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第三章
3の19 両陛下の謝罪と第一王子の貫禄
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「ブハッブハッ、ハァ、ハァ、‥‥ハッ!
そ、そうだわ!
笑っている場合じゃないわ!
シレーヌちゃんは、第二王子フラットのせいでこんな事に‥‥!
フラットは、本当に何という愚かな、取り返しのつかない事を!
ただただ申し訳ないわ!
許せるはずも無い事だけど、謝らせて頂戴!
ごめんなさいッ!」
「へッ!?
わわッ、そんな!
あ、頭をお上げくだちゃ‥‥
えぇ~~~ッ!?」
「本当に、申し訳ない。
我が息子の愚行、謝る事しか出来ないのを苦しく思う。
この通りだ‥‥」
「ひえぇぇッ
国王陛下まで!?
や、やめてくだちゃ‥‥
エ、エイしゃま、
助けて‥‥」
人払いしてある私室。
とは言え、国王と王妃に揃って頭を下げられ困惑するゴブリン・シレーヌ。
思わずゴブリン・レイに助けを求めるのだが。
「シレーヌ姫が困っていますので、その辺で。
大体、両陛下がいくら頭を下げたってシレーヌ姫には無意味。
それで人間に戻れるわけではないのですから。
さらに、シレーヌ姫は3年前、遠い島国ラメール王国から拉致され、
現在に至るまで3年間も離宮に監禁されていました。
お二方はなぜフラットの蛮行に気付かなかったのです?」
「3年前は、丁度、お前が行方不明になった時で‥‥」
「私達は、お前を探すのに必死になってしまって‥‥」
「言い訳は結構です。
シレーヌ姫は、たった13才で攫われ、監禁されたんですよ。
しかも監禁場所は宮殿敷地内の離宮。
本宮殿の目と鼻の先で第二王子が犯罪を行っていた。
両陛下はそれを見逃していたわけです」
「フラットはこの3年間、別人の様に品行方正になって。
女遊びを止め、仕事をこなし、暴力沙汰も起こさない様になって安心して‥‥」
「チッ‥‥それこそ、サインでしょう。
両陛下は変化の理由を探るべきでした」
(レ、レイ様が恐い!
絶対零度の眼差しで、淡々と‥‥
わ、私だったら絶対泣く‥‥!
いや、両陛下も蒼白で小刻みに震えて泣き出しそう‥‥
どうしよう、うっかり助けを求めてしまったけど、レイ様をお止めしなければ!)
「う、うむ。
全くもってレイの言う通りだ。
す、すまない」
「本当に悪かったわ。
シレーヌちゃんは3年間も苦しんだ挙句ゴブリンにされてしまったのね。
しかももう人間に戻れないなんて、何て酷い‥‥」
「あ、あの、ゴブインになった、大丈夫でちゅかや!」
「「‥えぇっ!?」」
「えと‥‥ホッとちてまちゅ。
第二殿下に恐い目で見やえなくなって」
「「恐い目?」」
「欲望まみれの目です」
「「‥‥ッ!」」
そ、そうだわ!
笑っている場合じゃないわ!
シレーヌちゃんは、第二王子フラットのせいでこんな事に‥‥!
フラットは、本当に何という愚かな、取り返しのつかない事を!
ただただ申し訳ないわ!
許せるはずも無い事だけど、謝らせて頂戴!
ごめんなさいッ!」
「へッ!?
わわッ、そんな!
あ、頭をお上げくだちゃ‥‥
えぇ~~~ッ!?」
「本当に、申し訳ない。
我が息子の愚行、謝る事しか出来ないのを苦しく思う。
この通りだ‥‥」
「ひえぇぇッ
国王陛下まで!?
や、やめてくだちゃ‥‥
エ、エイしゃま、
助けて‥‥」
人払いしてある私室。
とは言え、国王と王妃に揃って頭を下げられ困惑するゴブリン・シレーヌ。
思わずゴブリン・レイに助けを求めるのだが。
「シレーヌ姫が困っていますので、その辺で。
大体、両陛下がいくら頭を下げたってシレーヌ姫には無意味。
それで人間に戻れるわけではないのですから。
さらに、シレーヌ姫は3年前、遠い島国ラメール王国から拉致され、
現在に至るまで3年間も離宮に監禁されていました。
お二方はなぜフラットの蛮行に気付かなかったのです?」
「3年前は、丁度、お前が行方不明になった時で‥‥」
「私達は、お前を探すのに必死になってしまって‥‥」
「言い訳は結構です。
シレーヌ姫は、たった13才で攫われ、監禁されたんですよ。
しかも監禁場所は宮殿敷地内の離宮。
本宮殿の目と鼻の先で第二王子が犯罪を行っていた。
両陛下はそれを見逃していたわけです」
「フラットはこの3年間、別人の様に品行方正になって。
女遊びを止め、仕事をこなし、暴力沙汰も起こさない様になって安心して‥‥」
「チッ‥‥それこそ、サインでしょう。
両陛下は変化の理由を探るべきでした」
(レ、レイ様が恐い!
絶対零度の眼差しで、淡々と‥‥
わ、私だったら絶対泣く‥‥!
いや、両陛下も蒼白で小刻みに震えて泣き出しそう‥‥
どうしよう、うっかり助けを求めてしまったけど、レイ様をお止めしなければ!)
「う、うむ。
全くもってレイの言う通りだ。
す、すまない」
「本当に悪かったわ。
シレーヌちゃんは3年間も苦しんだ挙句ゴブリンにされてしまったのね。
しかももう人間に戻れないなんて、何て酷い‥‥」
「あ、あの、ゴブインになった、大丈夫でちゅかや!」
「「‥えぇっ!?」」
「えと‥‥ホッとちてまちゅ。
第二殿下に恐い目で見やえなくなって」
「「恐い目?」」
「欲望まみれの目です」
「「‥‥ッ!」」
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