の女を映した瞬間、絶対零度に変わる。



「‥‥ィィッ!」



通訳の女は、憧れの男の凍り付くような瞳に、声にならない声を上げる。

だが、既に通訳の女の逃亡を防ぐという目的を達していたシレーヌは通訳の女の側から離れていた為、その叫びは聞こえていない。

部屋の中を流れる様に視線を走らせると、ピタッと視線を止める。



「‥‥そちらの方、ボニート王国語が解かるのでは?」



シレーヌは護衛騎士の一人に声を掛ける。
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