人魚姫とよばれた美少女は、王子様を助けた為に魔女にゴブリンにされましたが全く問題ありません

ハートリオ

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第二章

2の22 ファースト・ラブ 2

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ゴブリンの表情に気付く事無く、フェアリーピンクの唇は踊る様に続ける。



「その御方を安全な場所にお連れして、私はまた海に潜ろうとしたんです。
そうしたら、
『もう行ってはいけない!
君はもうフラフラだ!
行けば君は波に飲まれて、もう戻れないだろう。
後は他の人に任せて、君は自分の体を休めなさい!』
って‥‥」



遠くを見る様に宙を見つめていた潤んだローズレッドの瞳が、不意にゴブリンを――ゴブリンのシーブルーの瞳を捉える。



「‥‥ッッ」



魂を鷲掴みにされたような感覚に、思わず息が止まるゴブリン。

少女はフワリと柔らかく微笑んで恥ずかしそうに俯くと、少し震える声で謝る。



「不躾に、すみません。
どうしても、その瞳に囚われてしまいます。
キラキラと輝いて、ラメールの海の様に美しいのですもの。
本当に、あの御方とそっくり‥‥」



ゴブリンは、知らず胸に手を当てる。

心臓が、高鳴っている――

というか―――



‥‥泣きそうだ。




「その御方がせっかく注意して下さったのに、
私は頭の中が『助けなきゃ助けなきゃ』になっちゃっていたから、
『大丈夫です、私、泳ぎは得意なのです』
と答えて、海に向かおうとしたんです。
そうしたら、あの‥‥
えと‥‥‥‥‥‥」

「‥‥‥‥‥‥‥?」



何故か言い淀む少女にゴブリンは逸らせていた視線を戻す。

何か、話したくないなら話さなくていい。

そう言おうとしたところで、少女が消え入りそうな声で続ける。



「あの、突然、腕を掴まれて、フワッと‥‥だ、抱き上げられて‥‥」



俯いている少女の顔が更に赤くなる。



「そ、そ、そのまま建物の奥の救護室まで運ばれて‥‥
だ、だ、抱き上げられたままで、」



耳も、首まで真っ赤に染まってしまっている。

少女は恥じらいを深めるも、嬉しそうにも見えて。

手で口を押さえたゴブリンもまた、赤面している。



「コ、コホン、私は、男の人にそんな風にされたのは初めてで。
ビックリしてしまって固まったまま運ばれている途中で、
『君が無事でなければ、私は君に助けられた事を後悔するだろう。
君が君自身を大切にしないのであれば、命懸けで救助してくれた君の崇高さも、諦めた命を救われた奇跡も、私の中で苦しみとなって痛み続けるだけだ』
って、恐い顔と声で言われて、私震えてしまって‥‥」

「す、すまなかった‥‥」

「え?」



思わず謝罪を口にしたゴブリンに、少女はキョトンとした顔を向ける。


(!! か、可愛い!
衝撃的な可愛さだ!!
コレが例のアレか‥)
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