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第三章

3の22 これからの事

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「3ヶ月後のフラットの立太子式を国内外に周知し、招待状の発送も済んでいる。
‥‥レイが行方不明になって3年、諦めた訳ではなかったが国として王太子を立てない訳にはいかない、とな。
フラットもこの3年、別人の様にちゃんとしていたので、踏み切ろうと決定した。
だが、犯罪者フラットを王太子にするわけにはいかぬ。
シレーヌ姫への非道な所業、許せるものではない。
立太子式は、中止とする。
だから、二人の結婚の時期は、二人で自由に決めていい。
‥‥出来れば、レイが王太子を引き受けてくれれば‥‥
いや、そんな顔をしなくても分かっている。
悪かった。
つい‥‥、な」



国王陛下が寂しそうに笑う。

王妃陛下が目を伏せる。

優秀な第一王子。

中身は相変わらずの頼もしさだ。

だが、その姿はゴブリンになってしまった。

いまだ差別の対象となっているゴブリンを国王に迎えるほど、国民のレベルは高くない‥‥



「これからの事ですが‥‥」

「ああ!
勿論、二人の生活は保証する!
何か希望はあるだろうか?」

「私としては、シレーヌ姫が同意してくれれば国外へ‥」

「そぉんなに急いで決める事無いわッッ!
ゆッッくり、慎重に、皆がハッピーになる決断を吟味しないとねッ!
んッ!(コクコク)」

「そうだな!
急いでもロクな事にならん!
しばらく主宮殿に滞在して、ゆっくり決めるといいぞ!
ゆッッくりな!
うむッ!(コクコク)」
‥‥とりあえずシレーヌ姫は私のお膝に‥」

「「ダメです!!」」

「何だよ、ケチ!」



大国の王家とは思えないやり取りをぼんやり聞いているゴブリン・シレーヌは、愛するレイ様のお膝の上で優しく抱きしめられていて、夢見心地なのであった‥‥
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